桜才学園での生活   作:猫林13世

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今年最後の投稿ですね


シノサンタからのプレゼント

 シノ会長のプレゼント配りが進んでいるようで、とりあえず邪魔をしないようにと大人しく眺めていたが、先ほどリビングで寝ているスズの枕元をきょろきょろと何かを探すようにしてたのは、無意識にサンタを信じていると思い靴下でも探したのだろう。

 

「クリスマスプレゼントですか。天草さんも面白い事を考えますね」

 

「てか、アリア先輩はまだ起きてるみたいですが、平気なんですかね」

 

「大丈夫じゃないですか? 天草さんも七条さんも、その場のノリというものに慣れてるでしょうから」

 

 

 それはどうなんだとも思ったが、確かにあの二人はその場のノリでふざけてたからな……別にいいか。

 

「そろそろ部屋に戻りますか。ここにいたら邪魔になるかもしれませんし」

 

「? 何かあるんですか?」

 

「いえ、なんとなく嫌な予感がするので」

 

 

 そう言って立ち上がり湯呑を二つ洗い、とりあえず部屋へ戻る事にした。部屋に戻る途中でカナさんの声が聞こえたような気がしたが、あの人も起きてても不思議じゃないし、シノ会長と一緒に部屋を回っているのだろう。

 

「そういえばタカトシさん、今日もご飯美味しかったです」

 

「今日はいろいろと持ち寄ってのものですから、俺だけの力じゃないですよ」

 

「でも、出汁とかいろいろ管理してくれたのがタカトシさんだから、美味しい鍋になったんだと思います。魚見会長や天草さんとかがふざけていろいろ用意してたのをちらりと見てしまったので、タカトシさんがいなかったら悲惨な鍋になっていた確率が高いと思いますので……」

 

「食べ物で遊ぶなと釘を刺しておいたのに……」

 

 

 実行しなかっただけ善とするべきか、実行しなかったが説教するべきかで悩んだが、クリスマス・イブにまで説教したくないしな……

 

「とりあえず、サクラさんはもう寝ますか?」

 

「そうですね……もうちょっとお喋りしましょうか」

 

 

 そろそろ日付も変わる頃なので一応尋ねたが、サクラさんはまだ起きるようだな。まぁ明日も休みだし、多少の夜更かしは問題にならないんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カナと二人でアリアたちの部屋を訪ねたら、思いっきりアリアが起きていた……これじゃあサンタとしての仕事が出来ないな……

 

「私って枕が変わるとなかなか寝られないんだよね」

 

「そうだったのですか? いつもお泊りの際は結構すんなり寝ていたような気がしますが」

 

「そうでもないよ~? まぁ、最近愛用してる抱き枕が具合が良くて、それが無いと寝にくいってだけだけど」

 

「抱き枕か……」

 

 

 ここはサンタとしてアリアの悩みを解決したいところだが、津田家に抱き枕になりそうな物など無いしな……

 

「あっ、萩村はどうだ? アイツなら抱き心地よさそうだし」

 

「確かに、スズポンはちょうどよさそうなサイズですしね」

 

「でも、スズちゃんが許してくれるかな?」

 

「頼む前から断られる心配をするなんてアリアらしくないぞ! とりあえず、萩村が寝ているリビングに突撃するぞ!」

 

「あまり騒がしいとタカ君に怒られちゃいそうですから、静かに突撃しましょう」

 

 

 カナは相変わらずノリが良くて助かるな。これがタカトシだったら「止めろ」とか言って突撃を阻止してくるのだろうが、たまにはおふざけだっていいじゃないかと思うのだ。

 

「あれ? シノちゃんがここにいるって事は、タカトシ君の部屋にはタカトシ君とサクラちゃんが二人きりってことだよね?」

 

「もしかしたら一つのベッドで合体してるかもしれませんね」

 

「タカトシはそういうヤツじゃないし、サクラだってそこまでを求めてる感じはしないし……大丈夫だろ」

 

 

 とりあえず萩村を抱き枕に出来るかどうかを確認するために、私たち三人はリビングへ向かうべく部屋を出た。

 

「何故二人は階段を上ろうとしてるんだ?」

 

「シノちゃんだって、完全にタカトシ君の部屋を目指してるじゃない?」

 

「つまり、スズポン<タカ君という事です」

 

 

 タカトシの初めてがまたしても森に取られてしまうのではないかという不安から、私たちはリビングではなくタカトシの部屋に向かった。

 

「では、入るぞ!」

 

 

 私の合図にアリアとカナが頷いたのを確認して、私は勢いよくタカトシの部屋の扉を開けた。

 

「無事か、タカトシ!」

 

「サクラっちに襲われたりしてませんか?」

 

「……何を言ってるんですか、貴女たちは」

 

「私たちは普通にお喋りしてるだけですよ?」

 

 

 部屋の中の光景は、タカトシが椅子に座り、森が布団に座りお喋りをしてる、なんとも微笑ましい光景だった。

 

「タカトシの無事も確認出来たし、アリアの願いを叶えに行くか」

 

「そうですね。タカ君もサクラっちもそう言う事をする子じゃないって信じてましたよ」

 

「思いっきり疑ってましたよね!?」

 

「てか、寝ている人もいるんだから、あまり大声を出すな」

 

 

 タカトシに注意されて、私たちは静かにリビングへやってきた。

 

「萩村、萩村」

 

「ん……会長? それに七条先輩に魚見さん……」

 

「スズちゃん……抱かせて?」

 

「………」

 

 

 アリアのお願いに絶句した萩村に、私はフォローを入れるべく口を開いた。

 

「勘違いするな、萩村。アリアは寝たいんだよ」

 

「シノっち、あまりフォローになってないみたいですよ?」

 

「あ、あれ?」

 

 

 固まってしまった萩村に驚きながらも、とりあえずアリアに抱き心地を確認してもらい、ちょうどいいとの事でこのまま寝てもらう事にしたのだった。




一日早いですが、よいお年を

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