桜才学園での生活   作:猫林13世

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しゃっくりはキツイですよね……


コトミを驚かせ

 朝からしゃっくりが止まらず、私はマキとトッキーにどうにかしてほしいとお願いしたけど、結局しゃっくりは止まらなかった。

 

「――というわけで、私をビックリさせてください」

 

「いきなり生徒会室に来て驚かせとは……暇じゃないんだが?」

 

「まぁまぁ、タカトシ。こんな面白そう――じゃなかった。困ってる生徒を助けるのも生徒会役員の役目だ。私たちでコトミのしゃっくりを止めてやろうではないか」

 

 

 つい本音が零れた会長ではあったけど、スズ先輩やアリア先輩も味方につけてタカ兄を納得させた。

 

「いきなり驚かせろと言われても……」

 

「地球って球体ではなく楕円形らしいぞ」

 

「えぇ!?」

 

 

 じゃあ、地球儀って間違った形だったんだ……

 

「涙の原料って血よ」

 

「えぇっ!?」

 

 

 それじゃあ、出血してるのとあまり変わらないだ……

 

「実は私、タカトシ君の子供を身籠ってるの」

 

「な、なんだってー!?」

 

 

 いつの間にアリア先輩と合体したの、タカ兄……

 

「……来月からコトミの小遣い三割減」

 

「それは困るよ!? ……あれ? しゃっくりが止まった」

 

 

 タカ兄の冗談で驚き過ぎたのか、いつの間にかしゃっくりが止まっていた。

 

「いや~、助かりました」

 

「ちなみに、冗談じゃないからな?」

 

「えぇ!? 三割も減らされたら生活できないよ!」

 

「ゲームとか買わなければいいだろ。そもそも、お前は買い過ぎなんだよ」

 

「そんなこと無いと思うけど」

 

 

 タカ兄はゲームとかあまりしないから分からないんだろうけど、私くらいじゃ買い過ぎとは言わないんだよね。まぁ、何とかして三割減は無くしてもらわないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コトミのしゃっくり騒動が収まり、私たちはとりあえず授業の為に教室に戻る事にした。

 

「次の体育は水泳だね」

 

「体操着に着替えるか」

 

「見学ですか?」

 

 

 タカトシが相槌を打ってきたが、別に気にする事ではないので普通に答える事にした。

 

「着衣水泳をするそうだ」

 

「なるほど、事故の際に落ち着いて行動出来るようにですか」

 

「夏場は水の事故が多いからって理由らしいね。確かに、去年はカエデちゃんやサクラちゃんが溺れて、タカトシ君に抱きついたりしてたもんね」

 

 

 あれは羨ましかったな……って、タカトシの視線が怖いから口には出さないでおこう。

 

「とりあえず、気を付けてくださいね」

 

「恐らく二年生もやるとは思うがな」

 

 

 タカトシたちと別れ、私とアリアは体操着に着替えてプールに向かう。せっかくプールの授業だというのに、泳げないのはなんだかもったいない気がするな……

 

「天草会長、七条さんも何を考えているんですか?」

 

「五十嵐か。いやなに、溺れたらタカトシが助けてくれるのに、とかは考えてないぞ」

 

「考えてたんですね……」

 

 

 前の奴隷ゲームでも結局タカトシとキス出来なかったし、いっそのことタカトシと遊びに行ったときに溺れたフリをして人工呼吸してもらうってのもありかもしれんな……

 

「次、シノちゃんだよ」

 

「あぁ……」

 

 

 先に着衣水泳を済ませたアリアに声を掛けられ、思わず私は言葉を失った……

 

「(濡れた衣服は身体のラインを強調させてエロいんだな……)」

 

 

 私が同じように濡れても、あそこまでエロくはならないだろうな……やぱりアリアのスタイルは凄い……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室から戻って来てからというものの、コトミのテンションがダダ下がっているように感じる。何かあったのだろうか?

 

「コトミ、しゃっくりは止まったの?」

 

「うん……」

 

「何かあったのか?」

 

 

 私同様コトミのテンションが低いのを感じていたトッキーが質問する。

 

「タカ兄にお小遣い三割カットって言われちゃった……」

 

「まぁ、今まで無駄遣いし過ぎてたんだし、これを機会に無駄遣いを止めれば良いじゃない」

 

「来月も気になる新作がいっぱいあるんだよ!」

 

「なら、コトミもバイトすればいいじゃん。津田先輩ならそれぐらい許可してくれるんじゃない?」

 

「バイトなんてしたら、ますます成績が下がるじゃん!」

 

「それは胸を張っていう事ではないんじゃないか?」

 

 

 トッキーのツッコミに私も頷いて同意する。そもそも津田先輩はバイトもしつつ、しかもコトミたちの相手をしながらも成績上位なのだから、必ずしもバイトをすると成績が下がるわけではないと思うのだけど……

 

「何とかしてタカ兄にお小遣いカットを思い止まってもらえないかな……」

 

「現実を受け入れる方が楽だと思うが?」

 

「そんな現実受け入れられるわけがないじゃん! そもそも、トッキーだってお小遣い減らされたら困るでしょ?」

 

「私は別に……てか、関係ないだろ?」

 

「だって、二人と遊びに行くとき、お小遣いが減った私が二人に集る可能性が――」

 

「だからバイトするか無駄遣いを止めろって言ってんだよ!」

 

「働きたくない」

 

「ダメ人間だな……」

 

 

 コトミの発言にトッキーが盛大にため息を吐いた。確かにコトミはダメ人間だし、津田先輩が匙を投げたらとっくの昔にもっと駄目になってただろうな……

 

「とりあえず、帰ってタカ兄を説得してみるよ」

 

「減らされても助けねぇからな」

 

 

 トッキーの言葉にコトミは何かを言い返そうとしたが、結局そのまま何も言わずに帰っていった。てか、何をしてお小遣いを減らされそうになってるのかしら……




まさにダメ人間……

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