桜才学園での生活   作:猫林13世

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英稜最後の生徒会役員の名前が単行本で分かりましたね


鍋のお誘い

 シノ会長たちにがっつり教えてもらったお陰で、私もトッキーもテスト終了後に魂が抜ける気分を味わう事なく放課後を迎えられた。

 

「トッキー、最後の問題解った?」

 

「一応な。ほら、兄貴のところに問題持っていくぞ」

 

「へっ、何で?」

 

「何でって、問題に自分の解答を書いて兄貴に採点してもらうって決めただろ」

 

「あぁ、そうだったね」

 

 

 一応問題用紙に答えを書いてたけど、テストから解放されてすっかり忘れてたよ。

 

「私は兎も角、お前は平均点くらい取らないと補習なんだろ?」

 

「タカ兄が平均点を出すわけじゃないから、採点してもらっても私は安心出来ないんだけどね」

 

 

 とりあえず六十点くらい取れてれば大丈夫だと思うけど、今回のテスト、やけに簡単だったから平均点も高くなりそうだな……

 

「今回難しかったよね」

 

「私半分取れるか不安だよ」

 

 

 クラスメイトが難しいとか言ってたけど、そんな事なかったと思うんだよね……だって、すらすらと解くことが出来たし。

 

「トッキー、今回のテストって簡単だったよね?」

 

「あっ? そりゃ私たちは前日に兄貴が作ってくれたテストを解いてたからな。殆ど同じ問題をやってたんだから、全問正解出来てないと怒られるレベルだったと思うぜ」

 

「えっ、何問か分からなかったし、いい加減に答えた箇所もあるんだけど……」

 

「そりゃ私もだよ。兄貴や生徒会の連中じゃないんだから、一度やっただけで全部覚えられるわけねぇだろ」

 

 

 たぶんマキでも覚えられないだろうけど、マキもあのテスト受けてればもう少し楽が出来たって事なのかな?

 

「マキもタカ兄のところに行く?」

 

「私も採点してもらいたいしね」

 

 

 マキもタカ兄に採点してもらう約束をしてたらしい。まぁ、マキは自己採点でも問題なさそうだけどね。

 

「タカ兄ー! 来たよ~!」

 

「最後の問題はGだよね?」

 

「えっ、Eじゃない?」

 

「Gだ!」

 

「Eだよ!」

 

「何の話ですか?」

 

 

 生徒会室に入ると、シノ会長とアリア先輩がもめていたので首を突っ込む。私が聞いても分からないだろうけど、なんとなく興味があったのだ。

 

「最後の選択肢はどっちだという話だ」

 

「シノ会長とアリア先輩のどっちかが正解なんですかね……タカ兄、分かる?」

 

「ん? ……Fですね」

 

 

 なんと、どっちも間違ってたのか……てか、タカ兄見ただけで問題解けるんだ……三年生の問題なのに。

 

「ほら、コトミもさっさと貸せ」

 

「あっ、うん……」

 

 

 タカ兄に問題用紙を渡し、トッキーとマキと三人で部屋の隅に座ることにした。

 

「はい、お茶」

 

「ありがとうございます」

 

 

 スズ先輩にお茶を貰い、私たち三人は一服する事にした。

 

「てか、テスト終了直後に結果が分かるっていうのも嫌だね……」

 

「まぁ、ここである程度取れてるって分かれば安心して週末を過ごせるからな」

 

「マキは特に緊張しないでしょ? 私とトッキーが問題だよ……」

 

 

 勉強したからといって、いきなり頭が良くなるわけじゃないんだしな……タカ兄の模擬テストのお陰である程度理解出来てたとはいえ、やっぱり不安は残るよ……

 

「八月一日さんが平均八十七点、時さんが七十点、コトミが六十五点だな」

 

「マキ、凄いじゃん!」

 

「トッキーもついに七十点台なんて」

 

「それでタカ兄、平均点は幾つくらいだと思う?」

 

 

 過去最高の平均点だけど、学年平均がこれくらいだと補習になりそうだし……どうかもう少し低ければいいな。

 

「コトミが平均くらいじゃないか? まぁ、これだけ取れてれば補習は免れるだろうが、持続しないと意味ないからな」

 

「分かってるよ……てか、次回もお願いします」

 

「お前は……でも、私もお願いしたいです」

 

 

 試験が終わって早々に次の試験の事なんて考えたくないけど、留年とかしたらお小遣いが危ないからね。タカ兄にお願いしておけば他の人も手伝ってくれるし……

 

「俺は教えないからな。あくまで予想をたてて模擬テストを作るだけだ」

 

「安心しろ。私たちがまた泊りがけで面倒見てやるから!」

 

 

 シノ会長が胸を張りそう宣言してくれたお陰で、次の試験も何とかなりそうな気がしてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 テスト返却も終わり、そろそろ二学期も終わりが近づいてきたこの頃、また一段と寒くなってきた感じがする。

 

「こう寒いと、温かいものが食べたくなりますよね」

 

「そうだね~。タカ兄、今日は鍋にしようよ!」

 

「二人で食べても余るだろ」

 

「大人数で食べてこそ鍋の醍醐味だもんね。お父さんやお母さんは今年も帰ってこないんだっけ?」

 

「この前帰ってきたが、また出張だからな……明けないと帰ってこないと言ってた」

 

 

 こいつらの両親はどれだけ出張させられてるんだか……だが、家に泊まるチャンスだな。

 

「それでは、コトミの補習回避祝いとして、我々も鍋を突こうではないか! もちろん、カナやサクラにも連絡しておくから安心しろ!」

 

「まぁ鍋をする事自体に異論はありませんが、何鍋にするんですか? 用意するのに聞いておかないと」

 

「闇鍋だ!」

 

「はい?」

 

「闇鍋だ!」

 

「いえ……聞こえなかったわけじゃないんですが」

 

「安心しろ。持ち寄る食材は、鍋として美味しく食べられるものに限定するから! 間違ってもゲテモノを持ってこさせることはしないからな!」

 

「本当ですね? ギャグでも許しませんからね」

 

「あ、安心しろ」

 

 

 こいつ、相変わらず料理の事になると冗談が通用しないな……まぁ、私も美味しい鍋が食べたいし、カナやサクラにもちゃんと釘を刺しておかなければな。




セリフは無さそうですが……

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