桜才学園での生活   作:猫林13世

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変えるならもっとマシに


キャラ変更

 タカトシと萩村が泳ぎの練習をしている横で、私はコトミと一緒に浮き輪に乗って寛いでいた。

 

「しかし、夏休みの終盤だというのに、コトミが宿題で慌てていないとは驚きだな」

 

「タカ兄とお義姉ちゃん、シノ会長たちに夏休みに入った途端にしごかれましたから、今年は宿題が終わらないって焦る必要はありませんから」

 

「そうか。なら休み明けのテストも期待してるからな」

 

「そ、それとこれとは話が別ですから……」

 

 

 どうやらテスト対策は相変わらずの様で、残りの夏休みはそれの対策の為の勉強といったところだろうな。相変わらず大変そうだな……コトミではなくタカトシが。

 

「まぁ、今日は息抜きという感じだから、コトミもゆっくりして良いんじゃないか?」

 

「ですよねー。まぁ、会長は息抜きというよりヌキイキじゃないですか? タカ兄の半裸、興奮しますよね?」

 

「私は男じゃないからな!?」

 

 

 若干おかしなツッコミな感じもするが、私にはヌクものなんて付いていないから間違っていないはずだ。というか、この会話は分が悪いので何とかして話を変えなければ。

 

「宿題と言えば、トッキーは終わっているのか? 毎年コトミとトッキーの面倒を見てきている身としては、そちらも心配なんだが」

 

「トッキーなら、ムツミ主将たちと一緒で、タカ兄が夏休み早々に宿題用の解説テキストを渡していたので、それを見てやってるはずですよー。まぁ、夏休み終了一週間前にタカ兄が柔道部に顔を出して、終わってなかったらお説教だって言ってましたから」

 

「むしろ終わらせない輩がいるんじゃないか?」

 

「柔道部の皆さんはムッツリじゃないので、タカ兄に怒られて快感に浸る人はいないと思いますけどね」

 

「なるほど……」

 

 

 柔道部でタカトシに恋心を懐いているのは、私が知る限り主将の三葉のみ。そして三葉はエロボケとは縁遠いタイプだから、怒られたくて宿題をやらないということはないだろう。

 

「というか、会長が怒られたいからそんなことを言ったんじゃないんですか~? タカ兄に怒られて濡れても、プールの中だから誤魔化せるとか思ったんじゃないですかー?」

 

「それはコトミだろっ!? わ、私はそんなこと思ってないからな!?」

 

 

 最近コトミが畑に感化されているようで、追い詰められる回数が増えてきたような気がする……まぁ、コトミは畑のように何か証拠を掴んでるわけでもないので――畑もでっちあげなことが多いが――誤魔化すのは簡単だが。

 

「と、兎に角! 休み明けのテストの結果が揮わなかったら、生徒会室で私たちが徹底的に勉強を教えてやるからそのつもりで!」

 

「そんなことしなくても、どうせ家でタカ兄とお義姉ちゃんに絞られるでしょうから、会長たちは気にしないでください……」

 

 

 何とかコトミを黙らせることに成功したので、私はホッと一息吐いて、タカトシと萩村が手を繋いでる光景――実際は萩村のバタ足の練習にタカトシが付き合っているだけだが――を見て、何とも言えない気持ちになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会長を弄ろうと思っていたのだが、やんわりと撃退されてしまったので、私はタカ兄とスズ先輩の邪魔をする為に移動して二人に話しかける。

 

「もうすぐ夏休みも終わっちゃいますね~」

 

「そうね。でも、こうして何回も集まってたから、学校であっても久しぶりって感じはしないわよね」

 

「タカ兄は明後日、柔道部に顔を出すしね」

 

「どういうこと?」

 

 

 私はさっき会長に話したことをスズ先輩にも話す。私の話を聞いたスズ先輩は、タカ兄に同情的な視線を向けている。

 

「アンタ、ホント教師より教師してるわよね……」

 

「ほっといてくれ……」

 

「しかし新学期か~……何か新しいことをしたいな~」

 

「なら自力でテストで合格点を採れるように勉強を――」

 

「キャラ変でもしようかな」

 

 

 タカ兄から鋭い視線を向けられているが、私は気付かないフリをして強引に話を続ける。

 

「キャラ変? なら優等生キャラにでも――」

 

「ドSキャラでも確立しようかな」

 

 

 今度はスズ先輩から言いようのないプレッシャーを浴びせられているが、そもそも優等生キャラなんて私にできるはずがない。というか、タカ兄が天然の優等生キャラなのだから、私がやったところで目立たないだろう。

 

「ドSキャラって、アンタどちらかと言えばMじゃないの?」

 

「私はどっちでもいける変態ですから!」

 

「胸を張って言うセリフじゃないわね……」

 

「胸と言えば、この水着少しきつくなったような気も……」

 

「「くそぅ!」」

 

 

 私が胸に視線を落とすと、スズ先輩だけでなくシノ会長も舌打ちをしたけども、私は別に自慢したくて言ったわけじゃないんだけどな……

 

「ドSキャラって、どんな感じにするの~?」

 

「アリア先輩、戻ってたんですね~」

 

 

 お母さんから電話があって席を外していたアリア先輩に話しかけられ、私は頭の中でキャラを確立してから実践する。

 

「ハッ、私に話しかけるな、ション便臭いガキが」

 

「えっ!? バレちゃった?」

 

「えっ?」

 

 

 アリア先輩が妙に照れ臭そうに言うので、私は素で驚いてしまう……アリア先輩の横でタカ兄が呆れてるのを見るに、どうやらアリア先輩の冗談だったようだが、まさかアリア先輩がそんな冗談で私を騙してくるなんて思ってなかったな……




なにしてるんだよぅ……

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