桜才学園での生活   作:猫林13世

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珍しい構図


お泊りの夜

 タカトシの負担を減らす為にコトミの面倒を見ていたのは良いが、課題が終わるのを待っていたら外は猛吹雪となり、我々は津田家へお泊りする事になった。

 

「こうして三人同じ部屋でお泊りするのって、実は初めてかもしれないね~」

 

「そうですね。何時もはタカトシの部屋に泊まる権利を争ってるわけですし」

 

「てか、私だけ一人で布団を使わせてもらって悪いな」

 

 

 来客用の布団は今クリーニングに出しているらしいので、私たちが使える布団は二つ。じゃんけんの結果私が一人で一つの布団を使い、アリアと萩村が二人で使う事になったのだ。

 

「じゃんけんの結果ですし、文句はありませんよ」

 

「スズちゃん、抱き枕にちょうどいいサイズだし、私的にも問題ないよ~」

 

「なんか引っ掛かるんだよな……」

 

 

 萩村が抱き枕にされる事に違和感を懐いてるようだが、確かにあのサイズなら抱きしめるのにちょうどいいだろう……まぁ、私は抱き枕は使ってないから必要無いが。

 

「それじゃあ、お休み」

 

「お休み~」

 

「おやすみなさい」

 

 

 明かりを消し、いよいよ寝ようと思ったのだが、外は吹雪で気温は当然低い。布団を被っても暖かくならず、私はどうすれば寝られるか頭を悩ませている。

 

「(隣の二人からは寝息が聞こえ始めているというのに……)」

 

 

 コトミの世話や夕飯の準備、その他もろもろで疲れていたのだろうが、この寒いのに良く寝られるものだ……

 

「(ん?)」

 

 

 どうやったら寝られるのか二人を見て分からないかと隣に視線を向けると、アリアが萩村を抱きしめて暖を取っている。そのお陰で萩村もアリアの体温を感じてぐっすり、といった感じに見受けられる。

 

「まさかこっちが当たりだったとはな」

 

 

 私は二人の布団に潜り込み、アリアの身体を抱きしめる事で暖を取る。結果萩村が潰される形となったのだが、起きる気配もないし良いか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカ兄を休ませようという名目でお泊りに来た先輩たちも寝静まったので、私はこっそりと部屋を抜け出してリビングでゲームをしようと思ったのだが、部屋を出てすぐタカ兄に見つかってしまった。

 

「こんな時間に何してるんだ?」

 

「えっと……ちょっとトイレに」

 

「なら何でそんなにビクビクしてるんだ? トイレなら堂々と行けばいいだろ」

 

「えっと……割と切羽詰まってまして……」

 

 

 タカ兄相手に嘘を吐いたところですぐに見抜かれるだろうけども、今日は全然出来てないから少しくらい進めたいのだ。

 

「……一時間だけだからな。それ以上は先輩たちが起きる可能性がある」

 

「えっ……やっても良いの!?」

 

「やる事をしっかりとやったんだから、それくらいはかまわない。ただ、お前は何時もやり過ぎているから禁止してるだけだ」

 

 

 それだけ言うとタカ兄は部屋に戻っていく。なんだかお母さんみたいなお兄ちゃんだけど、私がしっかりしてないからそんな感じになってるんだよね……

 

「タカ兄に許可してもらったから、早いところプレイしよう」

 

 

 一時間という制限がついてしまったが、やっていいと言ってもらえたのだから遠慮する必要は無い。もちろん、寝てる人もいるのでミュートでプレイしなきゃだけど。

 

「お義姉ちゃんと一緒にプレイして以来だから、三日ぶりくらいかな」

 

 

 昨日、一昨日とタカ兄の監視が強すぎてプレイできなかったから、私ははやる気持ちを抑えながらゲームを開始する。タカ兄もやれば楽しさが分かると思うんだけど、タカ兄はちゃんと分別を持ってプレイするから、私のように何かを疎かにする事はないんだろうな……

 

「この敵が硬いんだよね……一時間で倒せるまでレベルアップ出来るかな……」

 

 

 戦術を駆使しても倒せないので、単純に火力が足りないのだ。私はキャラを強化する事で火力を増し、さらにいろいろと考えた戦術を駆使して敵を倒すと決めていた。だが二日プレイ出来ていなかったので、まずはレベルアップに時間を費やす必要がある。

 

「気づいたら一時間以上やってそうで怖い……」

 

 

 私は時間と戦いながら敵を倒し経験値を稼ぐ。何時もならゲームに熱中できるのだけど、課題やらテスト対策やらで頭を使っていた所為か、気付いたら寝落ちしていたのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コトミが二階に戻ってくる気配がしないと思って下に様子を見に行くと、コントローラーを握ったまま眠っていた。ちゃんと時間を気にして止めようとしていたようで、セーブポイント前での寝落ちのようだ。

 

「余程疲れていたんだろうが、あれくらいで疲れ果てるならテスト対策期間を前倒しにしなきゃダメそうだな……」

 

 

 コトミの手からコントローラーを取り、しっかりとセーブしてから電源を切る。普段ならこの場に放置するところだが、この気温では風邪を引くかもしれないな……

 

「やれやれ、結局俺もコトミには甘いな……」

 

 

 ゲームを片付けてコトミを背負い階段を上がる。途中で起きるかもしれないと思ったが、ぐっすりと眠っていたのかベッドに降ろしてもコトミは起きる事は無かった。

 

「努力しようとし始めてるだけ進歩だと思わないとな……」

 

 

 スタート地点が後ろ過ぎた為、まだ同級生たちと比べだいぶ後ろにいるが、変わろうと思い始めてくれたのは、間違いなく進歩だろう。そう思わないとこいつの相手なんて務まらないしな……




まさかのスズたんぽ……

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