桜才学園での生活   作:猫林13世

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原作ではタカトシですが、ここではコトミで


夏休みの宿題

 もはや夏休み恒例行事となりつつある、私とトッキーの夏休みの宿題を終わらせる会が今年もやってきた。参加メンバーは桜才生徒会メンバーとマキの四人、そして家主としてタカ兄が監督する形になっている。

 

「アンタたち、いい加減自分で終わらせようとか思わないの?」

 

「やろうとは思うんですけど、自分だけだとどうしても気が抜けちゃうんですよね~」

 

「コトミは、タカトシに監督してもらえば進むと思うんだが」

 

「タカ兄はいろいろと忙しいですし、それにタカ兄と部屋に二人きりだなんて、妄想が加速しちゃいますから」

 

「妄想もいいが、しっかりと宿題はやるべきだと思うぞ」

 

 

 最近、シノ会長やアリア先輩が私のボケに乗って来てくれないから、ちょっと寂しんだよね……まぁ、アドバイスした手前、「一緒に下ネタで盛り上がりましょう!」とは言えないからね。

 

「ところで、その肝心なタカトシは何処に行ったの?」

 

「タカ兄なら、お昼の買い出しに出かけましたよ、出島さんと一緒に」

 

 

 出張メイドとかで、今日はこの家に出島さんが来ているのだ。その出島さんと二人でお昼の買い出しに出かけたタカ兄だが、恐らくタカ兄が主で出島さんがメイドで、みたいな展開にはならないんだろうな……

 

「アリア」

 

「ん~? なーにシノちゃん」

 

「お前最近下ネタを言わなくなったが、何かあったのか?」

 

「そういうシノちゃんこそ、タカトシ君の前では大人しくなったけど、心境の変化でもあったの~?」

 

 

 互いに牽制しているのか、シノ会長とアリア先輩の間に激しい火花が散った、ように見えた。

 

「アンタはよそ見してないでさっさと宿題を進めなさい」

 

「マキは気にならないの? 美人の先輩が本気でタカ兄を落としにかかってるんだから」

 

「私はほら、最初から釣り合ってないし……」

 

 

 自分で言ってショックを受けたのか、マキのテンションがみるみる下がって行く。これは親友として何とかしなきゃ!

 

「マキだって十分美少女なんだから、諦めるのは早いと思うよ」

 

「お世辞は良いわよ……どうせ津田先輩から見れば、私はコトミの友達Aでしかないんだから……」

 

「自虐!? でも、この中ならマキが一番タカ兄との付き合いは長いんだし」

 

「高校に入るまで名前も忘れられてたけどね……」

 

「それは、その……タカ兄に言い寄る女子は多かったし、マキはアピールが足りなかったからだよ」

 

 

 その後も私の苦しい励ましは功を成すことは無く、時間だけが無為に過ぎて行ったのだった……マキ、もう少し自分に自信を持とうよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカトシ君と出島さんの合作のお昼ご飯を食べ、私たちも残っている宿題を片付けるために勉強を始める。ちなみに、タカトシ君とスズちゃんは既に終わらせているので、タカトシ君は家の事を、スズちゃんは暇を持て余してゴロゴロしている。

 

「シノちゃん、ここなんだけど――」

 

「ああ、そこはだな――」

 

「マキ~、全然わからないだけど」

 

「全くコトミは……」

 

 

 私たちが一生懸命宿題を片付ける傍で、出島さんは微妙に普段と違う恰好をしている。

 

「やはり、下半身裸エプロンは分かりにくかったですか?」

 

「気付いてはいますが、スルーしてるだけです」

 

「出島さんも、タカトシ君に怒られる前に止めた方が良いよ~?」

 

「タカトシ様に怒っていただけるのでしたら、私にとってはご褒美ですので」

 

「あらあら~」

 

 

 普段はS側の人だけども、出島さんもタカトシ君に対してはMなんだよね~。まぁ、タカトシ君相手にSでいられる女の子なんて、存在しないのかもしれないけど。

 

「しかし、こうして改めて考えると、私たちの次の代の生徒会も安泰だな」

 

「タカトシ君もスズちゃんも優秀だしね」

 

「その次は八月一日かな」

 

「ん~?」

 

「私の次の生徒会長がタカトシだから、その次は誰かと想像したんだ」

 

「確かに、マキちゃんは優秀だし、何より他に目ぼしい人がいないもんね~」

 

 

 成績上位者は他にもいるんだけど、残念ながら名前が無いからね。

 

「先輩方、無駄話で脱線しかかってますので、少し休憩にしたらどうでしょう?」

 

「そうだな……集中力が切れてしまったようだ」

 

「コトミや時さんも、少し休憩にしたらどうだ? 二人とも、大分頭から湯気が出てるぞ」

 

「はへぇ……今ならタカ兄に襲われても抵抗出来ないね~……」

 

「襲わねぇよ……ほら、お茶」

 

 

 タカトシ君が用意してくれたのは、濃いめに淹れたアッサムのミルクティーだった。疲れてるのを見透かされたのか、それともこれがタカトシ君のお気に入りなのかはわからないけども、疲れが溶けていく感じがするよ~。

 

「萩村も、暇ならコトミの勉強見てやってくれよ」

 

「別にいいんだけど、私がやると厳しいわよ?」

 

「むしろ厳しくした方がこいつの為だとは思うんだけどな」

 

「ロリっ子にビシバシとしごかれるなんて……興奮しちゃうよ~!」

 

「ロリって言うな!」

 

「萩村様、こちらをお使いください」

 

「何ですか、これ……」

 

「ムチでございます」

 

「しごかねぇよ!」

 

 

 出島さんがどこからか持ってきたムチを投げ捨て、スズちゃんはコトミちゃんの勉強を厳しく見る事にしたようだった。それにしても、あのムチでタカトシ君に……おっと、こういう妄想もちょっとずつ止めて行かないとね。




下ネタは控えてても、ボケ側の人間には変わりないですからね……

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