桜才学園での生活   作:猫林13世

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持ち物検査でこれだけ押収されるとは……


押収品

 生徒会の業務があるため、お弁当は生徒会室で食べる事になった。もちろん、アリアやスズ、タカトシも一緒にだ。

 

「持ち物検査の結果ですが、やはり必要無いものを持ち込んでいる生徒が多いですね」

 

「そうだな。特に一年生に多いようだが、やはり慣れてきて気持ちが緩んでいるのだろうか?」

 

「どうなんでしょうね……ウチのコトミの場合は、単純にやらかしただけですが」

 

 

 昨日没収され返却された漫画をそのまま鞄に入れておくという失敗を演じたコトミは、どうやら反省しているようだった。さっき見かけたが、随分と落ち込んでいたからな。

 

「逆に三年生はあんまり持ち込んでる子はいなかったね~」

 

「受験生だからな。余計なものを持ち込んで、内申を悪くするのを避けているのだろう」

 

「ですが、畑さんからこれだけの不必要なものを押収したのですが」

 

 

 さっきから気になっていた段ボールの中身は、タカトシが畑から没収したものだったのか……いったい何が入ってるんだろうか?

 

「畑さん曰く『生徒会女子メンバーが見られると困る物』が入っているようですが、確認した方が良いですかね?」

 

「それは我々でやるから、タカトシはこっちの押収品の確認とリストの作成を頼む」

 

「分かりました」

 

 

 少しは興味を示しても良いんじゃないかと思いつつ、見られると困る物とはいったい何なのかという恐怖心から、タカトシに見られずに済むと思いホッとしてしまう私がいた。複雑な乙女心、とは違うのだろうが、これはこれで複雑だな……

 

「えっとこれは……アリアの昔の写真だな。ノーパンで過ごしてた頃の」

 

「こっちはシノちゃんの写真だね。髪の毛を乳首に縛り付けようとしてる時の」

 

「何処から撮ってたんでしょうね……って! これは完全にアウトだろうが!」

 

 

 萩村が叫んだのを見て、私とアリアは萩村が持っている写真を覗き込んだ。

 

「萩村、畑を連れてこい」

 

「これはお説教しなきゃいけないヤツだね」

 

「分かりました。すぐに捕まえてきま――」

 

「や!」

 

「連れてきました」

 

 

 萩村に指示を出したのだが、既にタカトシが捕獲済みで、私たちの前に畑がいた。

 

「それで、何を叫んでたんですか?」

 

「こ、これはさすがに見せられない! 恥ずかしすぎるぞ!」

 

「はぁ……まさか更衣室に隠しカメラでもあるとかですか?」

 

「「「ッ!?」」」

 

「そのまさかでしたか……後程回収の為に畑さんには再び同行を願う事になると思いますが、逃げないでくださいね?」

 

「分かりました。さすがに今回はやり過ぎたと反省してます」

 

 

 タカトシの威圧感に負けたのか、畑は素直に同行を受け入れた。何時もなら何か言い訳をするのだが、さすがに今回は素直に認めるようだな。

 

「さて畑よ。まさかとは思うが、この写真を売ったりはしてないよな?」

 

「さすがにしませんよ。皆さんの下着姿を何時もの値段で売るわけがありません」

 

「つまり、特別価格で販売していたと?」

 

「しようと思ってましたが、その前に津田副会長に見つかってしまったため、その写真の存在を知っているのは私と生徒会の皆さんだけです」

 

「もし出回っていたら、畑さんを警察に突き出すしかなかったですね」

 

「これは完全に犯罪だからな。何時もの盗撮とはわけが違う」

 

 

 何時ものも酷いものだが、これは完全にアウトだ。さすがに見逃すわけにはいかなかっただろう。

 

「それにしても、どうやったらこんな写真を撮ることが出来るんだか……」

 

「呆れるのを通り越して感心しますよね」

 

「さすがに男子更衣室の写真は無いみたいね」

 

 

 アリアが段ボールの中身の検閲を済ませそんな感想を述べたが、さすがに男子更衣室に忍び込む度胸は無いだろうな。

 

「だって、津田副会長にはバレてしまいますので……どれだけ巧妙にカメラを隠しても、どれだけ気配を殺して忍び込んでも、津田副会長には通用しませんので。他の男子の写真は全く売れませんしね」

 

「そもそも忍び込もうとするな!」

 

「申し訳ありませんでした。ところで、津田先生」

 

「まだですよ。てか、一日で出来ると思ってないでしょ」

 

「さすがに一日は無理でも、今週中には出来るのではないかと思ってますが」

 

「まだ半分も出来てませんので、あまり高望みをされても困るのですが」

 

「先日も申し上げた通り、間に合わなかったら天草会長が生徒会室でバストアップ体操をしていたという記事と証拠写真を載せますので問題はありません」

 

「大ありだ!」

 

 

 てか、何故その事を畑が知っているんだ……あの時はかなり警戒していたから、さすがの畑でも盗撮出来なかったと思うんだが……

 

「廊下側に意識を向けていましたので、屋上からロープを垂らして覗き込みました」

 

「たかが部活動に命がけだな……」

 

 

 まさか外から撮られていたとは……今度からは学校でやるのは止めよう……

 

「ところで会長、この写真はどうするんですか?」

 

「処分するに決まってるだろ! だがその前に、五十嵐にも報告しておいた方が良いだろう。我々以外だとアイツの写真が一番多いわけだしな」

 

「風紀委員長の写真は、普通のでも高値が付きますからね」

 

「反省の色無し。新聞部は一ヶ月間活動停止処分ですかね」

 

「誠に申し訳ございませんでした」

 

 

 萩村の脅しに、畑は素直に頭を下げ謝罪の言葉を述べた。さすがに活動停止処分は嫌なようだな……ならこんな事しなければいいのに。




ジャーナリズムをはき違えてるような……

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