桜才学園での生活   作:猫林13世

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面倒事は先に片付ける方が良いですから


宿題に挑む

 期末試験も無事に終わりいよいよ夏休み! だというのに、いきなり会長たちがウチにやってきて早速宿題を片付けなければいけない流れになってしまった……

 

「やっと勉強から解放されたばかりだっていうのに、どうして家でも勉強しなきゃいけないんですか!」

 

「お前は毎年最後まで溜め込むんだから、さっさと片付けておいた方が良いだろ? それに、会長たちが付き合ってくれるんだから、分からない箇所はすぐ聞けるだろうが」

 

「はい……」

 

 

 既に宿題を終わらせてるタカ兄と、同じく終わらせているスズ先輩に監視されながら、私は宿題を開いて――

 

「まず問題が何を言っているのか分かりません……」

 

 

――初っ端から躓いた。

 

「お前、よく期末試験で平均点取れたな……」

 

「あれは、タカ兄とお義姉ちゃんが詰め込んでくれたお陰だよ」

 

「ならまだ分かるだろう? この問題は、今回のテスト範囲だぞ」

 

「テスト終了と共に全て出し切ったから残ってないんだよ~」

 

「はぁ……」

 

「タカトシ、ここは私がやっておくから、家のことしてて良いわよ」

 

「ゴメン、お願い」

 

 

 朝早い時間ということで、タカ兄はまだ掃除やら洗濯やらが残っている。一応私がふざけないようにと監視していたようだが、ここでふざければさすがにヤバいということは私だって分かっている。なのでタカ兄がいなくなっても宿題から逃げないようにしなくては。

 

「しかし一年の問題は簡単で羨ましいぞ」

 

「私たちもコトミちゃんの勉強を見た方が良いかな?」

 

「先輩たちはご自分のを終わらせてからで大丈夫ですよ。コトミの面倒は、私が見ておきますから」

 

「というか、これが簡単だって言える先輩たちが羨ましい!」

 

 

 私の頭では一生かかっても簡単だなんて言えないので、あっさりと言い放った先輩たちを妬んだ。でが地頭が違い過ぎるので妬むだけ無駄だとすぐに分かり、とりあえず問題を読むところから始める。

 

「しかし、テスト期間中は兎も角、普段のアンタはあまり成長してないのね」

 

「そんなこと無いですよ~。一日五エロに減りましたし、胸も大きくなってきてますし」

 

「「クソがっ!」」

 

 

 私の言葉にシノ会長とスズ先輩が同時に呟く。そんなに気にしなくても良いと思うのだが、先輩たちは自分の胸が成長しないことを気にしている。

 

「タカ兄は大きさになんて興味ないですから、心配しなくても良いと思いますよ~? もしタカ兄が巨乳好きだったら、とっくの昔にアリア先輩と合体まで行ってるでしょうし」

 

「タカトシに聞かれたら殺されそうなことを平然と言うな、お前は……」

 

「これくらい女子トークの範疇ですよ~。それに、タカ兄は身体的特徴を気にしないのは先輩たちも知ってますよね~?」

 

「それは、まぁ……」

 

「てか、巧みに話題を逸らそうとしても無駄だからね! さっさと宿題をやりなさい!」

 

「うはっ、バレた……」

 

 

 せっかく先輩たちをからかって休憩していたのに、スズ先輩にバレてしまった。まぁ自分の為でもあるし、早く終わらせたらゆっくりと遊べるしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さすがに午前中だけでは終わらなかったので、タカトシの作ってくれた食事で休憩を挟んでから続きをすることに。家主であるタカトシは、夕食の買い物の為不在だが、コトミにふざける余裕はなかった。

 

「これはさっきの応用だからできるでしょ?」

 

「えっと――」

 

 

 この通り萩村が付きっ切りでコトミの面倒を見ているので、さすがのコトミも勉強に集中するしかない。というか、自分の成績を考えれば、ふざけてる余裕などないと分かりそうなものだが……

 

「シノちゃん、ここってどういう解釈なのかな?」

 

「何処だ?」

 

「これ」

 

 

 アリアから質問をされ、私も自分の勉強に戻る。

 

「あぁ、これはだな――」

 

 

 アリアに説明をしていると、横から視線を感じたのでそちらを見ると、コトミが意外そうな目で私たちを交互に見詰めている。

 

「どうかしたのか?」

 

「いえ、アリア先輩がシノ会長に質問するのを初めて見たものでして」

 

「そうか? まぁ、コトミはあまり生徒会室に来ないから知らないかもしれないが、アリアは結構私に質問してくるぞ?」

 

「逆にシノちゃんも私に聞いてくる時もあるしね~」

 

「それって、どっちも分からなかった時はどうするんですか~?」

 

「その時は最終手段だ。タカトシに聞く」

 

「私が言うのもあれだと思いますけど、タカ兄は先輩たちより年下ですよね? 頼るのに抵抗はないんですか?」

 

「お前に言われたくないが、タカトシは私たちとは違うベクトルの存在だから気にしないことにした。同様に萩村もな」

 

「まぁタカ兄もスズ先輩も天才ですからね~」

 

「また集中力が切れてる! あと五ページなんだからさっさと終わらせなさい!」

 

「スズ先輩はスパルタですね~……」

 

 

 萩村に連れ戻されて、コトミは宿題に戻る。あのコトミが一教科だけとはいえ一日でそこまで終わらせるとはな……

 

「そういえば萩村、パリィの歓迎会について聞いてくれたか?」

 

「えぇ、今予定を聞いているところです……おっ、丁度返事が着ました」

 

 

 一度町内を連れ回したが、ゆっくりと親睦を深める為には休みの日に出かけるに限る。私は今から楽しみでしょうがなかった。




またシノが楽しみ過ぎて寝れなくなりそうな展開に

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