桜才学園での生活   作:猫林13世

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自分の部屋が一番だと思う……


それぞれお泊り

 試験も近くなってきて、何時までもタカ兄に頼れないという事で、トッキーの家で私とマキとでお泊り勉強会を開く事になった。もちろん、試験一週間前にはタカ兄たちが開いてくれる勉強会に参加するのだが、その時に少しでも理解出来るようになるための勉強会だ。

 

「――というわけで、この日からトッキーの家に泊まりこむ事になったんだ~」

 

「立派な志だが、時さんの家に迷惑じゃないのか? お前は騒がしいし、一度挨拶に伺った方が――」

 

「タカ兄は心配性だな~。人の家でお世話になるんだから、私だってそれくらい心得てるって」

 

「それなら良いんだが……」

 

 

 まだ不安そうな表情のタカ兄の視線を受けながら、私は食後のお茶を飲む。タカ兄が不安に思う気持ちも分からなくはないけど、もう少し私の事を信用してほしいよ……

 

「タカ兄だって色々な場所でお世話になってきたんだし、私にだってそれくらいの経験くらいあるんだから!」

 

「まぁ、中学時代に何度か友達の家に泊まりに行ったりしてるのは知ってるが……」

 

「その時だって何もなかったんだし、今回だって大丈夫だって」

 

 

 疑わしい目をしていたタカ兄だったが、一度ため息を吐いて諦めてくれたようだった。まぁ、何時までもこんなふうに疑われる私も悪いんだろうけど、しっかり者のタカ兄に甘えてばっかりだったんだから仕方ないよ。

 

「タカ兄も納得してくれた事だし、さっそく準備を始めないと!」

 

「今からか? 明日でも十分間に合うだろ」

 

「何時もタカ兄が『準備は早めに済ませろ』って言ってるじゃん」

 

「そう言って勉強道具をしまい込んで勉強しないつもりなんだろ?」

 

「うっ……」

 

 

 さすがタカ兄、私の考えなんてお見通しだったか……タカ兄の突き刺さるような視線を受けながら、私は素直に謝って勉強するために部屋に戻ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コトミが時さんの家に泊まりこんで勉強をするのは、悪いことではないと思う。だが、アイツが迷惑をかけないかが心配なのだ。

 

「タカトシ、何か心配事でもあるの?」

 

「ちょっとな……」

 

「私で良ければ相談に乗るわよ?」

 

「コトミの事だから」

 

「あぁ……また何かしたの?」

 

「今日から時さんの家で勉強会をするために泊まり込むんだが、迷惑をかけないか心配なだけ」

 

「親みたいな感想ね、それ……」

 

 

 まぁ、保護者だし仕方ないとは思ってるんだが、親って……俺とコトミは一歳しか違わないというのに……

 

「コトミがいないって事は、今日あんた家に一人なの?」

 

「ん? そう言えばそうだな……」

 

 

 久しぶりに自分の為に時間が使えるという事か……

 

「あっ、でもバイトがあるから誰もいないのか……しっかりと戸締りしておかないと」

 

「発想が主夫っぽいわね、今度は」

 

「そうか?」

 

 

 まぁ、コトミの飯とかを作っておく必要がない分楽が出来るかな……

 

「タカくーん!」

 

「義姉さん?」

 

 

 校門のところで声をかけられ、俺は義姉さんが待っていたことに漸く気が付いた。

 

「今日、タカ君の家に泊まりに行ってもいいかな?」

 

「構いませんが、俺はバイト、コトミは勉強会で誰もいませんよ?」

 

「コトミちゃんから聞いてるよ。だから、私とサクラちゃんでお留守番兼タカ君のお世話をしてあげようと思って」

 

「ど、どうも……」

 

 

 周りの目を気にしない義姉さんとは違い、サクラさんは何処か恥ずかしそうに視線をそらしている。

 

「魚見さん、一応校内ですので堂々とそういう話をするのは止めてください。風紀が乱れます」

 

「あっ、ゴメンなさい五十嵐さん。それじゃあタカ君、さっさと校門から出ましょう」

 

 

 義姉さんに腕を引っ張られ、俺はとりあえず校内から出る。出たところで大差ないと思うんだが、これでカエデさんになにかを言われることがなくなったのだろうか。

 

「さっきからスズポンやシノっち、アリアっちが怖い目で私たちの事を見てたけど、この間お泊りしてた三人に私たちを咎める権利は無いと思うんだよね」

 

「そんなものですかね……」

 

 

 とりあえず義姉さんの中でウチに泊まる事は決定してるようだし、拒む理由もなかったので許可して、俺は着替えてバイトに行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカ君が留守の間、私とサクラっちで家の掃除をしたり、晩御飯を作ったりしたのだが、普段からタカ君がしっかりしているので、掃除する箇所は殆どなかった。

 

「やっぱりタカ君は凄いですね」

 

「本当ですね。自分の事だけじゃなく、コトミさんの事も面倒見ているというのに、一切の手抜きがありませんからね」

 

「私もたまにお手伝いしますけど、基本的にはタカ君が全部やっちゃうんですよね」

 

 

 もう少しお義姉ちゃんを頼ってほしいと思うのですが、タカ君は他人にも自分にも厳しい人ですから、必要以上に甘えたりはしない子なんですよね。

 

「今度のコトミちゃんの為の勉強会、私たちもお手伝いしなければ!」

 

「会長はそんな口実がなくても来られるんじゃないんですか?」

 

「まぁ、何かにつけて口実を見つけないと、シノっちたちが厳しいですから」

 

 

 シノっちたちにとやかく言われる筋合いは無いと思うのですが、やっぱりまだタカ君が決めていないのに彼女面をしてる私の事が気に入らないんでしょうね。まぁ、私は彼女面じゃなく家族面をしてるんですけど。




ウオミーが恋の応援っぽいのをしてる

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