桜才学園での生活   作:猫林13世

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またプレゼント交換まで行かなかった……


入浴の目的は……

 パーティ当日の朝、私たちは皆で宿題を片付ける事にしたのだが、既に終わらせてきた萩村と、昨日騒いだ後終わらせた津田は二人で何か話してる。一体何を話してるというのだ……

 

「これって間違ってない?」

 

「問題に不備があるのよね。私も気になってたのよ」

 

 

 如何やら宿題で出された問題に間違いがあるようだ。良く見ると英語の宿題なので、横島先生の不備だな……まったくあの先生は……

 

「シノッチ、さっきから津田さんたちを凝視してますね」

 

「まさかスズちゃんを視○してるの!?」

 

「シノ会長はペドなんですかね~?」

 

「せめてロリって言えって前も言っただろうが!」

 

 

 コトミの発言に萩村がキレた。やはり身長ネタには過激に反応するんだな……

 

「それでシノちゃん、何で津田君とスズちゃんを凝視してたの~?」

 

「確かに気になりますね」

 

「いやなに、私たちが抜けても生徒会は安泰だなと思ってな」

 

「そうですね。津田さんと萩村さんのお二人が居る桜才が羨ましいです。うちは森さんしか頼れませんし……」

 

 

 急に話しを振られた森さんが慌てて手を左右に振る。彼女は本当に真面目なようだな。五十嵐とは違って……

 

「あの天草会長、何だか変な事を思われてるような気がしたのですが……」

 

「別に何でも無いさ。ただ五十嵐は隠れスケベだなと思ってただけだ」

 

「隠れてるの?」

 

「昨日のアレを鑑みるに、五十嵐さんは私たちと同類ではないかと」

 

「タカ兄の部屋に行くってだけで何処まで妄想したんですか~?」

 

 

 私の発言に、アリア、ウオミー、コトミが続いた。やはり五十嵐の事をそう思ってるんだな。

 

「お前ら……真面目に勉強するんじゃなかったのか……」

 

「「「「あっ……」」」」

 

 

 五十嵐をからかっていたら、背後からもの凄いプレッシャーが迫ってきた。やはり津田は怒らせるものでは無いな……

 

「コトミ、特にお前は全然進んでないじゃないか!」

 

「ひゃう!? ゴメンタカ兄……」

 

「会長と七条先輩も、ふざけてるから間違えてますよ!」

 

「何ッ!?」

 

「ホントだ~」

 

 

 まさか津田も二年の内容を理解してるとでも言うのか……萩村といい津田といい、今年の一年は皆これほど優秀なのだろうか……

 

「そして魚見さん……解答にネタを仕込むのはやめなさい」

 

「おや、さすがはツッコミマスター、しっかりと気がつきましたか」

 

「これを見る先生が可哀想ですよ……」

 

 

 ウオミーの解答には、縦書きで今日の下着の色が書かれていた。まさか文章問題にそんな遊び方が存在したとは……

 

「さすがウオミー!」

 

「この問題、私だとノーパンって書かなきゃいけないわね」

 

「そもそもの趣旨が違う!」

 

 

 津田の拳骨が炸裂し、私たちは大人しく宿題を進める事にした……今回の拳骨は気持ちよくなかったな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宿題をある程度終わらせて、パーティーまでは部屋でまったり過ごす事になった。もちろんコトミちゃんは津田が作った問題集を必死に解いているのだが……

 

「津田さんの妹さん、かなり成績酷いようですね」

 

「そのせいで津田がストレスMAXで危険なのよね」

 

「受験生では無いのに、津田さんが追い込まれてますものね」

 

 

 下ネタで盛り上がってる会長、七条先輩、魚見さんをサクッと無視して、私は森さんと会話を楽しんでいた。五十嵐先輩はコトミちゃんの監視役だ。

 暫く話していると扉がノックされて、七条家メイドの出島さんが現れた。

 

「パーティーの前に入浴されては如何でしょうか?」

 

「そうだな!」

 

「皆一緒に入りましょ」

 

「それじゃあタカ兄も一緒に!」

 

「ッ! そんな事は私が許しません!」

 

 

 さすが風紀委員長、そこはしっかりツッコんでくれたわね。

 

「入浴の際には、身体は念入りに洗ってください」

 

「どうして~?」

 

「女体盛り出したいので」

 

「「「「あ~」」」」

 

「何故誰もツッコまない……」

 

 

 五十嵐先輩は固まり、森さんは偶に津田が見せるような目をして、出島さんを見ていた。

 

「それからワカメ酒も」

 

「私たちは未成年ですよ!?」

 

「この前剃っちゃった」

 

「同じく」

 

「まだ生えてないので」

 

 

 お酒にはちゃんとツッコムんだ……てか更に五十嵐先輩が固まったような気が……

 

「コトミ、お前ちゃんと終わったのか?」

 

 

 騒いでたのに気付いたのか、津田も廊下から顔を覗かした。

 

「もうちょっと……」

 

「終わらないとお前はパーティに出られないからな」

 

「そ、そんな~……」

 

「津田、それはちょっと厳しすぎるんじゃ……」

 

「会長は黙っててください!」

 

「あっはい……」

 

 

 津田の視線と言葉の威力に負け、会長はすんなりと下がっていった……今の津田を下手に刺激するのはマズイわね……

 

「萩村」

 

「な、何よ……」

 

「五十嵐さんは何で固まってるんだ?」

 

「へ……あぁ、出島さんがね……」

 

「それでは私は夕食の準備がございますのでこれで」

 

 

 危機を察知したのか、出島さんがもの凄い速度で逃げ出していった……あの人もやられたくないようね……

 

「さて、それじゃあコトミは俺の部屋で勉強してもらうか」

 

「そんな!?」

 

「それじゃあ私たちは風呂にでも行くか」

 

「そうだね~」

 

「私は後で五十嵐先輩と入りますので、会長たちだけでどうぞ」

 

「それじゃあ私も」

 

 

 森さんも遠慮したので、お風呂には会長と七条先輩と魚見さんが、女子部屋には私と森さんと固まっている五十嵐先輩が、そして津田の部屋には津田兄妹が……何であの兄妹はあそこまで性格も能力も違うのかしら……

 

「そういえば森さん、貴女プレゼントは何を買ったの?」

 

「私は実用性のあるものでタオルを」

 

「タオル……」

 

 

 まぁ確かに実用性はあるわよね……それに誰に当たっても使えるし……

 

「それで、萩村さんは?」

 

「私は参考書を」

 

「参考書……」

 

 

 もちろん、誰に当たってもいいように対応はしてあるので問題は無い。ただコトミちゃんに当たったら解けないかもしれないのだが……

 

「何だか私たち、高校生なのにそれらしく無いですね……」

 

「そうね……私も薄々感付いていたわ……」

 

 

 高校生のクリスマスプレゼントだっていうのに、全然それらしくないものをプレゼントとして選んでるんだからね……そもそも高校生らしいプレゼントって何よ。

 

「ハッ!」

 

「気付きました?」

 

「あれ? 会長たちは……」

 

「お風呂に行きました。ところで五十嵐先輩はプレゼント、何買いました?」

 

「私はお気に入りの作家の小説を数冊と、その本のサイズにあったブックカバーを」

 

「「………」」

 

 

 如何やら五十嵐先輩も高校生らしいプレゼントとは程遠いようだ……

 

「会長たちは何にしたのかしら……」

 

「ウチの会長もですが、そちらのお二人もまともなプレゼントを選んでるような気がしないのですが……」

 

 

 津田、アンタだけが良心よ。こうなったら津田のプレゼントが高校生らしいものである事を願うだけね……




次回お泊り会終了予定

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