桜才学園での生活   作:猫林13世

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広い物置だなぁ……


物置で探し物

 ウオミーと待ち合わせをして、私はタカトシの家を訪問する計画を立てた。

 

「今日は何の用事でタカ君の家を訪ねるんです?」

 

「普通に遊びに行くだけだ!」

 

「アポ無しですか……なんだかドキドキしますね!」

 

 

 さすがウオミー。私が認めた好敵手だけはある。

 

「さて、到着した訳だが、何やら庭から声が聞こえるな」

 

「回ってみます?」

 

 

 ウオミーと二人で庭に回ると、何やら物置で探し物をしている津田兄妹がいた。てか、コトミの方はサボってないか、あれ……

 

「シノ会長! それにカナ会長も! どうしたんですか?」

 

「遊びに来たんだが、何をしてるんだ?」

 

「夏休みの課題で、星の観察でもしようかと思って。今物置の中で望遠鏡を探してるんです」

 

「熱いのにご苦労だな」

 

「では、私とシノッチで、冷たいものをプレゼントしましょう」

 

 

 ウオミーとアイコンタクトでタイミングを計り、私たちは冷たい目線をコトミに向ける。

 

「うひょー! 余計に熱くなっちゃいますよ~」

 

「お前が使うんだから、お前も探せよな……それから、お二人は何故ここに?」

 

「「遊びに!」」

 

「……アポくらいとってから来てくださいよ。いなかったらどうするつもりだったんですか?」

 

 

 ふむ……その可能性は考えてなかった……

 

「まぁ、今立て込んでるのでおもてなしは出来ませんが、ゆっくりしていってください」

 

 

 コトミと二人で物置を漁るタカトシを眺めながら、私とウオミーは縁側で応援することにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スズちゃんとサクラちゃんと偶然会って、私たちはタカトシ君のお家を訪ねることにした。理由は、出会った場所がタカトシ君のお家の近くだったから。

 

「まさかスズちゃんとサクラちゃんも同じことを考えてたなんて」

 

「あれ? あそこにいるのって五十嵐先輩じゃないですか?」

 

「ホントだ。お~いカエデちゃ~ん!」

 

「っ!? 七条さん。それに、萩村さんと森さんまで……」

 

「考えることは一緒ですね」

 

 

 四人でタカトシ君のお家を訪ねると、そこにはシノちゃんとカナちゃんがすでにくつろいでいた。

 

「まさか会長コンビまでいるとは……」

 

「やっと見つかった……あれ? なんか人が増えてる」

 

「タカトシ君、お邪魔してます」

 

「はぁ……ほらコトミ、今度は片づけるぞ」

 

「え~……少し休もうよ~」

 

「のんびりしていたら、片付く前に星が見える時間になるぞ」

 

 

 どうやらコトミちゃんがあの望遠鏡を使うみたいね……あのそそり具合、なかなか興奮するわね。

 

「あっ、スズ」

 

「なに?」

 

「コトミに星の事を教えてやってくれないか? 俺、これからバイトだから」

 

「あっ、タカトシさんもでしたっけ。私も夕方からシフトに入ってます」

 

 

 どうやらタカトシ君とサクラちゃんはアルバイトに行くみたいだけど、せっかく遊びに来たんだし、私たちもコトミちゃんに星の事を教えてあげなきゃね。

 

「留守は我々に任せて、しっかり働いてこい!」

 

「先輩は休みですけど、しっかり働いてくださいね」

 

「……すごく不安なのは気のせいなんでしょうか」

 

「奇遇ですね。俺も不安なんですけど……」

 

 

 副会長コンビが不安げな表情を浮かべながらも、とりあえずお片付けを始めた。コトミちゃんだけじゃ間に合わないって判断なんだろうな……

 

「ところで、四人は何しに来たんですか?」

 

「遊びに来たんだよ~」

 

「それじゃあ、星が出るまで何かしましょうよ!」

 

 

 コトミちゃんは、片づけそっちのけで遊ぶ気満々だった。まぁ、せっかく補習も免れたんだし、仕方ないのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 星が出てきたので、私たちは庭で星の観察を始めた。ちなみに、タカ兄とサクラ先輩は、カエデ先輩にツッコミを任せてバイトに出かけてしまった。

 

「スズ先輩。あの星は何ですか?」

 

「あれがいて座で、あっちがさそり座。それで、こっちがへびつかい座よ」

 

「へー」

 

「素直に言ってもいいわよ?」

 

「てんで分かりません」

 

 

 なんとなく形は分かるかもだけど、どれがどれだかさっぱりわからない……これが天才と凡人の差なのだろうか。

 

「タカトシの許可をもらって、夕飯を作ったぞ!」

 

「それじゃあ、いただきましょう」

 

 

 シノ会長とカナ会長の二人が作ってくれた夕ご飯を食べながら、私はひときわ明るい星を見つけた。

 

「あの星は何ですか?」

 

「あれはベガ。天の川を隔てた先にアルタイル」

 

「織姫と彦星ですね」

 

 

 それくらいは私でも分かった。

 

「織姫と彦星の話って切ないですよね」

 

「ああ」

 

「うん」

 

「確かに」

 

「そうですね」

 

 

 みんな同じことを考えているのか、私が零した呟きに全員が反応してくれた。

 

「恋人なのに、一年に一回しか……」

 

 

 アリア先輩がそこまで言ったので、後はみんなで声を揃えて言うのだろうか?

 

「会えない」

 

「ヤレない」

 

「ヤレない」

 

「ヤレない」

 

「ヤレない」

 

「………」

 

「あれ?」

 

 

 カエデ先輩のツッコミがないと思って覗き込むと、今の話題だけで気絶してしまったらしい。

 

「てか、カエデ先輩の今日のパンツ、攻めてますね~」

 

「勝負パンツってやつか? もしかしてタカトシに見せるつもりだったのか?」

 

「さすが、影のムッツリクイーンって呼ばれてるだけはあるね」

 

「それ、誰が言ってたんですか?」

 

「ん~? 畑さんが言ってたの~。ちなみに、タカトシ君が『影の帝王』で、スズちゃんが『合法ロリ』だったかな?」

 

「今度会ったらはったおーす!」

 

 

 タカ兄の「影の帝王」は、なんだかカッコいいフレーズだよね。そうなると私は「影の帝王の妹」ってポジションになるのか……また表現が難しい役割だな~。

 

「ちなみに、シノちゃんは『ツンデレ貧乳』とか言ってたかな」

 

「萩村、私も畑を倒すぞ」

 

 

 アリア先輩、わざと言ったよね……まぁ、ストッパーがいないから仕方ないのかもしれないけどね。




原作より人が増えたが、ツッコミが減ったために……

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