桜才学園での生活   作:猫林13世

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誰かが誰かのアシストを……


休み明けの出来事

 生徒会室で作業していたら、横島先生がやってきた。

 

「夏休み明けから忙しそうだな」

 

「横島先生、何かご用ですか?」

 

 

 この人が来てもあまり役に立たないので、生徒会顧問だけどあまり来てほしくないんだよね……

 

「そんなに嫌そうな顔をするなよな……」

 

「先生が現れると、タカトシの機嫌が悪くなる確率が高いので……」

 

「それを言うな……」

 

 

 横島先生が項垂れ、何かに気づいたように腹部をさすりだした。

 

「夏太りか……ちょっとばかりお腹が出てる……」

 

「先生、夏の間だらだらし過ぎだったんじゃないですか?」

 

「シノちゃん、実は私もなんだよね」

 

「アリアもか?」

 

 

 見た感じ、アリアのお腹は出ていない気がするんだが……

 

「最近はみブラ気味で」

 

「こらー!」

 

「くわー!!」

 

「会長も横島先生もやかましいですよ」

 

「す、すまん……」

 

 

 ちょうど時間も来たので、私たちは生徒会室から移動する事にした。

 

「私たちは次体育だし、更衣室に向かうぞアリア」

 

「分かった~。それじゃあタカトシ君、生徒会室の戸締り、よろしくね~」

 

「分かりました」

 

 

 タカトシに戸締りを任せて、私たちは更衣室に向かう。既に何人か着替えているので、急いでロッカーを確保した。

 

「しかし、夏休みも終わったばっかだというのに、もう体育かぁ……」

 

「まだ暑そうだよね~」

 

 

 これで水泳だったらまだ良かったんだが、普通の体育だと憂鬱になってくるな……

 

「あれ、ブラが落ちてる」

 

「っ!?」

 

 

 背後から聞こえた言葉に、私は肩を震わせた。

 

「何で私が落ちブラしてると分かった?」

 

「え、いや……」

 

 

 五十嵐の言葉に慌てて振り返ると、本当にブラが落ちていたようで彼女の手にブラが握られていた。というか、随分と大きなブラだな……

 

「シノちゃん、気にし過ぎじゃないかな?」

 

「持ってる者であるアリアには分からないだろうが、かなりショックなんだぞ……」

 

「えっと……なんだかすみませんでした」

 

 

 五十嵐が申し訳なさそうに去って行ったが、残された私はかなり複雑な思いを懐きながら授業を済ませた。

 

「はぁ……憂鬱だ」

 

「シノちゃん、まだ気にしてるの?」

 

「あれだけの物を見せられて、気にしないヤツの方が少ないと思うぞ……」

 

 

 憂鬱な気分になった所為か、なんだか作業効率も落ちてきた気がするし……

 

「集中出来ん」

 

「暑いですからね。せめて涼しくなる髪型にしてみてはどうですか?」

 

「そうだな」

 

 

 気分転換になるかもしれないし、髪型を変えるのは良いかもしれないな。

 

「涼しくなる髪型か……こんな感じか?」

 

 

 私は後ろ髪を前に持ってきて目を隠し、口だけ見えるようにして笑ってみる。

 

「こわっ!? 『涼しくなる』の意味が違いますよ!?」

 

「ん? 何か間違ったか?」

 

 

 萩村が怯えてしまい、結局今日の作業はなかなか終わらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サクラっちと廊下を歩いていて、ふと窓の外に視線を向けると、雨が降り出していた。

 

「急に降ってきたね。タカ君に傘を持たせてもらってよかった」

 

「プールも中止になっちゃいました」

 

「サクラっち、泳げるようになってから楽しそうだね」

 

 

 タカ君に鍛えてもらって、サクラっちは漸くまともに泳げるようになったのだ。

 

「まぁ、全く泳げなかった時は憂鬱でしかなかったでしたから……あっ、ちょっとトイレに」

 

「もうすぐ会議だから、急いでね」

 

 

 サクラっちがトイレに入って数分、漸くサクラっちが出てきた。

 

「お待たせしました」

 

 

 何故か服装が乱れているサクラっちを見て、私は時間がかかった理由が理解出来た。

 

「(下に水着を着てきたんだね)」

 

「会議に行きましょう」

 

「そうだね」

 

 

 サクラっちと共に会議室に向かい、無事に会議が終わったタイミングで外を見ると、雨が上がっていた。

 

「晴れたね。あっ、この後タカ君に会いに行くけど、サクラっちも来る?」

 

「お邪魔じゃなければ」

 

「別に邪魔じゃないよ。その前に、水着は脱いできたら? 雨も降って湿度も上がってるし、蒸し暑く感じると思うよ」

 

「うっ……」

 

 

 自分が下に水着を着ているのを指摘され、サクラっちは恥ずかしそうに更衣室に向かっていった。まぁ、水着でも特に問題ないだろうけど、普通の服の方が通気性も良いし、あせもになる心配も減るだろうしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会長と一緒に桜才学園を訪れると、タカトシさんが校門付近の掃き掃除をしていた。

 

「タカくーん!」

 

「義姉さん? サクラも」

 

「こんにちは」

 

 

 タカトシさんに挨拶したタイミングで、突風が吹いて私のスカートが翻った。

 

「サクラっち、替えのパンツ黒色だったんだね」

 

「か、会長!」

 

「何だか余計な事を言っちゃったかな? 水着のままなら見られても大丈夫だったのにね」

 

「た、タカトシ君……見ました?」

 

「……少し見えた」

 

 

 申し訳なさそうに頭を下げたタカトシさんに、私も頭を下げた。

 

「見苦しい物をお見せして申し訳ございません」

 

「い、いえ……こちらこそ見てしまって申し訳ございません」

 

「これはまた、サクラっちがリードを広げたかな? コトちゃんとは違う義妹が出来る日も近いかな」

 

「何を言うんですか!」

 

 

 会長の言葉に、私は顔を真っ赤にして抗議したけど、タカトシさんは何も言わなかった。




原作では水着のままでしたけどね

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