桜才学園での生活   作:猫林13世

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原作の流れは無しで


町内パトロール

 夏休みに入ったからと言って、生徒会の活動が無いわけではない。むしろあの会長は、こういう時だからこそいろいろとやりたがる人なのだ。

 

「第一回! 町内パトロールのお手伝い!」

 

「わー!」

 

「盛り上がってるの七条先輩だけですよ?」

 

 

 シノさんの宣言にアリアさんが付き合ったが、スズはジト目でシノさんの事を見ている。恐らくあのテンションに付き合いたくないのと、さっき町内会の人に子供と間違えられて機嫌が悪いのだろう。

 

「夏はトラブルが多いので、その為の防止活動だ」

 

「はい」

 

 

 簡単な事情説明を受けて、俺はシノさんから腕章を受け取る。

 

「まずはお肌のトラブル防止だ!」

 

「そういう事は家で済ませてきてくれませんかね?」

 

 

 堂々と日焼け止めを塗り始めたシノさんに、スズだけではなく俺もジト目を向ける。すると少し慌てたような手つきになり塗り方にムラが出始める。

 

「ちゃんと塗らないと意味ないですよ?」

 

「わ、分かってる!」

 

 

 とりあえず塗り終えたので、俺たちは町内の見回りを開始する事にした。

 

「最近監視カメラ、増えましたよね」

 

「そうだな。商店街や公園」

 

「ダミーもありそうですけどね」

 

 

 全て本物だったら結構な予算が掛けられている事になる。必要な事だが文句を言いだす人がいないとも限らないので、あくまでも予算内で設置出来るだけなのだろうが。

 

「そういえば、自宅の中に設置する人もいるとか」

 

「それはAV女優の私生活を覗き見する企画ものじゃなかったっけ?」

 

「そうだったな」

 

「何でそんな事を知ってるんですかね?」

 

 

 最近は大人しくなっていたのに、夏休みという事で気が緩んでいるのか?

 

「あっ、タカ兄……」

 

「お前、家で勉強してるって言って無かったか?」

 

「こ、これはちょっとした息抜きで……」

 

「コトミ、お前兄貴に許可をもらったって言って無かったか?」

 

「わー! トッキー、シー!」

 

「バツとしてコトミも見回りに参加してもらおう」

 

 

 シノさんが予備の腕章をコトミに差し出し、それを渋々受け取るコトミ。まぁ、遊んでるくらいなら生徒会活動に参加してもらった方が有意義な時間の遣い方と言えるだろう。本当はとっとと宿題を片付けてもらいたいのだが。

 

「あれ? スズ先輩、腕章がずり落ちてますよ? 安全ピンで留めないんですか?」

 

「これは……おニューの服で穴を開けたくなくて」

 

「ちゃんとしないと迷子の子供だって思われちゃいますよ?」

 

「はったおーす!」

 

「遊ぶんじゃねぇ……」

 

 

 スズをからかって遊びだしたコトミにチョップを喰らわせ、人数が増えたので二手に分かれる事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何故かタカトシとコトミペアになってしまい、私たちは三人で見回りをしている。というか、コトミがいなきゃタカトシと一緒にいられたのに。

 

「あそこで子供たちが川遊びしてますね」

 

「おーい、危ないから川で遊んじゃ駄目だ」

 

「「はーい」」

 

 

 会長が注意すると、子供たちは素直に言う事を聞いてくれた。こういう子たちばかりだとやりやすいのだけども、中には反発する子もいるのよね……

 

「じゃあ私とあそんでー」

 

「パトロール終わってからな」

 

 

 会長が女の子に手を引っ張られ強請られているのを見て、私は微笑ましさを覚える。

 

「あら、おませさん」

 

「?」

 

 

 私とは違う感覚なのか、七条先輩はそんな事を言い出した。

 

「そういうセリフは十年早いよー」

 

「年相応のセリフだと思いますけど!?」

 

 

 何を曲解したらそう言う言葉が出てくるのか不思議でしょうがない。やっぱりタカトシがいないところでは全然変わってないな、この人たち……

 

「ん? タカトシから?」

 

「私も」

 

「私にも」

 

 

 三人同時にタカトシからのメッセージを受け取り、私たちは携帯を操作する。

 

「……コトミが熱中症になったので、家に連れて帰る、か……」

 

「何の為に参加したんですかね、コトミのヤツ……」

 

「まぁ、見回りに適した格好じゃなかったから仕方ないのかもしれないね」

 

 

 私たちは帽子を被ったりして熱中症対策をしているが、コトミはそもそも見回りをする為に外出したわけではないので、帽子は被っていなかった。その所為で熱中症になったかもしれない。

 

「とりあえずタカトシが抜けてしまったので、戻ってくる間で我々だけで見回りをするぞ」

 

「仕方ないですね」

 

「コトミちゃんだもんね」

 

 

 七条先輩のセリフに、私と会長は頷いて同意した。それで納得出来るものおかしな話だが、コトミだから仕方がないという事で納得するしかないのだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく見回りをしていたら、コトミちゃんを家に寝かせに行っていたタカトシ君が再合流した。

 

「すみませんでした」

 

「まぁ、タカトシが悪いわけじゃないしな」

 

「これ、差し入れのアイスです」

 

「アイスっ!」

 

「あらあら」

 

 

 甘いものに目が無いスズちゃんが凄い勢いでタカトシ君の言葉に反応を示す。そう言うところは子供っぽいと思われても良いのかしら。

 

「あーアイスいいな~」

 

「君たちの分もあるから、仲良く分けるんだよ」

 

「「「はーい」」」

 

 

 ちゃんと小さな子たちの分も買ってきてるあたり、タカトシ君はさすがだよね。




ここのタカトシが熱中症になるはずないなーって事でコトミ登場。フラグバッキバキですな……

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