桜才学園での生活   作:猫林13世

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かなりサバイバル……


無人島での調理

 使うテントが決定したので、私たちは夕食の準備を始める事にした。さすがに自力で手に入れた食材だけでは生活できないということで、予め用意していたカレーの具材を運び調理をする。

 

「シノっち、嬉しそうですね」

 

「そうか? そういうカナだってにやけてるじゃないか」

 

「タカ君と同じテントで一夜を明かせるなんて、絶好のチャンスですからね」

 

「そうだな! 欲を言えば、森は別のテントが良かったんだが」

 

 

 アイツは既に三回もタカトシとキスをしているし、タカトシの方もあからさまではないにしてもアイツの事を意識してる様子だしな……

 

「二人とも、口じゃなくて手を動かしてください」

 

「あ、あぁ……すまない」

 

「ゴメンね、タカ君」

 

「何を話していたのかはあえて聞きませんし気にしませんが、作業をサボるのは見逃せませんので」

 

 

 さすが主夫、料理中に無駄話をしているのが見逃せなかったというわけか。

 

「ところで、出島さんは何処に行ったんだ? あの人がいればだいぶ楽だと思うんだが」

 

「そういえば見当たりませんね」

 

「あぁ。出島さんなら焚き木を探しに行きましたよ」

 

「焚き木? 昼に集めてきたじゃないか」

 

「なんか、別の用途に必要だとか言ってました」

 

 

 まぁ、この場はタカトシがいれば問題ないし、この島の事は出島さんも熟知しているだろうし、私が心配するような事ではないか。

 

「よし! 完成を急ぐぞ!」

 

「そうですね。アリアっちとサクラっちも頑張ってくれてますしね」

 

「ん? コトミは何処に行った?」

 

「あぁ、アイツなら……」

 

「タカ兄、重い……」

 

「川から水を運んでこさせてます。アイツを調理場に置くわけにはいきませんので」

 

 

 相変わらずの信用の無さだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 川の水を煮沸して飲み水として確保する。タカトシに命じられて川から水を運んできたコトミちゃんから水を預かり、その番をするのが私の仕事だ。調理場に加われなかったのは、決して身長が足りないからとか、そういう理由ではない。

 

「一応調理用に水は持ってきてるはずなんですけどね」

 

「エコ精神を鍛えるための無人島生活だもの。水だって無駄遣い出来ないって事でしょ」

 

「だからって、か弱い妹に水を運ばせますかね」

 

「アンタ、調理場にいても戦力にならないんでしょ? 仕方ないじゃない」

 

「水が飲みたいです……」

 

「まだお湯よ?」

 

 

 煮沸は済んだが、まだ冷めていないので飲み水には適さないと思うのだが、コトミちゃんはあまり気にした様子もなく口に含んだ。

 

「熱っ!」

 

「だから言ったじゃないの……」

 

 

 人の話を聞かない子ね、相変わらず……

 

「さすがタカトシ様ですね。飲み水の確保は必要ですし、生水は危険ですからね」

 

「で、出島さん……どこから現れるんですか」

 

「何処からって、萩村さんの股の下からですが」

 

「そういう事聞いてるんじゃねぇよ!」

 

「あぁ! ロリっ子に罵倒されるこの快感……」

 

 

 タカトシ、何で私を調理場に呼んでくれないの! この二人相手なんて私には無理よ!

 

「さて、目当てのものも手に入りましたし、私もさっそく調理を始めますか」

 

「何をするんですか?」

 

「太い枝を熱で処理して、皮を剥いでねじりパンを作ります」

 

「おぉ! 手作りパンですか!」

 

 

 さすが、メイドとしては一流だとタカトシが褒めるだけはあるわね……それ以外は酷いものだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カレーが完成に近づくのと同じく、出島さんの方で作っているものも完成が近づいている様子で、カナ会長と天草さんが興味深げに出島さんが作業しているところに近づいていった。

 

「楽しそうですよね、あの二人」

 

「エコ精神を鍛える為だとか言っておきながら、いつの間にかサバイバルになってましたからね」

 

「本当に遭難しても、タカトシさんがいてくれれば心強いですけどね、私としては」

 

「期待されるのは嬉しいですが、このメンバーで遭難する可能性は無いと思いますよ」

 

「確かにそうですね」

 

 

 出島さんはまずいないでしょうし、このメンバーでこの島に遭難したとしても、すぐに脱出出来そうですしね。

 

「タカトシ君、ちょっと味見してくれないかなー?」

 

「味見ですか? 何か足したんですか?」

 

「コクが足りないなら、おやつに持ってきたチョコを足そうかと思って」

 

「そんな必要は無いと思いますが……うん、大丈夫です」

 

 

 七条さんから受け取った小皿を返し、タカトシさんは満足そうに頷いた。だが、七条さんの興味はタカトシさんの感想ではなく、タカトシさんが使った小皿にむいているようだった。

 

「何を考えているんですか?」

 

「な、何でもないよ!? タカトシ君が舐めた場所を舐めれば、間接ベロチューになるのかな、なんて考えてないからね!?」

 

「考えていたんですか……」

 

 

 あっさりと自爆した七条さんに、タカトシさんは呆れた視線を向け、小皿を回収して速攻で洗い始める。

 

「あぁ、もったいない……」

 

「くだらない事を考えてないで、ちゃんとカレーを見ててくださいね」

 

「くだらなくないと思うけど……いえ、何でもないです」

 

 

 反論しようとして、タカトシさんの視線に危機を感じ取った七条さんは、その後大人しくカレーの番をすることにしたようでした。

 

「まったく。油断も隙もあったもんじゃない」

 

「お疲れ様です」

 

「慣れている自分が嫌ですけどね……」

 

 

 タカトシさんの愚痴に、私は同情的な笑みを浮かべるしか出来なかったのでした。




ほんとツッコミは大変なんですよね……

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