桜才学園での生活   作:猫林13世

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寝正月とか羨ましい……


それぞれの正月

 長風呂をして少し逆上せてしまったので、部屋でゴロゴロしようとしたらタカトシから電話がかかってきた。

 

『シノ会長、あけましておめでとうございます』

 

「ふぁい、おめでとう……」

 

『どうかしたんですか?』

 

 

 電話越しでも私が普段通りではないと理解したタカトシが、私の体調を気遣ってくれた。これだけの事でも嬉しいなんて、私は乙女だったのか。

 

「いや、ちょっと長風呂をし過ぎてな……」

 

『大丈夫ですか? この時期は湯冷めしやすいので、気を付けてくださいね』

 

「あぁ、分かってる。気をつけなければいけないと分かっているのだが、水中だと身体が大きく見えるからついつい身体の一部に見惚れてしまうんだ」

 

『はぁ……まぁ風邪などひかないようにお気をつけて。では』

 

「あぁ。わざわざ電話ありがとう」

 

 

 タカトシからの新年のあいさつを、まさかこのようにだらしない恰好で受ける事になるとはな……なんだか情けない気持ちになってきたな……

 

「あっ、そういえば明日、アリアと出かける約束をしてたっけ」

 

 

 今年は集まろうとかいう感じにならなかったので、各自のんびり過ごす事になったのだが、こうして友達として出かけようって感じも悪くないな。

 そして翌日……

 

「シノちゃん、お正月はどうだった?」

 

「ゴロゴロと寝正月だったよ。夜はちょっと逆上せてだらだらしてたけど」

 

「そうなんだ~。あっ、タカトシ君から新年の挨拶はあった?」

 

「あぁ。逆上せた時に電話を受けたから、ちょっと心配させてしまった」

 

「あらあら~」

 

 

 アリアが面白がってるのを隠そうと、口を手で覆っているが、恐らく笑っているのだろうと付き合いが長いので分かってしまった。

 

「そういうアリアは、正月はどうだったんだ?」

 

「私は家族でのんびりしてたよ~。お父さんとお母さんとピエールとコンスタンツとジョン・スミスとエティエンヌと」

 

「ん? ……あぁ、猫か。今はペットも家族のようなものだもんな」

 

 

 ペットが家族……という事は!

 

「『お前は私のペットだ!』というのも、現代風のプロポーズになるのか」

 

「なかなか斬新なプロポーズだね~」

 

「いや、素で返されると困ってしまうんだが……」

 

「ボケる相手は選ばないと駄目だよ~」

 

 

 ボケたと分かっているのにツッコんでくれないとは……アリアもなかなかのSだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネネとムツミに誘われて、私は今買い物に来ている。と言っても、自分の買い物ではなく、ネネとムツミの買い物の付き添いなんだけど。

 

「うーん……」

 

 

 今はネネの目的地である眼鏡屋に来ている。私にはあんまり縁がない場所だけど、こうしてみると結構種類があるのね。

 

「新調しようにも、フレームのデザインで迷うなー」

 

「シンプルにふちなしとかししたら?」

 

「あっ、それも良いね。私、ふちなし好きだし」

 

「そうなの?」

 

 

 そんなこと知らなかったな……というか、なんとなく嫌な感じがするのは気のせいよね?

 

「うん。だから、パンツもふちなしなんだー」

 

「それは前張りって言うんだよ?」

 

 

 何でタカトシがいてくれなかったのかしら……って、こんな所で会ったら会ったで困るわね……

 

「決まったー? 次は私の買い物に付き合ってよねー」

 

「OK」

 

 

 とりあえずネネの眼鏡はふちなしに決まったので、今度はムツミの買い物に付き合う事になった。

 

「新しいカバン欲しいけど、デザインで迷うな」

 

「こういう背負う感じのはどう?」

 

「うん、可愛くて良いね!」

 

 

 ムツミならエロボケもないし、安心してお薦め出来るわね。

 

「背負うやつなら、カバンチラも出来るしね」

 

「そんな目的で背負ってないよ」

 

「カバンチラ?」

 

 

 ネネのエロボケが分かってしまった私は、もしかして毒されてるのだろうか?

 

「スズちゃんが薦めてくれたやつ、気に入ったから買ってくるね」

 

「うん、行ってらっしゃい……」

 

「スズちゃん、いつの間に絶頂して疲れ果てたの?」

 

「普通に疲れてんだよ!」

 

 

 こんなのを毎日相手にしているタカトシの事を、ますます尊敬しちゃいそうね……私には一人が精一杯だわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私にしては珍しく、冬休みの宿題を終わらせているので、堂々とコタツでだらだらしていたら、とあることに気付いてしまった。

 

「ひょっとして太っちゃった?」

 

「そりゃ、コタツで食っちゃ寝してたら太るだろ。ただでさえ運動してないんだから」

 

「気付いてたんなら止めてよー!」

 

「何でお前の体重管理までしなきゃならないんだ」

 

 

 同じように食べてるのに、タカ兄は全然太ってないんだよな……何か秘密があるのだろうが?

 

「タカ兄って運動してたっけ?」

 

「バイトの行き帰りに走ったりしてる。後は普通に家事をしていれば運動になったりするからな」

 

「くそぅ! まさかそんな罠があったとは……とりあえず、急いで痩せなければ!」

 

「言っておくが、コタツはサウナじゃないから痩せないぞ」

 

「何で分かったの!?」

 

 

 私がしようとしている事をタカ兄に言い当てられて、私はいつも以上に驚いてしまう。

 

「何でってそりゃ、ものぐさなお前の事だから、コタツに篭って汗でも掻こうとか思ってるんじゃないかってな。無駄だから少しは運動してこい」

 

「はーい……」

 

 

 タカ兄に怒られてしまったので、私はとりあえず外に出て身体を動かす事にしたのでした。




そして堕落するコトミ……

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