桜才学園での生活   作:猫林13世

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30話目です。そしてついにあの人が……


一学期終了

 本日を持って、一学期が終了する。と言う訳で今は体育館で終業式の真っ最中なのだが、相変わらず人前に立つ時は緊張するな~。

 

「如何した? 津田、顔が赤いが……まさか人前に立って興奮してるのか!?」

 

「緊張してるんですよ!」

 

 

 何で興奮するんだよ……でもあれ? 良く見たら会長や七条先輩も顔が赤いような……

 

「二人も緊張してるんですか?」

 

「いや、興奮してるんだ!」

 

「私も~!」

 

「何でだよ!」

 

 

 いくら舞台袖とは言え大声を出すのはマズイので小声でツッコミを入れる。萩村は完全に我関せずを貫き通すようだ。

 

「それでは、生徒会長に一言お願いします」

 

「おっと、出番だ」

 

「シノちゃん、壇上で絶頂しないようにね~!」

 

「そんな励まし方があるか!」

 

「おう!」

 

「何でガッツポーズなんですか……」

 

 

 七条先輩の訳の分からないエールに、会長が力強く応えた。本当になんなんだこの生徒会役員共は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 終業式を終え、HRも終わったが、俺たちはまだ生徒会での仕事が残ってる為に生徒会室に集まった。

 

「は~早く帰って身体を洗いたいな~」

 

「七条先輩は潔癖ですね」

 

「そうかな~?」

 

「綺麗好きは良い事だと思いますよ」

 

 

 確かにこの暑さだ、汗で気持ち悪くなっても仕方ないだろう。

 

「そうだよね! ア*ル洗浄は素敵だよね!」

 

「……あれ? 身体……あれ?」

 

「何時から話が摩り替わった!?」

 

 

 俺たちは何の話をしてたんだろう……正直話がかみ合って無い気が……

 

「さて、残りの仕事を片付けてしまおう」

 

「そうだね~」

 

 

 何事も無かったかのように進められる会話に、俺と萩村は肩を落とした。

 

「アンタが居てくれて助かってるわ……」

 

「うん、俺も萩村のおかげで何とかなってるよ……」

 

 

 ツッコミポジションである俺たちは、どちらかが欠けたらきっともう一人も駄目になるだろうと思ってる。それだけに相手を気遣う気持ちは忘れないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 残ってた仕事も終わり、漸く帰れるのだが、俺は鞄の中にある大量の宿題を見てため息を吐いた。

 

「進学校だけあって、宿題多いですね~」

 

「これくらいなら五日もあれば十分だな」

 

「私はお稽古があるから一週間かな~」

 

 

 相変わらず次元が違いすぎるな……俺は一ヶ月くらいなきゃ終わりそうに無いぞ……主にコトミの相手があるから……

 

「私はもう終わりました」

 

「はぁ!?」

 

 

 この量をもう終わらせたって言うのかよ……学年一位と二位の差は思ったよりあるようだな。俺ももう少し頑張るか……主にコトミを更生させるのを。

 

「それで済まないんだが、君たちには何日か学校に来てもらう日があるのと、この日は海水浴に行くので予定を空けておいてくれ」

 

「海水浴?」

 

「ああ、親睦を深める為にな。一人くらいなら友人を誘っても構わないが、参加は自由だから気軽に来てくれ」

 

「参加自由ねぇ……」

 

 

 俺の手元には、会長直々に作ったと思われる旅のしおりがあるのだが、もしこれで参加しないって言ったら怒られるだろうな……

 

「それで会長、登校日の時に何か持ってくるものはありますか?」

 

「いや、特に無いな」

 

「それじゃあ手ぶらで良いんですね」

 

 

 荷物が無いのはありがたいな。大した距離じゃないけど、手ぶらと荷物ありじゃ気分が違うからな。

 

「いや、服は着て来い」

 

「………」

 

「ん? ……あぁ、グラビア用語の方じゃねぇよ」

 

 

 事務的なツッコミを入れて、今日は解散になった。

 

「ねぇねぇシノちゃん、この後水着買いに行かない?」

 

 

 終わって早々そんな話をするなんて、やっぱりノリノリなんだな……ますます行きたくなくなってきた。

 

「如何しよう……私サイズ代わらないからもったいないし……」

 

「で、でもシノちゃん、腕も腰もお尻も脚もスマートじゃない? 四勝一敗で勝ち越しだよ」

 

「五連勝のアリアには敵わないから……」

 

 

 あの空気、誰が如何すれば良いんだか……

 

「津田、アンタが何とかしてきなさいよ」

 

「俺が!? 何で!?」

 

「私は方向が逆だから」

 

 

 そう言えばそうだったな……会長も七条先輩も、方角的には一緒だったっけ……

 

「会長、七条先輩、良かったら途中まで一緒に帰りませんか?」

 

「じゃあ津田君に選んでもらお~!」

 

「そうだな!」

 

「は?」

 

 

 いきなりなんだ……もしかしなくてもあれだろうな……俺には荷が勝ちすぎてると思うんですが。

 

「それじゃあ私はカエデちゃんに電話するね~」

 

「五十嵐さんに? 何故です?」

 

「海水浴に誘うからだよ~。その後で一緒にお買い物~」

 

「じゃあ私はウオミーだな!」

 

「……確か会長のメル友の」

 

 

 俺はいったい何人の水着を選べば良いんだ……

 

「それじゃあ出発!」

 

「カエデちゃんは校門で待ち合わせだよ~!」

 

「……萩村、怨むからな」

 

「ゴメン、チョーゴメン」

 

 

 恨みがましい目を向けると、萩村は必死に謝ってくれた。仕方ない、覚悟を決めるか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 校門で五十嵐さんと合流し、店の前で噂のウオミーさんと合流した。あの制服って確か、英稜高校のだよな……意外と近所だったんだ。

 

「やあウオミー」

 

「こんにちは、シノッチ」

 

「貴女がウオミーさん?」

 

「YES! 英稜高校二年、生徒会役員の魚見です」

 

「桜才学園二年、生徒会書記の七条アリアです」

 

「桜才学園二年、風紀委員長の五十嵐カエデです」

 

「よろしく……あら、そちらの方は?」

 

 

 少し離れていた俺に気付いて、魚見さんは近付いてきた。

 

「どうも、桜才学園一年、生徒会副会長の津田タカトシです」

 

「何処かで……お会いしましたっけ?」

 

「いえ、初対面だと思いますけど……」

 

「いえ、絶対何処かで……ちょっとこれを読むのに付き合ってもらえます?」

 

「はぁ……」

 

 

 渡されたのは一冊の本、なにやら台本のようだが、何に使うつもりだったんだろうか……

 

「えっと……汚れますよ、良いんですか?」

 

 

 何で汚れると言うんだ……

 

「良いのよ! タカ君良いの! 先生、今日は汚される覚悟で来てるから!」

 

 

 た、タカ君!? 何だその呼び名は……でも、何故だか近しい名前で呼ばれてた気がするし、魚見さんがアラフォー教師に見えた気が……

 

「先生の水田に、タカ君の種籾を直播きしてー!」

 

「きゅ~!」

 

 

 ……今、五十嵐さんが鳴いたような気が……なんだったんだろう?

 

「ふう、ありがとうございました」

 

「はぁ、お役に立てたのなら……」

 

 

 良く分からないコントをして、俺は結局四人分の水着を選ぶ破目になってしまった……正直俺のセンスなんて当てにならないんだがなぁ……とりあえず、会長は赤、七条先輩は白、魚見さんは青、五十嵐さんは黄色の水着に決まった。俺が決めたんだけどね……




ウオミー登場! ちなみにネタは「のうりん」です。

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