桜才学園での生活   作:猫林13世

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普通の姉弟より仲良しですから


義姉弟の関係

 久しぶりに三人同じシフトだったので、帰りにタカ君とサクラっちを誘ってデートに行くことにしました。

 

「世間はバレンタインで盛り上がってるね」

 

「そうみたいですね。最近生徒会室がピリピリしてやり難いんですよ」

 

「タカトシさんがそれを言うんですか?」

 

 

 サクラっちの言う通り、ピリピリしている原因はタカ君だと私も思う。

 

「クラスメイトからタカ君は羨ましがられてるんじゃない?」

 

「どちらかと言えば恨まれてますかね」

 

「恨む? どうして?」

 

「何でも『お前がいるから俺たちがモテないんだ!』らしいんですけど」

 

「たぶん、タカトシさんがいるいない関係ないと思うんですけど」

 

「私もサクラっちに同意です」

 

 

 確かにタカ君に女子の視線が行ってしまうのも原因かもしれないけど、タカ君がいなかったとしても他の男子に視線が行っていたかどうかは分からない。そもそも、本当にモテるのなら、タカ君の存在に関係なくモテてると思うので、恐らくやっかみなのだろうな。

 

「今年はタカ君の家でコトミちゃんたちと作るから、私からの分は冷蔵庫に入れておくね」

 

「何だか恋人を通り越して夫婦みたいな会話ですね」

 

「サクラっちもなかなか面白い冗談を言いますね」

 

 

 私とタカ君が夫婦だなんて……恐らくタカ君が圧倒的優位に立つ関係になってそうです……もちろん夜も。

 

「俺と義姉さんが夫婦だったら、コトミはどんな立ち位置になるんでしょうね……」

 

「大きな子供?」

 

「言い得て妙ですね……中身はまだまだ子供ですし」

 

「タカ君が大人びてるだけで、高校生なんてコトミちゃんくらいが普通じゃないかな」

 

 

 ちょっと厨二が強すぎるとは思いますが、高校生なんてまだまだ子供で良いと私は思います。もちろん、何時までも子供でいられては困る年代だとは思いますが。

 

「そうそう、チョコレートで思い出しましたが」

 

「何ですか?」

 

「英稜にタカ君のファンが急増してるんですよ。もしかしたら、またタカ君宛のチョコが増えるかもしれません」

 

「何でそんなことに?」

 

「恐らくですが、この間のエッセイオンリーの桜才新聞の影響だと思います。どうやら畑さんが、タカトシさんの写真を載せたのが原因で、一年生の間でもタカトシさんの事が噂になっていまして……」

 

「写真? 俺が確認した時にはなかったはずですが」

 

「どうやら外部販売用に後から載せたらしいですよ」

 

 

 英稜以外にも購入希望している学校があるらしく、畑さんはそれで随分儲けていると噂されていますし。それだけタカ君のエッセイは魅力的で、かつタカ君本人も魅力的なんでしょうが、またしてもライバルが増えるんじゃないかとお義姉ちゃんは心配です。

 

「別に俺の写真が載ったからといって、販売数が伸びるとは思えないんですが」

 

「そうでしょうか? むしろタカトシさんの写真を売り出した方が売れそうな気がしますが」

 

「アリアっちが買い占めそうだよね……財力では対抗しようが無いし」

 

 

 女としての魅力なら、私やサクラっちは対抗出来そうだけど……あそこまでは大きくないしなぁ……

 

「アリアさんやシノ会長は、普通に写真撮れるはずなのに、何故畑さんから買いたがるんだか……」

 

「だって、タカ君写真嫌いでしょ?」

 

「裏で商売されるくらいなら、普通に撮ってもらった方がマシです」

 

「じゃあ後でお義姉ちゃんとのツーショットを撮りましょう」

 

「何故?」

 

「だって、商売されるくらいなら普通に撮ってもらった方が良いんでしょ? それなら、お義姉ちゃんも一緒に写りたいし」

 

 

 コトミちゃんに頼めば、シャッターぐらいは出来るでしょうし。

 

「後で……つまり会長は、この後タカトシさんの家に行くんですか?」

 

「さっき言ったように、コトミちゃんたちと作るチョコの打ち合わせや、コトミちゃんのテスト対策とかで色々と忙しいんです。もちろん、お義母さんの許可は貰ってるので」

 

「毎回愚妹が迷惑をかけて申し訳ございません……」

 

「大丈夫だよ。そのお礼にタカ君がご飯の用意とかしてくれてるし。毎回お弁当も楽しみです」

 

「それでここ最近会長のお弁当が豪華なんですね」

 

 

 自分で作る時より、タカ君が用意してくれたお弁当の方が、色合いや栄養バランスが良いのは女子として複雑ではありますが、美味しいので気にしないことにしているのです。

 

「どうせならサクラっちも来ますか? 一日くらいなら私の替えの下着で何とかなるでしょうし」

 

「何で会長の下着が常備されてるんですか?」

 

「だって、しょっちゅうタカ君の家に泊まってるから、私の着替えくらいありますよ」

 

「何で偉そうに言っているのか分かりませんが、たまには家に帰った方が良いんじゃないですか? ご両親も心配するでしょうし」

 

「大丈夫。タカ君の家に泊まってるって知ってるし、ウチの両親もタカ君なら安心だと言ってくれてますから」

 

「俺の知らない所で、凄い信頼されてるな……」

 

「ウチの両親も、タカ君のエッセイのファンですから」

 

 

 私が読んでいたのをお母さんが読んで、更にお父さんも読んでファンになったのだ。そして親戚が結婚した縁でタカ君との関係が深まった事を、二人とも喜んでたっけ。

 

「それじゃあ、お邪魔します」

 

「コトミちゃんの面倒もお願いね」

 

「それは義姉さんもですからね」

 

「分かってるよ。その代わり、明日のお弁当もお願いね」

 

 

 こうして私たち三人は、タカ君の家に向かったのだった……まぁ、タカ君は普通に帰るだけだけど。




ちょっと兄妹も仲良すぎな気が……

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