桜才学園での生活   作:猫林13世

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ぶっちゃけありえない……


津田の運動量

 体育祭も終わり、各部活の面々と生徒会で片付けをする事になっていたので、コトミは先に家に帰した。

 

「そう言えば津田」

 

「なに?」

 

「アンタって普段運動してるの?」

 

「一応してるけど……何で?」

 

 

 萩村がそんな事を聞いてくるなんて珍しいな……

 

「いや、気になったから」

 

「ふーん……」

 

「私も気になりますねー」

 

「魚見さん……帰ったんじゃ?」

 

「シノッチとこの後約束があるから」

 

 

 だからって片付けをしてる傍で突っ立ってられると邪魔なんですが……

 

「津田君がどんな運動をしてるのか、私、気になります!」

 

「七条先輩?」

 

「私も気になるぞ!」

 

「会長まで……」

 

 

 てか、片付けは良いのだろうか……

 

「片付けが終わったら話しますから、今は片付けを終わらせましょう」

 

「そうね……その代わり後でちゃんと話してもらうからね!」

 

「分かったよ」

 

 

 別に大した事はして無いんだがな……

 

「津田副会長、こっちを手伝ってもらえますか?」

 

「分かりました」

 

 

 男手は俺だけだし、力仕事は自ずと俺の仕事になる……てか男子は手伝わないでさっさと帰りやがって……部活やってないからなのかもしれないが、手伝おうとは思わないのか?

 

「津田くーん! 次はこっちをおねがーい!」

 

「ちょっと待ってくださいね」

 

 

 これも結構運動になるんだよな……まあこれだけで済ませては無いけど……

 

「津田、こっちも頼む」

 

「横島先生? 今まで何処に居たんですか?」

 

「ちょっとな……悪いが保健室まで運んでくれ」

 

「何を?」

 

「私を」

 

「何処か怪我でもしたんですか?」

 

 

 見たところ怪我らしい怪我は無いようだが……

 

「下半身」

 

「……は?」

 

「やっぱり自分のサイズにあったものじゃなきゃ駄目ね」

 

「アンタ一日何してた!」

 

 

 この人は放っておいていいだろう……それよりもまだ片付けるものが沢山……

 

「何してるんですか?」

 

「片付けしてたら、なんか絡まっちゃったの」

 

 

 ありえないだろ……

 

「ローププレイか! 隙だらけの中に隙が無いな!」

 

「ベネゼエラ」

 

「萩村、国旗はもういいから……」

 

 

 生徒会もろくに働いてねぇな……

 

「津田副会長、あっちを手伝ってもらえますか?」

 

「はい、今行きます!」

 

 

 こうなりゃヤケだ。出来る限り一人で手伝ってやる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 片付けも終わったようで、私と森さんも含めた生徒会メンバーはとりあえず生徒会室に向かう事となった。

 

「お疲れ様です」

 

「ありがとうございます……」

 

 

 森さんにお茶を淹れてもらった津田さんは、一気にそのお茶を飲み干しました。どれだけ水分を発散したんでしょうね……賢者タイムなのでしょうか?

 

「汗掻いたんだよ! アンタだって見てただろうが!」

 

「あら」

 

 

 如何やら声に出してたようですね。

 津田さんの言うように、片付けの殆どを津田さんが行っていて、残りの生徒会メンバーは遊んでましたしね。萩村さんは力仕事には向きませんし……

 

「……何か?」

 

「いえ、何でもありませんよ」

 

 

 間違っても身体が小さいなんて言えませんしね。

 

「着替えるか!」

 

「そうだねー」

 

「それじゃあ俺はトイレで着替えてきます」

 

「別に気にしなくても良いぞ?」

 

「……俺が気にするんです」

 

 

 津田さんは着替えの為に一時退室、その間生徒会室では津田さんの話題で盛り上がりました。

 

「凄かったですね、今日の津田さん」

 

「そうだな。まさかあそこまでやってくれるとは思わなかったぞ」

 

「そうだねー、津田君のおかげで勝てたしね」

 

「シノッチ、津田さんは何か部活をやってるの?」

 

「いや、生徒会だけだが?」

 

「もったいないですね」

 

 

 彼の実力なら運動部のエースにだってなれるでしょうに……

 

「ウオミーも知っての通り、桜才は去年まで女子校だったからな」

 

「男子が出来る運動部って、まだ無いのよね」

 

「そうでしたね……森さんは如何思います?」

 

「私ですか? そうですね……学外でも運動は出来ますし、そっちでやれば良いのではないでしょうか」

 

 

 確かにそうなんですが、それだと学園の知名度とかが上がらないんですよね……私には関係無いですが、学校側からすればかなりの損だと思いますよ……

 

「そう言えば、津田にどんな運動をしてるのか聞くの忘れてました」

 

「そう言えばそうだな」

 

「戻ってきたらちゃんと聞こうね」

 

「そうですね。普段からどれだけ運動をしてるのか気になりますからね」

 

 

 口には出してませんが、森さんもかなり興味があるような素振りですし、津田さんはどれだけ運動してるんでしょうね……

 

「そう言えばシノッチ」

 

「何だ?」

 

「自家発電は運動になるのでしょうか?」

 

「う~む……その点は男子を交えないと何とも言えないぞ……」

 

「そこも津田君に聞いてみましょうよ」

 

 

 萩村さんと森さんが呆れた顔をしてるけど、私たちは気になった事をそのままにしておけない性質なので、津田さんが戻ってきたら聞くんですけどね。

 

「津田からメールだ……そろそろ戻ってくるそうだ」

 

「そっか、じゃあ戻ってきたら意見交換を……」

 

「楽しみです」

 

 

 早く戻ってこないでしょうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 着替え終えて生徒会室に戻ると、何故だか全員が興味津々の目を向けてきた。萩村と森さんは若干同情も混じってるような気がしたけど、何でだろう?

 

「津田、自家発電は運動になるのか?」

 

「は?」

 

「ほら、男の子って上下運動でしょ?」

 

「腕の筋肉とか鍛えられるのですか?」

 

「……萩村、帰ろう」

 

「そうね。話は帰りながらでも出来るし」

 

「じゃあ私も」

 

 

 馬鹿な事を聞いてきた三人をおいて、俺は萩村と森さんと一緒に帰る事に……

 

「「「待ってください!」」」

 

 

 逃げ出す事に失敗したようだ……

 

「とりあえず、さっきの質問だ。お前は普段どんな運動をしてるんだ?」

 

「普通ですよ。腕立て、腹筋、背筋をそれぞれ毎日200回くらい」

 

「結構大変だね~」

 

「それから一ヶ月で走る距離を決めて、その日の気分で走ったりしてますね」

 

「ちなみに、その一ヶ月に走る距離ってどれくらい?」

 

「そうですね……70キロから100キロの間ですかね」

 

 

 時間が取れる月とそうでない月で結構な差があるし、必ずしもその距離とは決まって無いしな……

 

「あれ? 如何かしました?」

 

 

 何だか全員が固まってるんだが……

 

「津田、アンタ凄いわ」

 

「そう?」

 

「津田君の事、ホントに凄いって思えたよ~」

 

「それだけ運動して、君は何か目的でもあるのか?」

 

「目的ですか? とりあえず体力を落とさないようにってのと、中学で運動してたので、余ったエネルギーを発散してるだけですね」

 

 

 高校では主に生徒会の事務作業だけだし、他に発散出来る機会も無いからな……

 

「それで、何時勉強してるの?」

 

「勉強? テスト前以外はしてないけど?」

 

「そうなんだ……」

 

「でも津田君は、学年二位よね?」

 

「萩村には勝てませんから……」

 

 

 手応えがあっても、それ以上の点数だからな、萩村は……

 

「ハイスペックツッコミマスターだったんですね、津田さんは」

 

「は?」

 

「今度私にもその極意を教えてください」

 

「え、極意って?」

 

 

 森さんに頼まれたのだが、極意って何だ? 何だかよく分からないままお開きとなり、俺たちは生徒会室から家路についたのだった……クールダウンも兼ねて走って帰るか。




これがどれくらい凄いのか、自分でもよく分かりません……

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