桜才学園での生活   作:猫林13世

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サザエさん時空に本格的突入


不真面目な花見

 桜才生徒会メンバーと英稜生徒会の二人、そしてコトミちゃんと出島さんと一緒にお花見に行く事になった。出島さんは張りきってお弁当の用意をしているけど、どうやらタカトシ君もお弁当を用意してくれる事になったらしい。その事を今日、シノちゃんから電話で聞かされた。

 

「シノちゃんは誰に聞いたの?」

 

『コトミからメールが来たんだ。津田もお弁当を用意してくれているから、他の人には飲み物やシートを用意してほしいとな』

 

「それくらいならウチで用意出来るから大丈夫だよ。だからシノちゃんたちは手ぶらで大丈夫だからね」

 

『そうか! もちろん服は着て行くがな!』

 

「シノちゃん、冗談は相手を選ばないとダメだよ~」

 

 

 その事を、私たちは散々実感したはずなのになー。シノちゃんは相変わらず私相手でもボケてくるんだから。

 

『そうだったな。それじゃあ明日、楽しみにしてるぞ』

 

「私も楽しみにしてるよ~」

 

 

 シノちゃんとお話していたら、出島さんがこっちを見ていたのに気付けなかった。

 

「どうかしたの~?」

 

「いえ、タカトシ様もお弁当を用意なさるのでしたら、私のお弁当は量を減らした方がよろしいのかと思いまして」

 

「出島さんも本気で作っていいよ~。タカトシ君と腕の競い合いでもすればいいんだよ!」

 

「そうですね! そして下剋上を……」

 

「どっちが上なの~?」

 

 

 普通に考えれば、毎日料理をする機会があり、タカトシ君より歴が長い出島さんが有利だと思うんだけどな~。

 

「タカトシ様は、私のご主人様ですから」

 

「そっか! 夜の下剋上だったんだね!」

 

 

 当然、誰もツッコミを入れてくれないので、私と出島さんは延々ボケ続けたのだった。だってこの家には、ツッコミと言える人はいないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お弁当も飲み物もシートも必要ないと言われ、せめてこれくらいはと引き受けた場所取り……だったのですが、七条さんの家の人が良い場所を確保してくれていたのであまり意味をなさなかった……

 

「森さん、そうガックリしないで」

 

「ですが萩村さん……このままじゃ私たち、何も役に立たないままですよ」

 

「じゃあせめて、ツッコミを頑張りましょう」

 

「そうですね……どうせ私の存在意義なんてツッコミだけですからね……」

 

「自虐が重い!?」

 

 

 萩村さんはタカトシさんと一緒に行動したり、学力を競い合ったりして役に立てますが、私なんてツッコミ以外でタカトシさんの役に立てる事なんて無いんですから……泳げなかったりスキーが滑れなかったりと、散々迷惑を掛けてますし……

 

「お待たせ!」

 

「すみません、場所取りを頼んでしまって」

 

「良いのよ、これくらい。だいたいアンタだって、その量を一人で運んで来たんでしょ?」

 

「……コトミに持たせると不安だからな」

 

 

 まずやって来たのは津田兄妹でした。タカトシさんは作って来たお弁当を持っていましたがコトミちゃんは手ぶら、つまり何も荷物を持っていなかったのです。

 

「待たせたな!」

 

「ちょっと道に迷いまして」

 

「出島さんがうっかりしちゃってね~」

 

「申し訳ありません。タカトシ様、このダメメイドにお仕置きを!」

 

「……それじゃあ花見を始めましょうか」

 

「放置プレイ! あぁ、ぞくぞくします」

 

 

 このメイドさん、大丈夫なんでしょうか……

 

「それじゃあ早速食べましょう!」

 

「花より団子かよ……」

 

 

 そうツッコミを入れつつも、タカトシさんはお弁当を広げ始める。それと同じくして、出島さんもお弁当を披露した。

 

「これはジャガイモ串ですか?」

 

「はい。お嬢様がどうしてもと仰られましたので」

 

「そうですか……そうだアリア!」

 

「ん~?」

 

 

 ジャガイモ串を手にした天草会長が、それを見て何かを思い出したように七条さんに声を掛けた。

 

「通販サイトで、これくらい大きい玩具見つけた」

 

「本当! アドレス教えて!」

 

「……桜綺麗だな~」

 

「っ!?」

 

 

 タカトシさんが言ったのはお花の桜だと分かっている。それでも、同じ音を名前に持つ私はドキドキしてしまう。おそらく、萩村さんでも似たような事が起きるだろうけども、これは仕方の無い事だろう。

 

「サクラ先輩、なにドキドキしてるんですー? タカ兄が言ったのはお花ですからね~?」

 

「わ、分かってます!」

 

「それにしてもタカ君、どうやったらこんなに美味しい料理が作れるんですか?」

 

「どうやったらって言われましても……必要に駆られてやっている間に何時の間にか、って感じです」

 

「タカ兄は昔から料理してたもんねー」

 

 

 コトミさんの言葉に、全員の視線がコトミさんに向いた。

 

「えっ、なになに? そんなに見られると興奮しちゃうよー」

 

「……コイツがもう少し家事が出来れば、俺も平均くらいだったでしょうね」

 

「まぁコトミだしな……」

 

「コトミちゃんですしね……」

 

 

 次々とコトミさんに向けて含みのある言葉を放つ。ただ、コトミさんにはその含まれた意味は伝わらなかった。

 

「くっ、やはりタカトシ様には敵わないですね……さぁ、お仕置きを!」

 

「七条先輩、この人にお酒飲ませて下さい」

 

「私、お酒入ると脱ぎたくなるんですがー」

 

「じゃあ、出島さんはお酒、強いんですね」

 

「あれっ!?」

 

 

 思ってた反応と違う反応をしたタカトシさんに、出島さんは驚いたリアクションを見せた。しかし視線は既に七条さんが持ってきたビールに向けられていた。

 

「ぷはぁ!」

 

「……何だかお酒の匂いを嗅いだら、酔って来ちゃったよ」

 

「大丈夫ですか?」

 

「何だか、エッチな気分になって来た」

 

「じゃあ会長もお酒強いんですね」

 

「あれっ!?」

 

 

 あっさりとお色気攻撃を退けられ、天草会長も驚いたリアクションを見せた。

 

「そう言えば魚見さん、あの後大丈夫でした?」

 

「ええ、無事傘も買えましたし」

 

「なら良かったです」

 

 

 先日会長が自慢げに話していた事でしょうか。津田さんの傘に入れてもらったと……何だか羨ましいです。

 

「てか、真面目に花見をしなさいよね」

 

「このメンツじゃ無理でしょ」

 

「そうですね……」

 

 

 萩村さんのツッコミに、私とタカトシさんがため息を吐いたのは、ゆっくりする事なんて、このメンバーと一緒じゃ無理だと思ったからだ。ほんと、萩村さんの言う通り真面目にお花を見ましょうよ……




この名前ネタは考えて無かったんで、やってから出来るなと思いました……まさかここでも森さんとは……

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