桜才学園での生活   作:猫林13世

441 / 871
学校で何をやってるんだか……


驚きの光景

 トッキーと裏庭を散歩していたら、壁に穴が空いているのに気が付いた。

 

「こういう穴を見ると、ついつい覗きたくなるんだよね」

 

「馬鹿な事言ってないでさっさと教室に戻ろうぜ。いい加減寒くなってきた」

 

「運動部なんだし、このくらいはへっちゃらでしょ? というか、私よりトッキーの方が筋肉あるんだから、私が大丈夫なんだしトッキーだってもう少しくらい我慢してよ。この穴を覗いたらすぐ帰るからさ」

 

「仕方ねぇな……」

 

 

 トッキーも諦めてくれた事だし、さっそく覗き込むことにしよう。

 

「………」

 

「何か見えたか?」

 

「穴が見えた」

 

「はっ?」

 

 

 トッキーが訳が分からないと言いたげな表情で私を見てくる。まぁ、実際に覗いた私も信じられない気分だけどね。

 

「世の中には壁穴プレイっていうのがあってね――」

 

「えっ、ちょっ……向こうに誰かいるの?」

 

「たぶん……」

 

 

 真相を聞いてもまだ信じられないという表情のトッキーに、穴を覗くように視線で促したけど、トッキーは全力で首を左右に振った。

 

「と、とりあえず……見なかったことにしようか」

 

「それが良いだろうな……」

 

 

 何だか気まずい雰囲気になったので、私とトッキーは足早にその穴から遠ざかる事にした。それにしても、まさか学校で壁穴プレイをしようだなんて……世の中想像もつかない事ばかりだね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会の作業を進めていると、会長が困ったような声を上げた。

 

「どうしましょう……」

 

「どうかしたんですか?」

 

「今日タカ君の家に手伝いに行く日だったんだけど、急にシフトに入ってくれといわれてしまいまして……タカ君に連絡したいのですが繋がらなくて……」

 

「直接言いに行くのは駄目なんですか?」

 

「それが、割と切羽詰まった状態らしくて、すぐにでも行かなければいけないんですよ」

 

 

 私もタカトシさんも、今日は休みなので、会長がダメなら私かタカトシさんのどちらかに連絡が来たのでしょうが、とりあえず会長が引き受けてくれて良かったと思いましょうか。

 

「それでしたら、伝言くらいなら私が引き受けますよ? 今日は特に予定もありませんし」

 

「ありがとう。さすが私の右腕」

 

 

 そういって会長が抱き着いて頬擦りをしてきた。

 

「(慣れているとはいえ、相変わらず会長のスキンシップは過激だなぁ……)」

 

「この間タカ君の下半身にしようと思ったら、こっ酷く怒られたけどね」

 

「それはそうでしょうね……? 私、口に出してましたか?」

 

「いえ、目が雄弁に語ってましたので」

 

「そうですか……」

 

 

 てっきりタカトシさんのように読心術が使えるのかと驚いてしまいましたよ……

 

「それでは、桜才学園に行ってきます」

 

「よろしくね。それから、くれぐれもタカ君と親密になり過ぎないように。サクラっちとタカ君なら私も諦めがつくけど、私がいない間にゴールインなんて認めませんから!」

 

「何言っちゃってるの?」

 

 

 時々訳が分からない事を言い出すのが、この人の困ったところなんですよね……そもそも、タカトシさんがそんな事をすると思ってるんでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会業務が終わり、会長たちが出てくるのを待っていると、校門の外に見知った人物を見つけ、俺はそちらに歩み寄った。

 

「サクラさん、どうかしたのですか?」

 

「タカトシさん。会長からの伝言で『急なシフトが入ったので、お手伝いに行けない』だそうです」

 

「わざわざサクラさんが? メールでもしておけばいいものを……」

 

「最初はコトミさんにしようと思ったらしいんですが、何故か繋がらず、タカトシさんに連絡しようとしたら電池が切れたらしいです」

 

「あの人は……」

 

 

 何故先にコトミに伝えようとしたのか疑問だが、そういう事情なら仕方がないか。

 

「わざわざありがとうございます」

 

「いえ、久しぶりにお話ししたかったですし」

 

「そういえば、最近ゆっくりと話す機会も無かったですからね」

 

 

 前に義姉さんを迎えにウチに来たくらいで、その前は何時だったかな……

 

「会長は相変わらずタカトシさんの家に入り浸ってるんですか?」

 

「夏休みの間はしょっちゅうでしたが、学校が始まってからはそれ程ではないと思いますよ? 週に二、三日ですし」

 

「十分すぎると思いますが」

 

「大抵は土日ですから、学業に支障は出ないと言い張られまして……」

 

「会長らしいですね」

 

 

 こちらとしても、コトミの面倒を義姉さんに任せっぱなしなのも忍びないので、無理しなくて良いと言ってるんだけど、義姉さんの好意だと言われては強く言い返せないのだ。

 

「校門にベストカップルがいると聞いて飛んで来てみれば、副会長コンビでしたか」

 

「畑さん……ベストカップルって、俺とサクラさんですか?」

 

「津田副会長があまり見かけない他校の女子生徒と楽しそうに話していると一年から聞いて最低限のものを取って大急ぎで来たのに、これじゃあスクープにもなりませんね」

 

「畑さーん? 廊下を走った件、じっくりとお話し聞かせてもらいましょうか?」

 

「い、五十嵐風紀委員長……ではっ!」

 

「待ちなさい!」

 

「……何だったんですかね?」

 

「何時もの事です。気にしないでください……」

 

 

 なんか俺が恥ずかしくなってきた……というか、畑さんも五十嵐さんも相変わらずだな……




久しぶりに絡ませた気がする

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。