桜才学園での生活   作:猫林13世

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また捏造しようとしてるし……


気になる情報

 英稜高校の生徒会は女子四人で運営しているため、高い場所に置いてある物を取る場合は踏み台を取りに行くか、広瀬さんにお願いすることになっている。

 

「広瀬さんは背が高くて羨ましいよね」

 

「そうっすか? 私は森先輩みたいに大きくなりたいって思ってたんすけどね」

 

「何処見てるの!?」

 

「サクラっちは目立つからね」

 

 

 広瀬さんの視線から逃れるために身体を捩ったら、今度は会長が私の胸を見て感心していた。

 

「会長だって十分に大きいじゃないですか」

 

「確かにシノっちやスズポンと比べれば大きいですが、サクラっちやアリアっちと比べれば普通サイズですよ」

 

「会長が普通サイズなら、桜才の二人はどうなるんですか?」

 

 

 広瀬さんが特に考えなく言い放ったセリフに、会長が少し考えて首を振りました。

 

「広瀬ちゃん、それは言っちゃいけないことだよ」

 

「そうなんすか……痛っ!?」

 

 

 喋りながら生徒会室に入ると、広瀬さんがくぐり損ねて頭をぶつけていた。

 

「大丈夫?」

 

「まぁ平気っすね。ぶつけるのも慣れてますし、私石頭っすから」

 

「鴨居に頭をぶつけるなんて、タカ君くらいしか知り合いにいなかったけど、広瀬ちゃんもぶつけるんだね」

 

「あの人ほどじゃないっすけど、私もデカいっすから」

 

「でも石頭って羨ましいな」

 

「どうしてです?」

 

 

 石頭を羨む理由が分からず、私は会長に尋ねる。

 

「だってHの時ってかなり頭をぶつけるらしいから」

 

「………」

 

 

 何故会長に尋ねてしまったのか、私は数秒前の私を恨んだ。どうせろくでもないことなんだとは分かっていたが、本当にろくでもなかったから……

 

「とりあえず、仕事しましょうか」

 

 

 青葉さんが切り替えてくれたお陰で、生徒会室の中に気まずい空気が流れることはなかった。

 

「それじゃあ、とりあえず仕事しましょうか」

 

 

 会長が号令をかけてくれたお陰で、それまでの緩んだ空気が張り詰め、黙々と作業を進められた。ある程度終わったのか、会長と青葉さんがお喋りをはじめ、私はお茶を用意し、広瀬さんは鞄からトレーニンググッズを取り出し始めた。

 

「それにしても暑いっすね」

 

「広瀬さん。いくら女子しかいないからって、もう少し周りの目を気にした方が良いよ」

 

「気にし過ぎじゃないっすかね? そもそも私のような筋肉女の身体なんて、男子が見ても喜ばないでしょうし」

 

「サクラっちは純だから仕方ないって」

 

「私は生徒会の風紀をですね――」

 

 

 私が広瀬さんにお説教をしている横で、会長と青葉さんが何か目で会話をしているのが見えたけど、私にはタカトシ君のように表情から心の裡を探ることはできないので、会長たちが何を考えているのか分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日夜スクープを探るのが私の使命であり、貴重な収入源になる。なので常にアンテナを張っているのだが、ここ最近学園長と横島先生が密会しているのを目撃する回数が増えている。

 

「(もしかしたら面白い記事になるかもしれないですね)」

 

 

 今も理事長室で二人きりで会話をしているので、私は壁に耳を当てて中の会話を盗み聞きしている。

 

『例の件、どうなっているかな?』

 

『滞りなく』

 

 

 やはり何かネタになることがありそうですが、具体的な内容は分からない。

 

『生徒の間で噂になっていたりは?』

 

『それも問題ありません。毎回こうして二人きりで会っていますから』

 

『なら安心だな』

 

 

 むぅ……全然具体的な内容を話してくれませんね……

 

「何してるんですか?」

 

「中で学園長と横島先生が……?」

 

 

 私は誰かに話しかけられたので答えたが、話しかけてきた相手を気にしていなかった。だが改めて考えると、話しかけてきた相手は、今一番見つかりたくない相手だった。

 

「失礼します。盗聴魔を捕まえましたのでご報告に」

 

「畑っ! お前また盗み聞きしてたのか」

 

「ご安心を。具体的なことは何も分からなかったので、学園長が横島先生と不倫しているということにして記事にしようかと」

 

「お説教されたいならそう言ってくれればいいのに」

 

「じょ、冗談ですよ……それで、何をこそこそとしていたんですか?」

 

 

 津田副会長の威圧感に負け、私は素直に問いかけることにした。

 

「正式発表はまだだから、記事にするのは駄目だからな」

 

 

 そう念を押されたが、私は横島先生から具体的な話を聞き出すことに成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学園長室から畑さんを生徒会室に連行して、俺は後のことを会長に任せて作業を始める。

 

「留学生?」

 

「来週来るそうです」

 

「ふっ、バレましたか」

 

「コトミ? 何か用か?」

 

 

 何をしに来たのか分からないコトミが生徒会室に現れ、またおかしなことを言いだした。

 

「実は私、竜族の血を引いていまして――」

 

「留学生ってどんな人かな?」

 

「アメリカ人らしいですよ。ホームステイをするそうです」

 

「あっ」

 

 

 畑さんの話でアリア先輩が何かを思い出したようだが、こっちもろくでもなさそうなので拘わらないでおこう。

 

「どうした、アリア?」

 

「ホームステイで思い出したけど、今朝出島さんにステイさせたまま出かけてきちゃった」

 

「何やってるんですかっ!」

 

 

 スズがツッコみを入れたが、とりあえずそれ以上会話が発展しなかったので、俺はスルーして作業を続ける事にしたのだった。




聞き耳を立てるのは兎も角、捏造は良くない

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