桜才学園での生活   作:猫林13世

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ツッコミコンビですしね


お似合いな関係

 会長に誘われてタカトシさんの家に泊まったけど、こうして一人で部屋を使わせてもらうのは初めてかもしれない。普段は誰かと同室だったりしたけど、今日は一人で客間を使わせてもらっている。普段なら会長がこの部屋を使っているらしいですが、今日はコトミさんの部屋を借りたので、私が客間を使わせてもらいました。

 

「何だかいい匂いが……」

 

 

 時計を確認したが、まだ六時になったかならないかという時間だ。こんな時間から料理をしているとはちょっと考えにくい……

 

「タカトシさんなら、そんな時間かけなくても美味しい料理が作れるでしょうし」

 

 

 私は制服に着替えてから客間を出てキッチンへ向かう。もし会長が料理しているのなら手伝おうかと思っていたのだが、やはりというべきかそこにいたのはタカトシさんだった。

 

「おはようございます。早いですね、サクラさん」

 

「おはようございます。私はたまたまですが、タカトシさんはいつもこんな時間から起きて料理してるんですか?」

 

「普段はもう少し遅いですが、だいたいこんなものですよ」

 

「でも、タカトシさんって結構遅くまで起きていますよね?」

 

「コトミの相手をしてると、課題をやる時間がなかったりしますから、遅くまで起きている事はあります。ですが、昨日は義姉さんやサクラさんが手伝ってくれたので、家事に割く時間が必要無かったのでそれほど遅くまで起きている必要が無かったですし」

 

「タカトシさんのお役に立てたのなら良かったです」

 

 

 こうして私とお喋りしてる間も、タカトシさんの手は止まらない。一切の無駄がなく調理を進める姿は、ウチのお母さんよりもお母さんっぽい。

 

「朝ごはんを作ってるんですか?」

 

「いえ、これは弁当用です。俺とコトミ、そして義姉さんとサクラさんの分を作るので、今日は早めに起きたんですよ」

 

「す、すみません……」

 

 

 手伝いに来たはずなのに、結局タカトシさんの仕事を増やしてしまった気がして、私は思わず頭を下げる。

 

「サクラさんが気にする必要はないですよ。俺が自分で勝手にやってるだけですから」

 

「て、手伝います!」

 

「大丈夫ですよ。後は弁当箱に入れて終わりですから」

 

 

 そう言ってタカトシさんは、四人分のお弁当箱を取り出し、とても綺麗に料理を詰めていく。

 

「義姉さんもですが、サクラさんも男の作った弁当なんて嫌かもしれませんが」

 

「そんなこと無いですよ! むしろ自信が失われてしまいます……」

 

「そ、そうですか」

 

 

 タカトシさんの料理を食べると、女としての自信がなくなるんですよね……このご時世、女が料理をしなければいけないなんて考えは薄れていますが、やっぱり女として料理の腕で男性であるタカトシさんに負けるのは悔しいと思ってしまうのです。

 

「おはようございます。タカ君は相変わらずですが、サクラっちも早起きですね」

 

「おはようございます。会長も十分早いと思いますよ」

 

「おはようございます。義姉さんも顔洗ってきたらどうです?」

 

「そうします。その間にタカ君の愛情たっぷりの朝ごはんが準備出来てるでしょうし」

 

「そんな短時間で完成しませんよ」

 

 

 タカトシさんが苦笑いをしながらも会長と楽しそうに話しているのを見て、私の心はちょっぴり痛みを覚えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遅刻するとマズい、ということで洗濯などをタカ君にお願いして、私とサクラっちは先に津田家を後にして学校に向かいました。乾いた洗濯物は帰りにでも取りに来てくれと言われたので、これで無条件で放課後もタカ君の家に行く事が出来ます。

 

「そういえばサクラっち」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「さっき私がタカ君と話してる時、私の事を睨んでましたけど、嫉妬ですか? もう彼女のつもりなのですか?」

 

「そんなつもりはありませんが……私、睨んでましたか?」

 

 

 なんと、無自覚だったとは……あれだけ憎悪の念を込められてたので、てっきり意識的に睨んでいたのかと思ってました。

 

「まぁ、私もタカ君が他の女の子と話してるとちょっとイラっとしますが、あそこまで睨んだりはしません」

 

「す、すみませんでした」

 

「気にしなくていいですよ。それだけサクラっちがタカ君に対して本気になってきたという証拠ですから。私はサクラっちが義妹になるのは賛成ですよ」

 

「話が飛躍し過ぎじゃありませんかね!?」

 

「そんなこと無いですよ。コトミちゃんとは違ったタイプの義妹が欲しいですし」

 

 

 シノっちやアリアっちじゃ、結局同じ部類ですし、スズポンやカエデっちは結構ムッツリだったりしますし、私としてはコトミちゃんと別カテゴリーに分類出来るのはサクラっちくらいなんですよね。

 

「それに、タカ君との相性を考えれば、サクラっちがぶっちぎりの一位です」

 

「相性って周りがとやかく言う事ではないと思うんですが……」

 

「結婚云々は置いておくにしても、彼女にするならサクラっちだと思いますよ。タカ君も満更でもなさそうですしね」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「お義姉ちゃんの目には、そう見えますよ」

 

 

 そう言って私はサクラっちから視線を逸らす。こうする事でサクラっちが思いっきり照れる事が出来るだろうと考えたからで、サクラっちは私の思惑通り思いっきり照れている様子でした。




他の人も頑張らないと……

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