桜才学園での生活   作:猫林13世

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50話目ですね


翌日の身体

 体育祭翌日、生徒会室で作業してたら会長が急にモゾモゾしだした。

 

「如何かしたんですか?」

 

「痒い……」

 

「背中ですか? 俺が掻きましょうか?」

 

「いや、あの日なんだ……」

 

「あっ……何かゴメンなさい」

 

 

 気まずい雰囲気になりそうだったので、俺は生徒会室から逃げ出した。ちょっとトイレにも行きたかったし、まあ不自然ではあるがそれ程気まずくなる事も無いだろうこれで……

 

「津田ー」

 

「ん? 柳本、何か用事か?」

 

「トイレ行こうぜ!」

 

「それは良いが、何でお前が今日学校に居るんだ?」

 

 

 今日は体育祭の代休で、一般生徒は休みなんだが……

 

「忘れ物を取りに来ただけだよ。それでタイミング良くお前と会っただけ」

 

「ふ~ん……」

 

 

 休日に取りに来るほど大事な物を忘れたのか?

 

「あれ、萩村」

 

「津田? アンタ生徒会室に居たんじゃ……」

 

「トイレだよ。萩村は何処に居たの?」

 

「私は軽く見回りに……ところで、アンタの連れは何で震えてるの?」

 

「震えてる? ホントだ。柳本、そんなに我慢してたのか?」

 

「違う……」

 

 

 何だ、漏れそうな訳では無いんだ。それじゃあ如何して……

 

「筋肉痛で足が……」

 

「お前、そんなに運動してたか?」

 

「情けないわね~」

 

「何でお前らは平気なんだよ! あれだけ動いてたのに」

 

「普段から運動してれば問題無いだろ」

 

「そうね、私も鍛えてるから」

 

 

 へぇ~、萩村も鍛えてるのか……俺は運動程度だけど、萩村はどんな事してるんだろう。

 

「こうやって、爪先立ちして歩いてるから」

 

「気付かなかった!?」

 

 

 そこまでして大きく見られたいのか……いつかその努力が報われると良いな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田と生徒会室に戻ると、七条先輩が花束を持っていた。

 

「それ、如何したんですか?」

 

「緑化委員の子から貰ったんだけど、飾っても良いかな?」

 

「良いんじゃないですか? 部屋も明るくなりますし」

 

「ですが、花瓶なんてこの部屋にありましたっけ?」

 

「ちょっと探してみよう」

 

 

 部屋中を探したが、花瓶は無く、代わりになりそうなものも見つけられなかった。

 

「じゃあこれで代用しよう!」

 

「どれです?」

 

 

 七条先輩が鞄から取り出したものを見て、私と津田は絶句した。

 

「何故花瓶は無くてオナ○ールはあるんですか……そもそも七条先輩には必要無いものですよね?」

 

「うん。これは津田君にあげようとおもってたものなんだけどね~」

 

「いりません……」

 

「私の形を完全に再現した特注品だよ~」

 

「だからいりませんって……」

 

 

 津田が必死に断ってる横で、会長が熱心にそれを見ていた。

 

「これがアリアの……なんて羨ましいんだ」

 

「良かったらシノちゃんのも作ってあげようか?」

 

「何!? ……っあ、いや……私は遠慮しておく」

 

 

 一瞬食いつきそうだったけど、会長は結局遠慮したようだった。

 

「やっ!」

 

「畑さん」

 

「今月の桜才新聞が完成したので報告に。注目の記事は、天草会長の支持率98%」

 

「さすがシノちゃん」

 

「いや、みんなのおかげだ」

 

 

 畑さんが作ってきた新聞を津田が検閲している。私でも出来るのだけども、津田の文才が発覚してからは津田に任せている。

 

「確かに高い支持率ですが、支持の理由が書いて無いのは何でですか?」

 

「おや~、書いてませんでしたか」

 

「畑、理由を聞かせてくれ」

 

「少々お待ちを……なるほどなるほど」

 

「畑?」

 

「部員が空気を読んで書かなかったのだと思いますが、私には関係ありませんね。支持の理由は自分では無ければ誰でも良いですね」

 

「………」

 

 

 新聞部と言うのは、畑さん以外は真面目なのかしら……しっかりと空気を読んで支持の理由を書かなかったのに、それをあっさりと暴露するとは……

 

「じゃあ私はこれで。支持の理由を書き足さなければいけませんし」

 

「それは大丈夫です。むしろアンタが空気を読んでこの場で謝罪しろ」

 

「貴方たちが理由を聞いたのよ~」

 

「それは……そうですが」

 

「じゃ、私はこれで」

 

 

 空気を悪くして畑さんは生徒会室から居なくなった……だれかこの空気を変えられる人はいないのだろうか……

 

「そう言えば津田君、その指如何したの?」

 

「へ? ああ、昨日コトミが割った皿で切ってしまいまして。大変でしたよ、血が沢山出て」

 

「痛い話は嫌いだー!」

 

「会長?」

 

 

 さっきまでへこんでいた会長が、津田の話を聞いて耳を塞いだ。これはこれで空気が変わったのかもしれないわね……

 

「よーす!」

 

「横島先生、その蚯蚓腫れは?」

 

「ああ、これは鞭の痕」

 

「痛いですか?」

 

「そりゃあね、痛いけどその中にも気持ちよさはあるものよ。例えば……」

 

「聞きっぱなし?」

 

「痛い話は嫌いなんじゃ……」

 

 

 横島先生の話に夢中になっている会長と七条先輩を見て、私と津田はため息をこぼした。

 

「飯でも食いに行くか」

 

「そうね。食堂に行きましょう」

 

 

 今日はお弁当持ってきてないし、食堂で何か軽く食べて作業の続きを終わらせないと。

 

「部活とかあるから、やっぱり混んでるな」

 

「まあね。私たちの方が部外者っぽいしね」

 

 

 津田と二人で食券を買い、カウンターで商品を受け取る。

 

「何処か空いてないかしら」

 

「あれ、タカトシ君?」

 

「三葉も食堂だったんだ」

 

「凄い量ね……」

 

「これくらい普通……あれ? 何だか急に食欲が無くなっちゃった」

 

「それはピュアだと……」

 

 

 一緒に居た中里さんにツッコまれたが、結局私たちが離れると三葉さんは残さず綺麗に平らげたようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室に戻ると、まだ横島先生が居た。

 

「難しく考える事は無いわよ。適材適所、自分に合った職業に就けば良いの」

 

「なるほど……例えばどんな?」

 

「そうね……エロい妄想が得意なら教師」

 

「ふむふむ……え?」

 

 

 よかった、会長も引っかかりを覚えてくれたようだ……今ので納得されると何と無く困るんだよな……

 

「だってそうだろ? 教師と生徒の背徳恋愛なんて、妄想が得意じゃなきゃ出来ないぜ」

 

「そうですね……ですが、それだけで教師がむいてるとは思えないのですが……」

 

「あくまで例えだからな。後は自分で考えて見つけるんだな」

 

 

 結局投げっぱなしかよ……あの人は進路指導にはむかないんだろうな……

 

「津田、作業を再開しましょう」

 

「そうだな……」

 

 

 馬鹿共は放っておいて、こっちはさっさと作業を終わらせて帰る事にするか……




津田は筋肉痛にはならないだろうと言う事だけで柳本を登場させました。ちなみに彼の忘れ物は思春期男子のバイブルです。

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