桜才学園での生活   作:猫林13世

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しれっと20話突破してました


お見舞い 後編

五十嵐先輩が変態か如何かはさておき、お見舞いに来てもらったからには早く治さないとな。

 

「津田、無理はしないでと言いたいけど、なるべく早く復帰してよね」

 

「何だ、萩村は津田が居ないと寂しいのか?」

 

「ち、違いますよ!」

 

「そうなんだ~、私は津田君が居ないと寂しいけどな~」

 

 

そう言って七条先輩は俺にしな垂れかかって来る……豊満な胸が俺の腕に押しつぶされ形を変えていく……この人はワザとこんな事をしてるのだろうか、それとも天然?

 

「アリア、津田に襲い掛かろうとするな!」

 

「七条先輩、男にそんな事したら襲われちゃいますよ!」

 

「七条さん、そんな事して津田君を誘惑しちゃ駄目です!」

 

「……流れ的に私も何か言った方が良いのでしょうか?」

 

 

俺に聞くな……あの畑さんですら動揺するなんてな。やっぱり五十嵐さんは少なからず俺に好意を持ってくれてるようだ。嬉しいけど、変態的な好意ならノーサンキューだ!

 

「あらあら~?シノちゃんもカエデちゃんもスズちゃんも、何でそんなに必死になってるのかな~?」

 

「それは……」

 

「なんて言うか……」

 

「つまり……」

 

 

何故誰も即答しない……これじゃあ本命の彼女が居るのに遊び呆けている彼氏みたいじゃ無いか。

 

「タカ兄ぃ、ご飯如何するの~って……」

 

「コトミ、ご飯は別にいらないよ」

 

「………」

 

「コトミ?」

 

 

何だか硬直してしまっている妹の目の前で手を振る……やはり反応は無いようだ。って!

 

「人の妹の下着の写真なんて撮って如何するつもりですか?」

 

「い、いや~お金になるかと……」

 

「アンタとはじっくり話し合う必要がありそうですね、畑さん」

 

 

やはりこの人は油断ならない……

 

「お~いコトミ、いい加減現実に戻って来いって」

 

「……ハッ!」

 

「何で硬直なんてしてたんだ?」

 

 

確かに七条先輩が腕に絡みついてたが、それだけで硬直するような柔な精神の持ち主では無いはずなのだが……それが本意か如何か聞かれれば、間違い無く不本意だと答えるだろうがな。

 

「だってタカ兄ぃが誰かに取られちゃうと思ったら目の前が真っ暗に……」

 

「……はい?」

 

 

何でコトミが俺に彼女が出来たからって目の前が真っ暗になるんだ?……そして彼女なんて出来てないし取られるって表現は正確では無いと思う。だって俺はコトミのものでは無いのだから。

 

「私は、タカ兄ぃでオ○ニーする変態だよ!?」

 

「……そんな赤裸々に語られても反応に困るんだが」

 

「つまり実の兄で興奮する……」

 

「いや、それはもう言わなくて良い」

 

 

聞きたくも無い……

 

「つまりコトミちゃんは私に津田君を取られたと思ったのね?」

 

「違うんですか?」

 

「今はまだ違うかな~」

 

「アリア、我が学園の校則を忘れたのか!」

 

「そうですよ、七条さん!」

 

「校内恋愛禁止ですよ、七条先輩!」

 

 

それに何でこんなにも必死なんだ、この3人……いや、何となくは分かるのだが、それを簡単に信じられるほど、俺は自惚れて無いし自分に自信がある訳でも無い。

 

「ふむふむ、これはスクープですね」

 

「もちろん取材した内容は全て没収のうえ、新聞を発行しようものなら新聞部ごと潰してやりますよ?」

 

「い、嫌ですね~、そんな事する訳無いじゃないですか~……おホホホホホホ」

 

「ですよね~そんな事しませんよね~?」

 

「そうですよ~」

 

 

俺が作れる最高の笑顔で畑さんに詰め寄った。何時ものようにふざける余裕も無いくらい、畑さんは俺に恐怖してくれたようだ。

 

「とりあえず七条先輩」

 

「ん、な~に?」

 

「何時までもしがみついてると会長たちが怒ってしまうので離れてください」

 

「津田君は離れても良いの?」

 

「別に構いませんが」

 

「う~ん、津田君の息子も反応してないようだし……」

 

「その発言はお嬢様として如何なんだ……」

 

「七条先輩だもの……」

 

「そうだな……」

 

 

俺のつぶやきを萩村が拾ってくれた……同じツッコミポジションとして同情してくれたのだろう。

 

「シノちゃんたちの気持ちも分かったから、今日は離れてあげる」

 

「風邪がうつったら大変ですし、早急に離れてください!」

 

「そうだぞアリア、迅速に離れろ!」

 

「津田君から速やかに離れてください!」

 

「……3人共、言ってる事は同じなのに、言葉を変える辺り天才なのでしょうね」

 

 

他の人と同じ表現を、同じ言葉を使いたく無かったのだろうな……3人とも妙に意地っ張りで我が強いっぽいしな。

 

「タカ兄ぃの風邪は私が余す事無く頂きますから!」

 

「「「黙れ変態妹!」」」

 

「あらあら~」

 

「津田副会長は近親○姦がお好きっと……」

 

「アンタも懲りないな……」

 

 

畑さんのメモ帳を奪い、睨みを利かせる……変態共の相手をすると風邪が悪化すると考えて、この場では放置する事にした。もちろん後で退散願うのだが。

 

「てか萩村、お前も会長たちに毒されてないか?」

 

「……認めたく無かったのに!」

 

「ゴメン……」

 

 

毒されてる事を自覚しながらも、認めたく無かったようだった……余計な事を言ってしまったので素直に謝った。

 

「津田が謝る事じゃ無いけど……」

 

「あら~スズちゃんがデレたわ~」

 

「萩村がデレただと!?」

 

「デレた?」

 

「会計の萩村さん、津田副会長にデレる」

 

「タカ兄ぃ、ツンデレさんをデレさせるなんて、何時の間にそんな技術を!?」

 

 

こいつら、俺を見舞う気があったのだろうか……此処に来るまでは確かにあったのだろうが、終始こんな感じじゃ、治るものも治らないと思うのだが……

 

「津田、何だ急にプルプルと震えだして」

 

「おしっこ漏れそうなの?」

 

「それとも大きい方?」

 

「タカ兄ぃの聖水なら私飲む!」

 

「放水の瞬間はお任せあれ!」

 

「……津田ー耳塞いでるから私に構わないで良いわよ」

 

 

萩村だけが俺の気持ちを理解してくれたようだった……では、許可も貰ったことだし遠慮無く……

 

「とっとと出てけー!!」

 

 

もちろんこの叫びが原因で、再びベッドに倒れこむ事になったのだが、変態共を退散出来たので善しとしたのだった。




お見舞いの話はこれで終了。完全に何本かはフラグが建ちましたね

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