桜才学園での生活   作:猫林13世

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どんな決め方だよ……


見出しの決め方

 生徒会室に畑さんがやってきて、インタビューを開始した。毎回よく聞くことが無くならないな……

 

「本日もありがとうございました」

 

「何回受けても緊張するものだな、インタビューと言うのは」

 

「そうなんですか? いつも平常心を保ってるように見えますが」

 

 

 シノ先輩のコメントに、畑さんが見たままのコメントを返した。確かにシノ先輩は平常心を保ってるように見えるけどな……

 

「いや、緊張でビチョビチョなんだ」

 

「そうだったんですか。ではその場所を一枚……」

 

「二人とも、あまりふざけてると容赦しませんよ?」

 

 

 ふざけ始めたので、俺は少し脅して大人しくさせた。最近はこうすれば大人しくするから楽が出来るんだよな。

 

「では、さっそく今日インタビューした事を記事にしたいと思います。見出しは『生徒会の夫婦コンビに迫る』でどうでしょう」

 

「なっ! 誰が夫婦だ! 考え直せ!」

 

「なんかちょっと嬉しそうじゃないですか?」

 

 

 シノ先輩の表情は、どことなく嬉しそうに感じたので、俺は率直に聞いてみたが、答えてはくれなかった。まぁ、答えられても反応に困るだけなんだが。

 

「駄目ですか……じゃあ主従コンビで。もちろん、会長が従で」

 

「うむ、それなら構わない」

 

「いや、構うよ」

 

 

 変な噂を流されても困るし、何故俺が主なのかもツッコミたい気分だ。地雷臭がするからツッコまないが……

 

「先輩とタカトシって、何かと噂されてるわよね」

 

「殆ど根も葉もない噂だけどな」

 

「まぁ、人の噂も七十五日って言うし、ほっとけば良いんじゃない?」

 

「殆ど信じてないみたいだし、気にし過ぎるだけ無駄だって」

 

 

 むしろシノ先輩との噂より、カナさんやサクラさんとの関係を聞かれることが多い。

 

「とりあえず、畑さんの記事は確認した方がよさそうなので、シノ先輩も確認してくださいね」

 

「ああ、任せろ」

 

 

 シノ先輩も手伝ってくれるなら、多少は楽が出来るかな。まぁ、検閲の手は緩めないけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昨日夜更かしした所為で眠いわね……授業中は何とか我慢できたけど、これから生徒会の業務があるし、顔でも洗おうかしら……

 

「スズ先輩、この眠気が覚めるガムをどうぞ」

 

「あら、悪いわねコトミちゃん」

 

 

 タカトシの妹、コトミちゃんから眠気が覚めるガムを貰い噛み始める。これは中々大人の味ね……

 

「すーすーするわね」

 

「ですよね。タカ兄がスズ先輩に渡せって言ってたんで持ってきたんですけど、なかなかおいしいですよね」

 

 

 タカトシに心配されてたのか……それにしても、本当によく周りを見てるわね。

 

「もしかして、スズちゃんもこっちの世界に目覚めたのー?」

 

「アリア先輩……こっちの世界って」

 

「ノーパンだよ~」

 

「違います。絶対に違います」

 

 

 私がアリア先輩の勘違いを正してる間、コトミちゃんはガムを風船のように膨らましていた。

 

「膨らますの上手いわね。私、全然出来ないのよね」

 

「そうですか? 小さくて可愛いですよ、おしゃぶりみたいで」

 

「悪気が無くても許さん」

 

 

 誰がおしゃぶりだ! これでも私はお前の先輩なんだぞ!

 

「……何やってるんだ、さっきから」

 

「あっ、タカ兄。スズ先輩にガムを渡してたんだよ」

 

「それで何でスズがあんなに怒ってるんだ?」

 

「それが、よくわからないんだよね~」

 

 

 津田兄妹が揃って首を傾げたが、コトミちゃんは分かってるでしょうが!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この間の文化祭の感想が届いたので、私はさっそくサクラっちに報告する事にした。

 

「桜才学園生徒会メンバーから、文化祭の感想が届いたんですか? それで、どんな反応だったんですか」

 

「えっとまずシノっちは『お笑いを見て来てしまったのかと思ったが、なかなか楽しめた』との事」

 

「相変わらずぶっ飛んでますね……」

 

「次にアリアっちからは『保健室に期待した出し物が無かったのが不満』だそうです」

 

「あの人は何を期待してたんでしょう……」

 

「そしてスズぽんですが『やたらと子供扱いされたけど、出し物自体は楽しかった。だが子供扱いされた事だけは許せない』と、二回も文句を入れ込んでますね」

 

「萩村さん……」

 

 

 スズぽんのコメントを聞いて、サクラっちが涙ぐんでいる。まぁ、あの容姿じゃ子供扱いされても仕方ないとは思うけどね。

 

「そしてお待ちかね、タカ君からのコメントです」

 

「会長がもったいぶると言う事は、結構厳しいコメントだったんですか?」

 

「そんなこと無いですよ」

 

 

 別に私は、最後に厳しいコメントを残したわけではないのです。それがタカ君のコメントだったから最後にしただけで、罵倒されたいドMと言うわけではないのです。

 

「それじゃあ言いますね。『全体的に盛り上がっていたが、ところどころ寂しい場所があった。ゴミ箱の設置が徹底してなかったのか、その場所にゴミを置いていく人間が目立ったので、その辺りは改善した方が良いと思いました。出し物については、文句のつけようのないくらい楽しかったですが、調理室で囲まれたのは勘弁してほしかったです』との事です。さすがタカ君、目の付け所が違いますね」

 

「確かに。ゴミの問題は私も気になりました。指定のゴミ箱を増やすように、来年から学校に申請しましょう」

 

「タカ君は他の学校だからといって、評価をいい加減にしないから良いですよね」

 

 

 まぁ、桜才学園の皆さんはしっかりとコメントしてくれるので、私たちも更なる高みを目指せるので、このコメントは大事に保管しておきましょう。そう思い、私は四人のアンケート用紙を、重要書類がファイルされている場所にしまい、サクラっちと一緒に生徒会室を後にしたのでした。




風船ガムか……久しく食べてないな

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