桜才学園での生活   作:猫林13世

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事態をややこしくしようとする人が……


ムツミのハプニング

 今日の体育はタカトシ君と一緒。なんだか緊張するけども、他の男子たちが女子が動くたびに声を上げているけども、何を観て盛り上がってるんだろう?

 

「ねぇねぇスズちゃん」

 

「なに?」

 

「さっきから男子たちが盛り上がってるんだけど、何で盛り上がってるのか分かる?」

 

「私が分かるわけ――」

 

 

 スズちゃんが答えようとしたタイミングで再び声が上がり、スズちゃんが男子たちの視線の先を辿ってため息を吐いた。

 

「まともに参加しないで女子の胸を見て盛り上がってるみたいね」

 

「そうなんだ」

 

 

 あの中にタカトシ君がいなくて良かったって思った私は、何かおかしいのかな? それとも、私はタカトシ君に見て欲しいって思ってるのかな?

 

「それにしても、長ズボンって動きにくいね」

 

「そう? 普段から道着で穿いてるんじゃないの?」

 

「道着は慣れてるけど、ジャージはちょっと……脱ごうかな」

 

「下穿いてるならいいんじゃない?」

 

「じゃあ脱ごう」

 

 

 下に短パンを穿いてるから、ジャージを脱ごうとしたら勢い余って短パンまで下ろしかけてしまった。

 

「スズ、ちょっと――」

 

「わぁ!」

 

「な、何だよ三葉……」

 

「みっ、見えた!?」

 

「いや、何も見てないが……というか、何かあったのか?」

 

「ううん、何でもない!」

 

 

 前にネネが『津田君はラッキースケベ体質とアンラッキースケベ体質が同居してる』って言ってたけど、それってどういう意味だったんだろう……でもまぁ、見られなくて良かった。

 

「見えた!! パンツのゴムの跡が……これは実質パンツ見たようなもんだね」

 

「ひゃー!」

 

「ネネ、話をややこしくしないでくれない?」

 

「というか、さっきまで死にかけてたのに、何でここまで来てるの?」

 

「あっ、いや……ムツミのエロハプに興味を惹かれて……」

 

「動けないって言うからスズたちを呼びに来たのに、自分で動いてここまで来たなら大丈夫だな。じゃあ、俺は戻るんで」

 

 

 どうやらタカトシ君は動けなくなったネネの事を私たちに伝えに来てくれただけみたい。だけどネネが自力でここまで来たからその意味も無くなったので、タカトシ君は授業に戻っていった。

 

「というかネネ、体力無さすぎ」

 

「私は機械いじりが専門なんだよ……あっ、弄るだけじゃなく弄ってもらうのも――」

 

「ほら、またタカトシに怒られそうになる前に授業に戻るわよ。ムツミも、ジャージ脱いだならさっさと再開しましょう」

 

「そうだねー」

 

 

 体育は私の唯一の見せ場と言える授業だし、これ以上お喋りでその活躍の場を減らすのは避けないとね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 体育ではタカトシとムツミの活躍を間近で見せられた所為で、何となく凹んでしまったけども、体力お化けのムツミと、何か真剣に取り組めば今すぐにでもプロとして通用するのではないかと言われているタカトシと自分を比べるだけ無駄よね……

 

「どうした萩村、食が進んでないように見えるが」

 

「いえ、ちょっと考え事を」

 

「そうなのか。ところでこのカレー、メニューの写真と実物とじゃ、随分と違う気がするな」

 

「ですが、そんなものじゃないですか? メニューの写真は美味しそうに見えるように撮るものですから、実物以上に気合いを入れて作る事もあるでしょうし」

 

「出島さんから借りたDVDも、パッケージのサンプル画像のシーンが入ってなかったりするし、それが普通なんじゃない?」

 

「そりゃ十八禁DVDだろうが!」

 

 

 何で七条先輩が意図したDVDが十八禁だって分かったのかは私自身も分からないけども、出島さんから借りたという一言で理解したという事にしておこう。

 

「ところで、タカトシはどうしたんだ?」

 

「授業を不真面目に受けていた男子たちの説教に駆り出されました」

 

「不真面目? 何があったんだ?」

 

 

 私は体育の授業であった事を会長たちに話す。

 

「――という事があり、それが大門先生にバレたそうです」

 

「そりゃご愁傷様としか言えないな……思春期男子たちにとって、女子の体育なんて乳揺れ見放題だろうし」

 

「そうだね~。もし私たちの学年に男子がいたら、そんな風になっちゃうのかな?」

 

 

 これ見よがしに七条先輩が腕組みを解き、その反動で胸が揺れる……

 

「アリアよ……」

 

「ん、なーに?」

 

「ワザとか? ワザとなんだな?」

 

「し、シノちゃん? 顔が怖いよ……?」

 

「戻りました……? 何、この空気?」

 

 

 会長が七条先輩に詰め寄ろうとしたタイミングで、タカトシが食堂に戻ってきた。

 

「いや、ちょっとした問題が発生しただけで、アンタが気にするような事じゃないから」

 

「そう……? というか会長、カレーこぼれますよ?」

 

「おっと……すまないタカトシ、助かったぞ」

 

「いえ」

 

 

 食堂にはやってきたけども、タカトシの手にはお弁当がある。まぁ主夫様が学食のメニューを食べるなんてことはないわよね……コトミちゃんならともかく。

 

「というか、何でタカトシは呼ばれたの?」

 

「今後監視役を命じられた。先生が監視するより効果的だろうからって。それで呼び出された」

 

「アンタも大変ね……妹の監視以外も任されて」

 

「あはは……悲しくなるから同情しないで」

 

「ご、ゴメン……」

 

 

 何故か同情しちゃうのよね……本人は同情して欲しくないみたいだけど、同情する以外どうすれば良いのよ……




監視対象何人だよ……

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