桜才学園での生活   作:猫林13世

413 / 871
眠くなるのは仕方ない


授業中の睡魔

 最近やけに授業中に寝ている人が多い気がする。実際俺の隣でも柳本が涎を垂らしながら寝ているし、少し見回せば三葉や轟さんも寝ている。

 

「(ん……?)」

 

 

 何か引っかかりもう一度見回すと、なんとスズまでもが寝ていたのだ。

 

「(珍しい事もあるものだ)」

 

 

 確かにこの先生の喋りは眠気を誘うが、スズが授業中に寝るなんてあったかな……

 

「(一年の時は知らないけど、二年になってからは無かったはずだよな……)」

 

 

 かくいう俺も、昨日は遅くまでコトミの勉強とエッセイの手直しをしていたので若干眠いんだがな。

 

「はい、今日はここまで」

 

 

 先生の合図と共に、寝ていた数人が目を覚ます。不思議なもので、何で授業間休みには寝ないんだろうな。

 

「いやー、先生の話が難しくて寝ちゃってたよ」

 

「あっ、私もー。難しい話を聞いてると眠くなるんだよね」

 

「そう言えば轟さん。最近成績が芳しくないんだっけ?」

 

「ちょっとついて行けなくなってきちゃってね……ますます機械に弄ってもらいたくなっちゃうよ」

 

「それはどうなんだ……」

 

 

 ストレス発散方法は人それぞれだが、轟さんのやり方はあまり推奨されたものではない気がするんだが……

 

「スズも寝てたけど、夜更かしでもしたの?」

 

「いや、簡単すぎて眠くなってきただけ……授業中に寝るとは、一生の不覚」

 

「まぁ赤点ギリギリなのに授業中に寝てるこいつよりマシだろ。まだ起きてないし」

 

 

 涎だけではなく鼾まで掻きはじめた柳本の頭に一発食らわせて起こし、俺はもう一人こんなことをしているであろう人物を思い浮かべため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少し話し合う必要がある案件が出てきた為、私は緊急招集をかけた。といっても、お昼時なのでついでにお昼も一緒に済ませてしまおうという考えもちょっとだけあったが。

 

「いやー、やっぱり話し合う事は大事だな。私だけではあのような案は出てこなかっただろうし」

 

「私たちが出した意見を纏めてくれる人がいてくれたからね~」

 

「ホント、タカトシには感謝だな」

 

「大したことはしてませんよ。アリア先輩が言ったように、俺は皆の意見をまとめた案を出しただけですから」

 

「でもバラバラだった意見を纏められたのは、タカトシがいてくれたからよ。そこは素直に認めた方が良いんじゃない?」

 

 

 萩村に言われ、タカトシは少し恥ずかしそうに頬を掻いた。分かりにくいが、こいつも照れたりするんだなと改めて実感した瞬間だ。

 

「……む、むぐっ!?」

 

「シノちゃん?」

 

「の、喉に詰まった」

 

「大変! 誰か水持ってきて!」

 

「もう飲み終えちゃいました」

 

「じゃあすぐにお茶を――お湯が沸いてない」

 

 

 私たちが慌てている間に、タカトシ君がひとっ走りしてお茶を買ってきてくれた。

 

「どうぞ」

 

「す、すまない! ……ふぅ、飲み込めた」

 

「どうも。しかし、何故喉に閊えたんですか?」

 

「確かに。シノちゃん、ちゃんと噛まないと駄目だよ~?」

 

 

 アリアに怒られても怖くは無いが、確かに言ってる事は正しいので頭を下げた。

 

「実は、口内炎が出来ていてな……痛いからあまり噛まずに食べていたんだ」

 

「そうだったんですか」

 

 

 タカトシはそれで納得してくれたようで、自分の食事を再開した。アリアと萩村からも注意して食べるように言われ、私は食事中じっと見詰められながら食べるという、何とも居心地の悪い時間を過ごす事になってしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天草に用があって桜才学園にやってきたは良いが、共学になっただけあって男子生徒がちらほらと見受けられるな。

 

「んなぁ!?」

 

「おっと、ここは男子トイレか」

 

「古谷さん? 何故貴女がこんなところに?」

 

「用事があって来たんだが、天草が見当たらなくて探してるんだ。それにしても、桜才に男子トイレが出来るとはな」

 

「一応外に出てもらえます? 俺以外にも人がいるんだ」

 

 

 津田君に追いやられて、私は男子トイレから外に出た。

 

「私の時は教員用のトイレしかなかったから、気分は浦島太郎だな」

 

「そうですか」

 

「だって、生理用品は飛ばないし、教室にジャージは干してないし」

 

「どんな状況だよ……」

 

 

 この子は普段はしっかりと敬語を使ってくれるが、ツッコミの時にはため口になる傾向があるらしい。確かにツッコミの時まで敬語を使うのは大変だろうし、丁寧にツッコまれるよりため口でツッコまれた方が、気分的にいいかもしれないな。

 

「それで、会長を探してるんでしたね。携帯で電話すればいいじゃないですか。さすがに持ってますよね?」

 

「一応はな。だがどうやって使うのかイマイチ分からないから、出るだけで掛けたことが無い」

 

「そうですか……ちょっと待っててください」

 

 

 そう言って津田君は自分の携帯を取り出し天草に連絡してくれた。

 

「シノ会長ですか? 古谷さんが待っていますので生徒会室まで来てもらえませんかね? えぇ、分かりました」

 

 

 私に合図を出し移動する事を伝えてきた津田君の背中を追いかけ、私は生徒会室にやってきた。こうやって男子にリードしてもらった事って無かったけど、割といい気分なんだな。




古谷さんは相変わらず

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。