桜才学園での生活   作:猫林13世

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参加者は多めです


山の幸を求めて

 スーパーに買い出しに出かけると、前から見知ったメンバーが近づいてきた。

 

「シノっち、アリアっち、スズポンもお買い物ですか?」

 

「カナとタカトシも買い出しか」

 

「向こうにサクラちゃんもいたよ~」

 

 

 今、このスーパーには桜才、英稜の生徒会メンバーがほぼそろっているという事ですか……

 

「タカ兄、これも買って~」

 

「こないだも買っただろ。てか、小遣いの範囲内でやりくりしろ」

 

「私はタカ兄みたいに主夫的考え方は出来ないんだよ~」

 

 

 ちなみに、私は別にタカ君と一緒に買い物に来たのではなく、たまたま一緒になっただけだ。

 

「あれ、会長にタカトシさん……それに桜才学園生徒会の皆さんまで……」

 

「結局いつものメンバーね」

 

「それにしても、最近野菜、高いですよね」

 

「それだったら、近所の青果店で買えば多少安くなるぞ」

 

「知ってはいますが、食材ごとに店を変えて買いに行くほど、時間的余裕が無いんですよね……」

 

 

 全員が一斉にコトミちゃんに視線を向ける。

 

「ところでシノちゃん。何処で買えば安いかすべて把握してるの?」

 

「もちろんだ! 安く食材を手に入れ、家系の負担を減らすことが、出来る女の条件だ」

 

「凄い。感銘を受けたよ!」

 

 

 などというやり取りがあった翌日――

 

「というわけで、七条家が保有する山で山の幸を採ることになった」

 

「相変わらず唐突ですね……」

 

「まぁまぁ、タカ兄。美味しい山の幸が食べられるんだから良いじゃないか」

 

 

――タカ君の言う通り、多少唐突ではありますが、私たちは山の幸を探す為に山に入ることになった。

 

「ところで出島さん、今日は私服なんですね」

 

「幾ら私でも、メイド服で山を歩き回る自信はありませんので」

 

「それじゃあ行きましょうか」

 

 

 アリアっちと出島さんを先頭に、シノっち、スズポン、タカ君、コトミちゃん、サクラっち、私の順に山に入っていく。

 

「シノ会長」

 

「何だ?」

 

「そこに畑さんがいるんですけど、呼んだんですか?」

 

「あらー、やっぱりバレちゃったわね」

 

「畑さん、ここ一応私有地ですから、勝手に入ったらマズいんじゃ……」

 

 

 スズポンが常識的なツッコミを入れたが、畑さんがアリアっちと出島さんになにかを手渡すと、所有者の娘と、その家に仕えるメイドが畑さんを歓迎した。

 

「というわけで、今日一日密着取材させていただきます」

 

「何を渡したのか気になるが、アリアが良いという以上私たちが何かを言える権利はないな」

 

「いや、あると思いますが……」

 

 

 タカ君が猛烈に嫌な雰囲気を感じ取ったように顔を顰めたけど、既に許可が出てしまった以上畑さんを追いやることも出来ず、盛大にため息を吐いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある程度山を登り、この辺りに山菜やキノコが生えているとの事で、私たちはそれぞれ山の幸を探す事にしたのです。

 

「このキノコ、凄い派手ですね……真っ赤ですし、食べられそうにないですね」

 

「これは食べられますよ。タマゴタケというキノコです」

 

「そうなんですか?」

 

 

 タカトシさんがキノコの名前と安全だという事を教えてくれたので、私はそのキノコ摘み取り、タカトシさんが持っている籠に入れる。

 

「重くないんですか?」

 

「毎日運動してますし、これくらいは」

 

「ところで森様。先ほど真っ赤だから食べられ無さそうと申されましたが、自然界では固定概念は捨てなくてはいけません」

 

「そ、そうなんですか……」

 

 

 真面目な顔で出島さんに注意され、私は自分の考え方を改めようと思ったのでした。

 

「でも、黒光りのキノコを見つけたら、有無を言わずに咥えてしまいそうです」

 

「固定概念所持したままですね……てか、少し落ち着け」

 

 

 息を荒立てる出島さんに、タカトシさんがツッコミを入れる。

 

「タカトシ、なんだか雲行きが怪しくないか?」

 

「確かにそうですね。山の天気は変わりやすいですからね……あっ、降ってきた」

 

 

 天草さんが心配そうにタカトシさんに話しかけたタイミングで、雨が降ってきてしまった。

 

「一応雨具ありますが、人数分はさすがに持ってないですね」

 

「てか、畑さんのサイズでは俺は無理ですね」

 

「タカ兄、エノキダケ見つけた~」

 

 

 雨など気にせずにタカトシさんのところにエノキダケを持ってくるコトミちゃん。こんな時でも明るく振る舞えるコトミちゃんが少し羨ましいですね。

 

「みんな~、雨降ってきたから別荘に避難しましょう」

 

「特に心配無かったですね……」

 

「これだから金持ちは……まぁ、今回はそのお陰で助かったがな」

 

 

 再び七条さんに案内されながら、私たちは別荘へと向かう事になりました。

 

「ところでスズポン。先ほどから気になっていたのですが、その鈴はいったい?」

 

「クマよけです。音を鳴らす事でこちらの存在を教えているのです」

 

「そうだったんですね。てっきり迷子になっても鈴の音で見つけてもらおうとしてるのかと思ってました」

 

「誰が子供だー!」

 

「あんまり叫ぶと疲れるぞ?」

 

「……冷静なツッコミをどうも」

 

 

 タカトシさんの言葉で、スズさんは多少冷静さを取り戻したようですが、未だにカナ会長に鋭い視線を向けていますね……

 

「ところで、畑はどうやって私たちがここに来ることを知ったんだ?」

 

「それは秘密です」

 

 

 なんとなく嫌な予感がしたのか、タカトシさんはそれ以上聞き出そうとしていた天草さんを制し、とりあえず黙らせることに成功したのでした。




私有地に不法侵入は駄目だろ……

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