桜才学園での生活   作:猫林13世

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総会の中身はカットで


生徒総会後

 今日は生徒総会だったが、恙なく終わることが出来、今は晴れ晴れとした気分だ。

 

「始まる前は緊張していたが、こうして終わってみると、こういった総会は必要なんだなと思えるよ」

 

「途中、予算決めの為に腕相撲させられる身にもなってくださいよね……というか、何で腕相撲だったんですか?」

 

「だってほら、手を取り合って決めるべきだと考えたから」

 

「意味合いが違う気がするんだが……」

 

 

 話し合いで決まらなかったので、タカトシに勝ったら予算アップと言ってみたところ、ほとんどの部活が参加してびっくりしたのだ。結果はタカトシが全勝したため、予算アップの部活動は無し、という事になった。

 

「お陰で他の箇所に予算を回せたと、予算委員から褒められてたな」

 

「部費アップも必要だったと思いますがね……」

 

「その辺りは来年度から考える事にして、今は修繕などに使うべきだろ。共学化により、いろいろと修理したり増設したりしなければいけないものもあることだし」

 

「そういう事にしておきましょう」

 

 

 タカトシも疲れているのか、何時も程ツッコミにキレがない気がするな……まぁ、あれだけの人数と腕相撲すれば疲れもするか……

 

「シノちゃん、お疲れ様~」

 

「あぁ。アリアもご苦労だったな」

 

「回収のための箱を用意してなかったとは思わなかったよ~」

 

「わざわざ回収の為に体育館の端から端まで動いてもらって助かったぞ。今後はしっかりと箱を用意しておかないとな」

 

「最終手段として、タカトシ君にビキニパンツを穿いてもらおうと思ってたけど、なんとなく殴られそうだったから止めて正解だったね~」

 

「そもそも、そんな案があった事自体初耳なんだが?」

 

「だって心の中で踏みとどまったから~」

 

「なるほど。アリアも成長してるな」

 

「そうかな~? あっ、最近ブラのサイズが合わなくなってきたような気も――」

 

「知った事かー!」

 

 

 アリアの胸がまだ成長しているというのに、何故私の胸は一向に成長しないのだろうか……とにかく、そんな話しは聞きたくなかったので、私はその場から逃げ出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 片づけをしていたらシノ会長が何処かに行ってしまったので、俺とスズは首を傾げながらアリア先輩に近づいて事情を聞いた。

 

「何があったんですか?」

 

「シノちゃんに『成長したな』って言われて、そういえば最近ブラのサイズが合わなくなったって答えたら走って行っちゃったの」

 

「それは七条先輩が悪いです」

 

「スズ?」

 

 

 何故か断言したスズに、俺は首を傾げながら彼女の目を見詰めた。

 

「だってほら、会長は胸が小さい事を気にしてるから……」

 

「あぁ、そういえばそうだったな……」

 

 

 俺からすれば気にし過ぎだと思うんだが、女子にしか分からない悩みなのだろうな……下手に頷いたりしてセクハラとか言われたくないので、とりあえず話題を変えることにしよう。

 

「アリア先輩、あちら側の片づけはだいたい終わりましたが、こちらはまだ時間がかかりそうですね」

 

「シノちゃんがいなくなっちゃったからね」

 

「会長が職務放棄とは困ったものですね……」

 

 

 ちょうどそのタイミングで、俺の視界に見知ったヤツが現れた。

 

「コトミ、なにしてるんだ?」

 

「えっ? ちょっと誰もいない体育館で妄想しようかと」

 

「そうか。ちょうどいいから片づけを手伝え」

 

「えぇ!? 何で私がそんな事しなきゃいけないのさ~」

 

「そうだな……教師陣に好印象を持たせるためじゃないか? 今日も遅刻ギリギリだったんだろ?」

 

「うっ!? 何故それをタカ兄が知ってるの……」

 

「保護者代理だからな」

 

 

 遅刻すればすぐに報告されることになっているし、あまりにも遅刻ギリギリが続いた場合にも報告されることになっているのだ。というか学校側も、俺にだけじゃなくてそっちでもどうにかしようとしてくれないだろうか。

 

「課題を出されるよりも、こっちを手伝った方が、頭脳的に楽が出来るんじゃないか?」

 

「でも、肉体的に苦労しそうだよ」

 

「なら帰って義姉さんに勉強を見てもらうか? メールすればすぐに来てくれると思うが」

 

「大人しく手伝わせていただきます」

 

 

 余程勉強したくないのか、コトミは大人しく片付けを手伝い始めた。そんなコトミを見て、スズが同情的な視線を俺に向けてきた。

 

「相変わらずね、コトミちゃんは」

 

「すぐに変わるようなら、俺だって苦労してこなかったさ……」

 

「一度七条グループでやってる淑女体験講座に参加させてみる? もしかしたまともになるかもよ~?」

 

「いえ、お金の無駄になるでしょうし、講師の方に悪いですし」

 

「タカトシ君の為なら、無料で参加させることは出来るけどね~」

 

「その代わり、何か見返りを要求されるんじゃないでしょうね?」

 

「そんなことしないよ~。精々、タカトシ君とデートしたいな~って思うくらい?」

 

「……まぁとにかく、コトミの性格の矯正は、義姉さんと相談しながらゆっくりしていきますよ」

 

「何かあったら手伝うからね」

 

「ありがとう」

 

 

 スズに手伝ってもらえば、少しでも義姉さんにかかる負担が減るだろうし、そうなれば俺に要求される報酬の件も、多少なりとも楽になるだろうな……って、自分でもあり得ないと思ってる事を考えてみたりしたが、とりあえず時間の無駄なので、残りの片づけを終わらせることにしよう。




みんな少しは成長しようぜ……

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