桜才学園での生活   作:猫林13世

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本来ならウオミーの相談回なのですが、既に知り合って長いので変更しました


恋愛相談

 タカトシがバイトで早めに帰った日、英稜の魚見さんが会長に相談があるとかでやって来た。何故かおまけに畑さんまで生徒会室にやって来たが、この人は何時もの事なので放っておくことにした。

 

「第一回、どうやったらもっとタカ君との絡みが増えるか会議~!」

 

「ドンドンパフパフ~!」

 

「……何ですかこれ?」

 

 

 てっきりお悩み相談かと思ってたから、この展開について行くことが出来なかった。

 

「なにって、スズポン。このままではタカ君の初めてはサクラっちのものになってしまいます。ただでさえ出遅れ感が半端ない私たちが、どうやったらタカ君ともっと仲良くなれるかを話し合う為に今日、私は桜才学園を訪れたのです! わざわざタカ君にシフトを代わってもらって!」

 

「それでいきなりバイトが入ったとか言ってたのね……」

 

「カナちゃんも必死ね」

 

「他人事のように言っているが、アリアも五十嵐や森に比べたら数歩遅れてるんだぞ?」

 

「そうだけど、私はあまりがっつくタイプじゃないしね~」

 

「やはり持ってるアリアは余裕なのか……」

 

「その理屈だと、魚見会長も余裕じゃなきゃおかしくないですかね~?」

 

 

 畑さんの視線が私と会長の胸元に向けられる。つまり、持っているという言葉の意味は、そう言う事なのだ。

 

「状況を整理すると、畑の調べによれば、タカトシが一番意識してるのは森だという」

 

「二回もキスしてますし、同じ境遇ということで話が合うのでしょうね」

 

「ちなみに、コトミの話でも、一番お似合いなのは森だそうだ」

 

「同級生で副会長、ツッコミポジションの三コンボだもんね~」

 

 

 七条先輩のセリフに、私は引っ掛かりを覚えた。その理屈でいうのなら、私だって同級生でツッコミポジションなのに、あまりタカトシに意識されている様子が無いからだ。

 

「サクラっちは出会ったのが一番最後だというのに、物凄いスタートダッシュを決めて、あっという間に見えなくなりましたからね」

 

「森副会長もそれなりの巨乳、やはり津田副会長はそこに惹かれたのでしょうか?」

 

「それが理由なのでしたら、アリアさんに惹かれない理由が分かりませんね。お金持ちのお嬢様で爆乳ですし」

 

「やはりアリアはボケが重いからな。それが足を引っ張っているのかもしれない」

 

「津田副会長がどう思っているのかはともかくとして、七条さんは現状四番手を魚見会長と争ってる感じですかね」

 

 

 何処で調べてるのかは分からないが、畑さんが調べたお似合いランキングで、私は三番目に位置している。

 

「前から不思議なのだが、何故そのランキングにコトミが入っているんだ? しかも、私より上に!」

 

「アブノーマル思考の方たちから、理想を現実にしてくれるかもしれない、という理由でランクインしています」

 

「確かに、コトミはタカトシの事を性的な目で見てるからな……」

 

「そういえば、シノちゃん。この前コトミちゃんにアドバイスを貰ったんでしょ? なんて言われたの~?」

 

 

 そんな事があったのか……私もコトミにアドバイスしてもらえれば、少しはタカトシの意識の中に入り込めるのかしら……

 

「大したことは言われていないが、私とタカトシはどうしても会長・副会長としか思われていないようだ。一緒にいて一番自然なのは私だが、それがイコールでお似合いとまではいかないらしい」

 

「確かに、生徒会の主従コンビですからね」

 

「タカ君にビシバシしごかれてるんですか? 羨ましいです」

 

「何故そんな感想が……」

 

 

 そもそも、会長とタカトシは主従じゃないんですけど……

 

「結論を申し上げますと、皆さんは下ネタを控えれば自然と意識されるくらい仲はよろしいと思うんですよね」

 

「私はそんなに言ってないだろ!?」

 

「いやいや、会長と七条さんは、我が校でも一、二を争う下ネタの多さです」

 

「え~? 私、そんなに言ってるかな~?」

 

「七条さんの場合、一発の重さが他の追随を許さない感じですからね」

 

「確かに、サクラちゃん、カエデちゃん、スズちゃんって上位三人は下ネタ言わないものね」

 

「五十嵐はムッツリな感じがするが、確かに下発言は少ないな」

 

 

 もう結構長い付き合いだけど、それが原因で怒られてるって自覚無かったとは思わなかったわ……散々怒られてたのに、控えなかった理由は自分が下発言をしてる自覚が無かったからなのか……

 

「横島先生のように、最初から異性として意識されていないならともかく、皆さんは津田副会長に異性だと認識はされています。ですから、下ネタを控え、それなりにアピールを繰り返せば十分巻き返しは可能だと思います」

 

「……ところで、何で畑さんはこのような相談に乗ってくれているんですか? はっきり言って、畑さんには関係ない事だと思うのですが」

 

「言われてみればそうだな……畑、また何か企んでいるのか?」

 

「いえいえ、そんなことはありませんよ。ただ、ちょっと他の皆さんにも頑張ってもらわないと、このまま英稜の森副会長で決まってしまいそうでしたので」

 

「つまり、畑さんはもっとドロドロした展開を希望してるってこと~?」

 

「はっきりいえば、そんな感じですかね~。リア充の末路をこの目で見てみたいってのもありますが、純粋に友人の恋の相談に乗ってみたかったというのもあります」

 

 

 珍しく畑さんが良い事を言ってる気がするわね……?

 

「そのメモは何ですか?」

 

「い、いえ!? 何でもないですが……」

 

「どれどれ……『生徒会室のイケナイ情事――鬼畜副会長の調教日記――』何だこれは?」

 

「ちょっとした小説を……」

 

 

 つまり、私たちの恋愛相談は、畑さんの中で歪に変換され、こういった官能小説のネタにされていたという事なのだろう……

 

「明日、タカトシに報告だな」

 

「そうね」

 

「とりあえず、メールしておきました」

 

「うわーん! せっかく完成しそうだったのに~!」

 

 

 こうして、第一回どうやったらもっとタカトシとの絡みが増えるのか会議は、グダグダで終わったのだった。でも、私以外の三人には収穫があったようで、これからどう出るのかが少し不安になってきた。




手助けしたいのか、それとも掻きまわしたいだけなのか……畑さんの存在っていったい……

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