桜才学園での生活   作:猫林13世

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相変わらずの人が……


プール開き 三年生の部

 今日はプール開きで、午前中はタカトシたちのクラスがプールを使っていたのを、教室から見ていた。もちろんがっつりとみるのではなく、視界の端で捉えた程度だが。

 

「シノちゃーん。こっちに来て一緒に泳ごうよ~」

 

「そうしたいのは山々だが、その格好だと一段と目立つからな……」

 

「?」

 

 

 アリアのバストが私とは比べ物にならないくらい凄いと分かっているつもりなのだが、薄着になればなるほど、その破壊力は増す。三年に男子がいないからよかったが、もし男子がこの場にいたら、一瞬で勃つだろう。

 

「(これは、これは売れる!)」

 

「何をしてるんだ、お前は」

 

 

 プールサイドの隅から望遠レンズを使ってアリアの胸のアップを撮っていた畑を捕まえてカメラを没収。授業中は先生に預け、終わり次第生徒会で保管することにしよう。

 

「仕方ありませんね。私も普通にプールの授業を楽しみましょう」

 

「畑さん! 更衣室にカメラを仕掛けたのは貴女ですよね!」

 

「おや、そちらも見つかってしまいましたか……今回の設置場所は自信があったのですが」

 

「いい加減警察のお世話になるぞ、お前……」

 

 

 明らかに盗撮なので、警察に突き出せばそれなりに怒られるだろうし、下手をすれば退学になる案件なのだが、畑はあまり反省している様子はない。まぁこいつの場合、警察に怒られるよりもタカトシに怒られた方がダメージがデカいのかもしれないな。

 

「とりあえず泳ぐか」

 

 

 せっかくのプールの授業なので、私は一人で黙々と泳ぐ事にした。水の中にいると、色々な女子生徒のスタイルが見えるが、ウエストの細さなら私も負けていない。まぁ、胸に脂肪がない分、腹にも脂肪がないのかもしれないが……

 

「天草さん、お魚みたいですね」

 

「泳ぎは得意だからな」

 

 

 この場にタカトシがいたら、私程度で得意など言えないのだが、この中でなら私の泳ぎは上手い部類に入るだろう。

 

「こうやって浮いてるだけでも楽しいよー」

 

「うっ……」

 

 

 アリアはただ浮いているだけなのだが、胸が突き出しているので思わず視線をそらしてしまう。あそこまで出っ張るとは……

 

「これはこれは……」

 

「畑さん、くすぐったいよ~」

 

「マグロですな」

 

「何をやってるんだお前は!」

 

 

 アリアの胸をツンツンぷにぷにしている畑を怒鳴りつけて、私は畑をプールサイドに引きずり説教をする。

 

「私だって我慢していたことを堂々とやるんじゃない!」

 

「えー、だって触ってみたいじゃないですか~」

 

「そこで我慢するのが普通の思考だ! それをお前は……」

 

「男子がいるわけじゃないんですし、女子同士ならあれくらい普通ですって」

 

「そうなのか? ……いやいや、とりあえず畑はこの後生徒会室に来るように。タカトシを交えてこってり絞ってやるからな!」

 

「そ、それだけはご勘弁を」

 

 

 この学園で畑の天敵となるのはタカトシのみ。他の人間――生徒会長である私や理事長では畑を反省させるまでには至らないのだが、タカトシが怒ればさすがの畑も反省するし、少しは行動を改めるのだ。

 

「(会長としての威厳など、とうの昔に失くしたからな……)」

 

 

 私だってタカトシに怒られれば反省もするし、改めようと思うのだ。どっちが会長か分からない図だと言われたこともあるが、知らない人が見たらタカトシが会長に見えるのだろうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後、生徒会室に畑さんの気配があったので俺は首を傾げながら生徒会室に入ったが、事情を聞いて納得した。

 

「まだ懲りていなかったんですね、貴女は」

 

「だって、男子からの注文が多くて……特に三年には男子がいないので、下級生たちからしたら先輩女子の水着を見る機会は無いわけですし」

 

「男子がいたとしても、下級生は見れないと思いますが」

 

「またまたー。先輩男子とつながりがあれば、隠し撮り写真とかでおかずにできるじゃないですか」

 

「……そうなんですか?」

 

 

 生憎そう言うことに疎い俺は、シノ会長に視線を向けて確認するが、シノ会長も首を傾げている。まぁ、シノ会長は女性だから、そういうことが分からないのかもしれないな。

 

「兎に角、盗撮は立派な犯罪ですからね。新聞部として活動していたのなら、それなりの罰を与えなければいけませんね」

 

「わ、私個人でやっていましたので、部員たちは知らないです!」

 

「では畑さん個人に罰を与えるべきですか」

 

 

 シノ会長に同意を求め、俺はどのような罰が良いか相談する。

 

「三ヵ月間エッセイを書かないというのはどうでしょう?」

 

 

 不本意ではあるが、俺のエッセイは畑さんの収入源になっている。それを書かないと言えばさすがに反省するかと思うのだが、何故かシノ会長から猛反対を喰らった。

 

「それは駄目だ! お前、どれだけファンがいると思っているんだ」

 

「津田先生のエッセイが読めないとなると、暴動が起こりかねません!」

 

「そんなに……?」

 

「「当然だ(です)!」」

 

「声を揃えて言わなくても」

 

 

 何だか俺が怒られてる気がしてきたが、とりあえず畑さんへの罰は半年間の桜才新聞の転売禁止。並びに個人的な写真販売の禁止で決まった。これを破ったら、今度こそエッセイを書かないと言っておいたので、暫くは大人しくしてくれるだろうが、何故かシノ会長だけでなく、アリア先輩とスズも畑さんに釘を刺していた。




タカトシのエッセイが原因の暴動って……

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