桜才学園での生活   作:猫林13世

334 / 871
ちょっと暴走気味……


シノの心情

 シノちゃんがタカトシ君と同じ部屋になるのって、よくよく考えたら初めてなんじゃないかしら……前に全員同じ部屋って事はあったけど、二人きりっていうのは無かった気がするのよね……

 

「お嬢様、なにを考えているのですか?」

 

「シノちゃん、緊張して昔の癖が出ないかなって心配してるだけよ」

 

「タカトシ様と同じ部屋に二人きりですものね。私ならそれだけで絶頂しちゃいそうです」

 

「あらあら~」

 

 

 出島さんもタカトシ君の事好きだもんね。まぁ、私たちと違うのは、異性として見ているのではなく、性的なご主人様として見てるから、厳密にはライバルにはならないんだけど。

 

「ところでお嬢様、窓側と廊下側、どちらがよろしいですか?」

 

「出島さんの好きな方使って良いよ~」

 

「で、出来ればお嬢様と同じベッドが……」

 

「それはゴメンなさいね」

 

 

 さすがに百合的な展開は私も避けたいし、出島さんはバイだから万が一の展開もあり得るからね。日常に潜む落とし穴はちゃんと回避しておかないと。

 

「残念です……では、私が廊下側で」

 

「はーい」

 

 

 シノちゃんの心配をしてたけど、タカトシ君からという事はないでしょうし、シノちゃんもいざとなったらヘタれるから何も進展は無いのかしら……

 

「出島さん的には、誰と同じ部屋でも当たりだったの?」

 

「そうですね……一番はやはりお嬢様ですが、タカトシ様と同じ部屋でも興奮しますし、ロリっ子やピュアっ子などもありですしね」

 

「シノちゃんやコトミちゃんは?」

 

「大いにありです」

 

「出島さんは人生を楽しんでるわね~」

 

 

 ここまで欲望に忠実に生きていたら、きっと何事も楽しいんだろうな……まぁ、私もそれなりに楽しい人生を送っているとは思うけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風呂から部屋に戻ると、タカトシが眼鏡をかけて何かをしていた。こいつの眼鏡姿は破壊力抜群なので、鼻血が噴出さないように注意しなければな。

 

「何をしているんだ?」

 

「暇を持て余しているので、持ってきた本を読んでるだけですよ」

 

 

 そう言ってタカトシは私の方に振り返る。正面から見ると、また違った雰囲気があるな……畑が眼鏡姿のタカトシの写真を狙っている理由が分かる気がする。

 

「またエッセイのネタ探しか?」

 

「そういった意図もありますが、今回は純粋に暇つぶしです」

 

「コトミはトッキーと騒いでるようだが、お前は本当に冷静だな」

 

「二人で騒いでるのではなく、コトミが一方的に騒いでるだけでしょうがね……明日時さんに謝っておかないといけないな」

 

 

 コトミたちの部屋の方を向きながら、タカトシはため息を吐いた。割と見慣れた光景ではあるが、眼鏡があるだけで大分違うな……なんだか興奮してきたぞ。

 

「ところでタカトシ」

 

「何ですか?」

 

「この間役職変更遊びをしただろ?」

 

「えぇ。あまり新鮮味はなかったですがね」

 

「そうか? 私は楽しかったぞ。特に、お前に『先輩』と呼ばれたのは新鮮だった」

 

「……そう考えると、確かに『会長』ってずっと呼んでますからね」

 

 

 出会った時は会長だったり先輩だったりだったが、今では会長で固定されてしまってるからな……こういった課外活動でもそう呼ばれているのだから、恐らくタカトシの中では私は異性ではなく会長というイメージが強いのだろうな。

 

「タカトシは私の事をどう思っている?」

 

「どう、とは?」

 

「異性として、だ」

 

「随分と踏み込んだ質問をしてきますね」

 

 

 タカトシが私の事をジッと見つめてくる。ここで私が視線を逸らすわけにはいかないと、気合いを入れてタカトシの視線を受け止めた。

 

「正直自分に余裕がないので、異性として意識してる相手はいませんよ。会長も異性として認識はしてますが、意識してるかと問われれば、否です」

 

「森やカナの事は?」

 

「同じです。義姉さんは異性というより家族に近いですし、サクラさんは他の人より近いですが、意識してるのかと聞かれれば、ちょっとわからないですね」

 

「……だが、私たちより森の方がタカトシの意識に入り込んでいるんだな?」

 

「恐らく、ですがね。恋愛経験が皆無ですので、良く分からないというのが本音です」

 

 

 まぁ、子供の頃からコトミの世話や出張がちな両親に代わって家事とかをしてたらしいからな。恋愛をしている余裕などなかったのだろう……そう考えると、タカトシが本気で異性を意識し始めたら、それが初恋と言うことになるのか。

 

「………」

 

「なんです?」

 

「いや、私もタカトシとキスしてみたいなと思っただけだ」

 

「唐突ですね」

 

「いや、割と何時も思っているのだが」

 

 

 狙ってみてもタカトシのキス相手は森になってしまうし、横島先生のアシストでアリアが、ショック療法で五十嵐がキスしてるのに、私はまだだからな……常に思っていても仕方ないだろうと私は思っている。

 

「何の理由もなくキスなどしませんよ」

 

「私はお前が好きなんだと思うが……まぁ、私は恐らくメンドクサイ女だからな。一度キスしたら恋人面で他の女を牽制するだろう」

 

「……迂闊にキスするような展開にならないように気を付けないといけませんね」

 

「そうだな。もしキスしたら、結婚まで迫るかもしれないからな」

 

 

 我ながら面倒な性格だと思うが、タカトシを独占したいと思ってしまうのは私だけではないだろうな……ただでさえ出遅れているのだから、一回のキスで暴走しても仕方ない……と思ってもタカトシに嫌われるだけだろうから、万が一キスしても自重しなくてはいけないな。




確かにメンドクサイ女だな……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。