桜才学園での生活   作:猫林13世

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何故似てると思ったのか……


鍛冶≠餅つき

 無事にテストを終えたからか、最近のコトミは随分とだらけているように思える。

 

「ゲームばっかりやってないで、少しは勉強したらどうなんだ?」

 

「普通の学生は、テスト前でもない限り家で勉強なんてしないって」

 

 

 こいつはテスト前でもしてなかったような気もするが、俺や義姉さんが相当頑張って詰め込んだから、今回は何とかなっただけだと何故分からないんだろうか……

 

「やっぱり刀鍛冶はカッコいいな~。私もやってみたい」

 

「またゲームの影響か? お前、この前ヘヴィファイト部を作るとか言ってすぐ断念しただろ?」

 

「ちょっと相談してみよう」

 

 

 そう言って何処かに電話をするコトミ。何となく嫌な感じがするのは気のせいだろうか……

 

「――というわけで、第一回七条家餅つき大会を開催しま~す!」

 

「「わー!」」

 

「似てるのか?」

 

 

 電話をしてすぐ集まるメンバーも凄いが、すぐにもち米や臼を用意できる七条家も凄いな……

 

「もち米の用意OKです」

 

「出島さん、メイド服じゃやりにくくありませんか?」

 

「そうですね。それでは、ちょっと相応しい服に着替えてきます」

 

 

 シノさんに言われて出島さんが一度屋内に引っ込んだが、これまた嫌な予感がするのは気のせいじゃないんだろうな……

 

「お待たせしまし――さぶっ!? やっぱりちゃんとした格好してきます」

 

「餅つきだからウサギの格好だったんですね~」

 

「だが、冬場にあの恰好はさすがに寒かったんだろうな」

 

「タカトシ? なんか微妙な顔してない?」

 

「まさかツッコミを入れる前に音を上げるとは思って無かったから……」

 

 

 まぁ、あの恰好のままではさすがに風邪をひいただろうし、着替えてきてもらった方がありがたかったから良かったんだがな……ボケるならツッコミまで待ってから引っ込んでほしかったかもしれない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私と会長、七条先輩が一つきした後、スズ先輩がカラーコーンを使って一つきして、後はタカ兄と出島さんにお任せする事になった。

 

「やっぱり私たちにはちょっと重かったですしね」

 

「こういうのは力仕事だしな。というわけでタカトシ、美味しいお餅を頼む」

 

「結局こうなるんだよな……」

 

 

 呆れた目を私に向けてくるタカ兄だが、杵を受け取ってしっかりともち米をつき始める。

 

「まだまだ弾力が足りません。もっと速く、もっと強く!」

 

 

 出島さんの言葉に、タカ兄が餅をつく杵の速度が上がり、ついた時の音も力強いものに変わった。

 

「良いですよ、その調子です!」

 

「頑張れー」

 

「応援してるぞー」

 

 

 アリア先輩とシノ会長の棒読みの応援は無視して、タカ兄と出島さんはラストスパートをかけ始める。

 

「完成です!」

 

「お疲れさまでした」

 

「津田様のお陰で、漸くお嬢様の胸の弾力を再現できました」

 

「そんな理由で速度を求められていたとは……」

 

 

 タカ兄は呆れてたけど、その隣でシノ会長が餅を二回ほど揉んだのを私は見逃さなかった。

 

「どうでした、アリア先輩のおっぱいの弾力?」

 

「た、確かに似ていたような気がするが、そんな事より自分の胸の弾力を思い出して、かなり凹んだ……」

 

「まぁ、シノ会長の大きさが良いって人もいるわけですし、気にしたら負けですよ? 私だって、まだ生えてないのがコンプレックスですし」

 

「何の話をしてるんだ、お前たちは」

 

「げっ、タカ兄……」

 

 

 お餅の準備をサボって話してたのがタカ兄に見つかって、この後こってり怒られたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 意外と時間がかかったので、皆には泊っていってもらう事になった。タカトシ君の着替え以外は何とかなったし、出島さんが車でタカトシ君の着替えを買ってきてくれたから、お泊りに反対だったタカトシ君も諦めて泊っていってくれる事になった。

 

「すみません、アリアさん……いきなり餅つきなんて言い出した挙句に泊めてもらう事になってしまって」

 

「ううん、気にしないで~。私も楽しかったし、お餅も美味しかったから」

 

 

 出島さんは私の胸の弾力を求めてつかせてたみたいだけど、タカトシ君がついたお餅はかなり美味しかった。

 

「こんなことくらいでしか、私はお礼が出来ないから」

 

「そんなこと無いと思いますよ? アリア先輩なら、その身体で十分お礼を――あだっ!?」

 

「馬鹿な事言ってないで、せっかく成績上位者が揃ってるんだし、この前のテストの復習と行こうか? ここに問題用紙はあるわけだし」

 

「何で持ってるの!?」

 

「冬休みの宿題は終わらせてるが、お前は常に勉強してなければやっていけないレベルだという事を思い出させる為に」

 

「あ、悪魔だぁ……」

 

 

 コトミちゃんに問題用紙を渡し、スズちゃんとシノちゃんがやる気満々にコトミちゃんを部屋に引き摺って行った。

 

「あれ? あの三人が一緒の部屋で寝るって事は、タカトシ君一人になっちゃうね?」

 

「別に良いのでは? コトミ以外だと問題になりますし、一人ならやれることも多いですから」

 

「何かあるの?」

 

「畑さんから、年明け特別号に掲載するエッセイを頼まれていますので」

 

「大変だね~」

 

 

 何も無ければ、私の部屋でって誘いたかったけど、タカトシ君のエッセイは人気が高いし、私も楽しみにしてるから邪魔しないでおこう。




やっぱり七条家は何でもあるな

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