桜才学園での生活   作:猫林13世

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競技までいかなかった……


みんなでテニス その1

 七条家が所有するコートでテニスをすることになったのだが、参加者が思ったほど集まらなかった。

 

「結局、我々桜才学園生徒会四人と、カナとサクラの二人、後は出島さんと五十嵐の計八人か……」

 

「ダブルスをするにしても、二コートで足りますね」

 

「三葉やトッキーは何故来れないんだ?」

 

「その日は柔道部の試合があるそうで、コトミと八月一日さんはその応援に行くそうです」

 

「先約があるなら仕方ないか……まぁ、八人いれば十分か」

 

 

 本音を言えばもう少し人が集まってくれた方が楽しいのだが、これだけでも十分だと思わなければな! 無理に来てもらっても来た方も私たちも楽しいと思えないかもしれないから……

 

「ところでスズちゃん、テニスのネットはさすがに届くよね?」

 

「当たり前だー! 先輩だけど張り倒すぞ!」

 

 

 相変わらずアリアの萩村弄りは軽快だな……さすがにテニスのネットくらいなら萩村にだって届くだろ……

 

「会長も、何か失礼な事を考えていませんか?」

 

「そそそ、そんな事ないぞー」

 

「視線が明後日の方を向いてるし、完全に棒読みじゃねーか!」

 

 

 カナ直伝の誤魔化し方を実行したというのに、あっさりとバレてしまったじゃないか……あまり効果ないんじゃないか、これ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現地集合だったので、俺たちは待ち合わせをしてから向かう事になったのだが、何故かシノ会長と萩村は別行動になっている……というか、前日から泊まっているらしいので、アリア先輩たちと一緒に行くようだ。

 

「とういわけで、タカ君のお義姉ちゃんことウオミーです」

 

「なんですか、その登場の仕方は……」

 

「ちょっと新しさを求めた結果です」

 

「あまり普段と変わらないと思いますけど……」

 

 

 サクラさんのツッコミにもめげずに続けようとした義姉さんだが、俺が冷めた目で見つめてる事に気が付き、ボケを止めてくれた。

 

「今日はスポーツだということですが、どう考えてもタカ君が有利だと思うんですが」

 

「アリア先輩は中学時代に全国まで行った猛者だと聞いていますので、俺だけじゃないと思うんですけど」

 

「男子と女子とでは力の強さが違いますので。タカ君の全力を受けたら、痣になってしまうかもしれませんし」

 

「何で身体で受け止める事前提で話してるんですか、貴女は……」

 

 

 ラケットを持ってるんだから、そっちで返す事を前提にしてほしいものだ……まぁ、ある意味いつも通りの義姉さんなのかもしれないが……

 

「ペアを決める時に不正がないようにタカ君にはしっかりと見張ってもらわなければいけませんね」

 

「ダブルスで決定なんですか? シングルスでも楽しそうですが」

 

「時間はたっぷりありますから、両方やるのも楽しそうですよね」

 

「タカ君もサクラっちも若いですね……何試合も楽しむなんて事は出来なさそうです……」

 

「一つしか違わないじゃないですか……」

 

 

 急に年上アピールされても困るし、高校生なんだから義姉さんだって問題なく動けるだろうに……

 

「私、文系なうえに生徒会役員で運動は苦手なんですよ」

 

「平均以上出来るじゃないですか……むしろ、私の方が運動音痴ですよ、まともに泳げませんし……」

 

「泳げるんじゃなかったでしたっけ?」

 

「脚が付く範囲なら……」

 

 

 つまり、海では泳げないという事か……

 

「すみません、遅れました」

 

「遅いですよ、カエデさん! 罰として、タカ君に今日の下着の色を――じょ、冗談ですのでその拳は開いてください」

 

「俺たちが時間前から待ってただけで、カエデさんは時間通りですよ」

 

 

 恐縮しきってるカエデさんにフォローを入れて、俺たちは指定された場所まで電車で移動するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 改めて思うけど、七条先輩はお金持ちのお嬢様なんだな……普段はそんなこと感じさせないけど、こういうところを見てしまうとそう思うしかないのよね……

 

「これがアリアの為だけに作られたのか?」

 

「中学の時はここで練習したりしてたしね」

 

「金持ちって凄いな……」

 

「そうですね……」

 

 

 会長の呟いた言葉に同意するが、それ以外に言葉が出ないのも一つの原因だ。だって、娘一人の為にテニスコートを作るなんて……

 

「今は一般開放して収入を得ていますので、何も問題ありません」

 

「だが、今日は他の人が見当たらないが……」

 

「当然貸し切りにしてありますので、天草様たち以外が入ることはありません。ですので、露出プレイをするのも自由ですので」

 

「そんな訳あるかー!」

 

 

 本気でスカートを脱ぎだしそうになった出島さんにツッコミを入れたけど、私じゃイマイチキレのあるツッコミは繰り出せないわね……最近はタカトシやサクラさんに任せきりだったからかしら……

 

「露出プレイは兎も角、今日はこの敷地には私たちしかいないから、何をしても問題にはならないよ」

 

「いや、タカトシが問題にすると思いますがね……」

 

「タカトシ君は、数で攻めれば大人しくなってくれるから」

 

「民主主義だからな!」

 

「絶対に違うと思うんですけど……」

 

 

 数の暴力だと呟いてるのを聞いたことがあるので、タカトシ的には納得出来てない部分が大きいんだとは思うけど、律儀に付き合ってくれてるのを見れば、やっぱり民主主義なのかもしれないわね……って、なんだか毒されてるような気が……




球技大会ネタですが、ここのタカトシは普通に勝ちそうだったのでお遊びにしました

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