桜才学園での生活   作:猫林13世

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まぁ、恒例になりつつありますし


恒例の部屋決め

 コトミの面倒を見る為にこの家に泊まるという展開も、最早恒例行事となり始めている。今回この家に泊まるのは、私、アリア、萩村、五十嵐、カナ、森、そしてトッキーだ。タカトシとコトミは自分の部屋で寝るのは確定で、トッキーはリビングで決定している。

 

「――したがって内訳は、リビング二人、コトミの部屋一人、客間二人、タカトシの部屋一人だ」

 

「毎回思うんですけど、何で俺の部屋に泊まりたがるんですか?」

 

「そんなの、決まっているだろうが!」

 

「そうですか」

 

 

 私が本気で怒鳴ったからか、タカトシは大人しく引き下がり洗い物を再開する。ここにいる殆どのメンバーが、タカトシと二人で過ごしたいと考えているんだから、タカトシの部屋を選択肢から外す事など出来るはずがないのだ。

 

「それでシノちゃん、今回はどうやって部屋を決めるの?」

 

「くじ引きやじゃんけんでは、サクラっちが圧倒的有利ですし」

 

「しかしそれ以外の方法で決めるのは時間がかかり過ぎるからな……」

 

「やはり普通にくじ引きかな~?」

 

「既に用意しておきました」

 

 

 さすがは萩村。話の流れを先読みして準備しておくとはな。

 

「さすが桜才きっての才女だな」

 

「ちっちゃい見た目とは裏腹に、スペック高いですからね~」

 

「会長、私はコトミの部屋で構いません。朝までみっちり仕込んでやりますので」

 

「しまった!?」

 

 

 余計な事を言った所為で、コトミの部屋は萩村で決まった。コトミお得意のエロボケも、萩村相手では通用しないしな……

 

「えっと……コトミの部屋と書かれたくじはこれか……」

 

「それじゃあ残りは、タカ君の部屋一人、リビング二人、客間二人ですね」

 

「どういう順番でくじを引くの~?」

 

「胸の大きさなんてどうでしょう?」

 

「ケンカウッテンノカー!」

 

 

 この中で圧倒的に私が小さいじゃないか……そもそもそんな決め方があってたまるか。

 

「私は最後で良いですよ。この中で一人だけ後輩ですし」

 

「スズポンが抜けてしまいましたから、そういう事になりますね」

 

「なら残りのメンバーでじゃんけんだな」

 

 

 森が抜けたので、くじを引く順番は三年生だけで決める事になったが、狙って引くとろくな結果にならないから、今回は無心で引くとしよう。

 

「順番は、七条先輩、魚見さん、天草会長、五十嵐先輩、森さんですね」

 

「私からか~。ちょっと緊張するな~」

 

 

 まずアリアがくじを引き、その次にカナがくじを引いた。次は私の番だが、まだタカトシの部屋行きのくじが残っているのか、それすら分からない。

 

「緊張するな……よし、これだ!」

 

 

 私が勢いよく引いた後、五十嵐と森が静かにくじを引く。何時もなら最後に引いた森がタカトシの部屋と書かれたくじを引いているのだろうが、今回は違うと良いな……

 

「それでは、一斉に開いてください」

 

「何だかドラフト会議を見てるみたいですね~」

 

「そういうの良いから」

 

 

 コトミのボケを軽く流して、萩村が進行を続ける。私もちょっと思ったけど、口にする勇気はなかった。

 

「私はいつも通り客間ですか」

 

「私もです」

 

「英稜コンビが客間ですか~。珍しいこともあるものですね」

 

「という事は、天草会長、七条先輩、五十嵐先輩の誰かがタカトシの部屋という事ですね」

 

 

 萩村の言葉に緊張感を覚えながら、私は自分のくじに視線を落とす。

 

「リビングか……」

 

「シノちゃんと一緒だね~」

 

「――と、いうことは?」

 

「カエデちゃんがタカトシ君の部屋なんだ~。なんだか珍しいかも」

 

 

 私の後に引いた五十嵐がタカトシの部屋行きのくじを引き当てたという事か……確率三分の一だったのに、惜しかったな……

 

「ではアリア。私とアリアの二人で、トッキーの夏休みを守ろうではないか!」

 

「そうだね~。元々コトミちゃんとトッキーさんに勉強を教える為にお泊りするんだから、この形が正しいんだもんね~」

 

 

 私がやけっぱちで宣言すると、アリアも同じようなテンションで続いてくれた。さすがは、入学来の友人だな。気持ちは一緒なんだろう。

 

「決まりましたか?」

 

 

 洗い物を済ませ、全員分のお茶を持ってきたタカトシがそう尋ねてくる。タカトシ的には、誰が同じ部屋だったら嬉しかったのだろうか?

 

「えっと、私がタカトシ君の部屋にお邪魔させていただきます」

 

「カエデさんなら安心ですね。万が一義姉さんだったら、いろいろと面倒だったでしょうし」

 

「タカ君? お義姉ちゃんに対して失礼じゃないかな?」

 

「この間人のパンツを盗もうとしたんですから、少しくらい反省してください」

 

「あ、あれはコトミちゃんがくれるって言うから……」

 

「言ってない! 言ってないからね、タカ兄!」

 

 

 これ以上怒られたくないのか、コトミが必死にカナの言葉を否定している。普段ならノリノリでカナに付き合うのだろうが、今はそんなことをしてる場合ではないと、コトミも自覚しているのだろうな。

 

「とにかくコトミと時さんはしっかりと勉強する事。他のメンバーは勉強の邪魔にならない程度でお願いします」

 

「何だかタカ君が先生みたいですね」

 

「一番しっかりしてるからな! いろいろと複雑だが……」

 

 

 年長者としてこれで良いのかと悩む時もあるが、タカトシ相手なら仕方ないかと割り切るしかない。そう自分に言い聞かせて、私たちは風呂の準備をするのだった。




コトミはしっかりとスズに絞られるがいい……

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