桜才学園での生活   作:猫林13世

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相変わらずのスケール……


エアコンに頼らないためには

 結局今回のテストも、コトミの兄貴に助けてもらってしまった……少しでも兄貴の負担を減らそうとコトミと頑張っては見たものの、マイナス同士では掛け算出ない限りプラスには変わらなかったのだ。

 

「これで無事に夏休みを迎えられるね~」

 

「お前は良いよな、血縁だから」

 

「そんなこと無いよ。あの後散々怒られたんだから」

 

「まぁ、コトミもトッキーも頑張ってたけどね……勉強する範囲を間違えてたけど」

 

 

 マキの言う通り、前日までテスト範囲を間違えて勉強していたのだ……その事を兄貴に言った時の顔は、恐らく生涯忘れないだろう。

 

「マキは相変わらず上位に名前があったね」

 

「今回はギリギリだったけどね」

 

 

 上位五十人、そのうちの四十八番目にマキの名前があった。当然の如く、私とコトミの名前は無い。

 

「とりあえず、タカ兄にお礼を言いに行こうか」

 

「そうだな」

 

 

 テストが終わった時に一度お礼は言っているが、こうして無事に補習を免れたのだから、改めてお礼を言いに行くのも必要だろう。もし兄貴に見捨てられていたら、私たちは夏休みの半分を補習で費やす事になっていたのだろうから……

 

「マキも来る?」

 

「いや、私は良いわよ」

 

「何で? 最近タカ兄の周りは積極性が増した雌が大勢いるんだよ? うだうだしてると忘れられちゃうかもしれないよ?」

 

「うっ……」

 

 

 こいつ、人を煽るのだけはうまいよな……何故その才能を他に活かせないのかと思うがな……

 

「それじゃあ、マキも決心付いたみたいだし、生徒会室へGO!」

 

「何だ、そのノリは……」

 

 

 妙なテンションなコトミは兎も角として、私たちは兄貴にお礼を言う為に生徒会室へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回もタカトシと同点だったが、これはこれで良いものよね……タカトシと同じって……

 

「そういえばタカトシ、コトミとトッキーは補習を免れたらしいな」

 

「おかげさまで……まぁ、かなりギリギリだったみたいですがね」

 

 

 タカトシがテスト後に採点した結果、時さんは兎も角コトミは補習ラインすれすれだったのだ。だが何とか免れたようで、タカトシは自分の結果でもないのに漸く一息つけたのだった。

 

「おっ邪魔しまーす!」

 

「おぉ! 噂をすればコトミではないか」

 

「へっ? 私の噂をしてたんですか?」

 

「お前の成績の話をな」

 

 

 こめかみをひくつかせながら告げるタカトシに、コトミが一歩引いた。まぁ、あの威圧感は私だったら耐えられないでしょうね……

 

「それで、トッキーや八月一日までどうしたんだ?」

 

「いえ……兄貴に改めてお礼をと思いまして」

 

「あぁ、気にしなくていいよ。時さんはちゃんと結果を出してくれたから」

 

 

 時さんの点数は、平均には届かなかったがコトミ程酷くない。だからタカトシも穏やかに接しているのだろうな。

 

「まぁまぁタカ兄。この借りは何時かどこかで返すから」

 

「お前が少しでもマシになってくれれば、あの苦労も報われるんだがな……」

 

 

 盛大にため息を吐いたタカトシに対して、コトミは親指を立てて会心の笑顔を浮かべている。この兄妹、何でここまで似てないのかしら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏本番という事で、我々生徒会メンバーで夏休みの予定を立てる事にした。ちなみに、コトミたちは既に帰ったがな。

 

「夏という事で、どうしてもエアコンに頼ってしまうだろうが、ここはエコ精神を発揮してなるべくエアコンに頼らない生活を送ってみようではないか」

 

「ですが、あまり我慢すると熱中症になってしまいますよ? 頼り過ぎも困りますが、我慢した結果が救急搬送では笑えません」

 

「確かにそうだな……」

 

 

 私も現代っ子だし、どうしてもエアコンに頼りがちになってしまっているからな……だがタカトシの言う通り我慢して救急車のお世話になるのはどうかと思うし……

 

「あっ、それだったらウチで所有している無人島で過ごすのはどう?」

 

「スケールデカいな……」

 

「シノ会長、アリア先輩にとっては今更な気もしますが……」

 

「それもそうか」

 

 

 温泉を掘り当てたり、プライベートビーチで年越ししたりと、アリアのスケールのデカさは今更だな!

 

「しかし、我々だけでその島に行って問題ないのか?」

 

「大丈夫。出島さんに案内してもらうから」

 

「あの人ですか……」

 

「大丈夫なんですか……」

 

「もぅ! タカトシ君もスズちゃんも心配し過ぎだって。出島さんはふざけなければ完璧なメイドなんだから」

 

「その『おふざけ』が問題なんですよ……」

 

 

 タカトシが心底嫌そうな顔をしているが、私はあの人の事好きなんだがな。

 

「それで、メンバーはどうする?」

 

「私たちだけじゃつまらないし、コトミちゃんやカナちゃんたちも呼んでみましょうか」

 

「あまり長期間じゃなければ、バイトも休めますしね」

 

「よし、それじゃあカナたちの予定を聞いて計画を立てるとするか!」

 

「エコ精神云々からだいぶかけ離れたような……」

 

「スズ、気にしたら負けだよ……」

 

「そうね……」

 

 

 何故かタカトシと萩村は疲れ切った表情をしているが、若いのに体力がないのか? こうなったらエコ精神と同時に二人の体力も鍛えてやるとするか!

 

「では、今日はこれにて解散! 詳細は後日メールするからな」

 

「「分かりました……」」

 

 

 いやー楽しみだな、サバイバル!




何故かサバイバルの計画に変わってる……

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