桜才学園での生活   作:猫林13世

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あの流れからのこの話……まだまだカエデが頑張ってます


正月の津田家

 事故とはいえ、タカトシさんとキスをしてしまった……もちろんあの後色々と言われたのですが、タカトシさんが天草会長に鋭い視線を向けたおかげで、それ以上は何も追及してくる事はありませんでした。そしてタカトシさんは私に頭を下げたのです。

 不快な思いをさせたから、とタカトシさんは言っていましたが、私とすれば別に謝ってもらう必要は無かったと感じていました。だって別に嫌じゃ無かったから……

 そんな事故チューから暫くして、年明けのご挨拶をする為にカナ会長と一緒にタカトシさんの家を訪ねる事になりました。タカトシさんの家に向かう途中で桜才生徒会の三人と合流して、計五人での訪問になりましたが、家に着くまで私以外の四人は、私の顔を――正確には唇を凝視して来ていました。明らかにあの時の事を根に持っているのでしょう……

 

「おや~桜才・英稜の生徒会メンバーの皆さまじゃないですか」

 

「畑! 何故お前までいるんだ!」

 

「何故って、津田家の中にいる風紀委員長の観察ですよ」

 

「カエデちゃんもタカトシ君の家にいるの?」

 

「実は風紀委員長、昨日の大晦日から津田家に入り浸っています」

 

「つまり、タカ君の家にお泊りしたと言う事ですか?」

 

「そういう事ですねー。やっぱり風紀委員長はムッツリスケベです」

 

 

 タカトシさんの家に泊まったからと言って、別にムッツリなのかは分からないと思うのですが、そう考えたのはどうやら私だけだったようで、残る四人は畑さんに状況を確認する為に凄い勢いで畑さんに詰め寄った。

 

「それで、五十嵐先輩は何で津田の家に泊まったんですか?」

 

「外でバッタリあって、そのままの流れですかね。現在津田家には両親が不在、それを知った風紀委員長が家事の一切を手伝うという名目で津田家に上がり込みました」

 

「そんな事なら私だって手伝える! 今からでも遅くは無い、みんな行くぞ!」

 

 

 天草会長が急に張りきりだし、それに続くようにカナ会長やアリアさん、普段ストッパーな萩村さんまでもが意気込んで津田家に向かいました……私はあのテンションには付いていけませんね……

 

「やはりブチューとした人は余裕ですね~」

 

「な、なんですかその表現……」

 

「ほら、この写真」

 

 

 そういって畑さんは私とタカトシさんがキスしてる瞬間の写真を取りだしました。狙っていたのでしょうか、タイミングがバッチリ過ぎるのが多少気になりましたが、それ以上に何故こんな写真を持っているのかが気になりました。

 

「いや~、本当は津田副会長が転ぶシーンを狙っていたんですが、まさかの大スクープになりましたよ」

 

「そうですか……もちろんその写真は没収させていただきます」

 

「え~折角の写真なのに~! 他のライバルに差をつけるチャンスですよ?」

 

「何のライバルなのかは知りませんが、タカトシさんに見られたら貴女、殺されますよ?」

 

 

 実際にそんな事は無いでしょうけども、私よりもタカトシさんの名前を出した方がこの人には有効だろうと思ったのでそう言いました。すると尋常じゃ無いくらい震えだしたので、やっぱりタカトシさんの名前は有効だったんだと実感したのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昨日は五十嵐さんが来て、今日は会長たちが家に押しかけてきた……別に構わないのだが、来るなら来るで一言連絡でもしてくれれば良いものを……

 

「それで、会長たちは何をしに来たんですか?」

 

「折角の正月に何も無いのは味気ないと思ってな!」

 

「タカ君たちにお手製のおせち料理でもと思いまして」

 

「でも、お母さんがいてもウチは特に何も無いですよ? むしろタカ兄が準備する人ですので」

 

「タカトシ君っておせち料理も作れるの~?」

 

「別に大したものは作りませんよ。お雑煮を作ったり後はコトミが好きな出し巻きや栗金団を作ったりするだけですし……あとは買ってきた物を切って出すだけですので」

 

 

 普段はこの時期ゆっくりできるお母さんとお父さんの為に準備するのだが、今年は仕事が忙しいのか暮れも正月も無く働いている。そしてコトミは相変わらずなので、今年は大したものを準備してないのだ。

 

「それにしても五十嵐先輩、風紀委員長が率先して不純異性交遊とは」

 

「わ、私は別にそんな事は……!」

 

「そうですね~。カエデ先輩はせいぜい、洗濯と称してタカ兄のパンツを触ろうとしたくらいですしね~」

 

「そうなんですか?」

 

 

 五十嵐さんがそんな事をするとは思えないけど、この人も周りがぶっ飛んでるから隠れているが、なかなかの思春期だし何となくあり得そうなんだよな……

 

「そんな事はしてません! むしろコトミさんが津田君のパンツを持ち去ろうとしたのを止めました!」

 

「コトミが? お前何に使うつもりだったんだよ……」

 

「何って、当たり前な事を聞かないでよタカ兄! もちろん……ごめんなさい」

 

 

 視線でコトミを黙らせて、俺はとりあえず全員をリビングへと招き入れる。

 

「畑さんも入ったらどうです?」

 

「……やはり気づいていましたか」

 

「昨日からこそこそと嗅ぎ回って、何がしたいんですか貴女は」

 

「もちろんスクープを……」

 

「今日日部活動で何でそこまで気合いを入れてるんですか……」

 

 

 新聞部はそれ程活動難と言うわけでもないのに……学校が正式に認めた商売のおかげで、新聞部の部費は他の部活より多いのに……

 

「とりあえずお雑煮を出しますね。皆さんお餅は幾つ食べます?」

 

 

 これだけの女子率にも関わらず、家事を担当するのは俺……自宅だから当然といえば当然なのだが、せめてコトミは動いて欲しかったぞ……どうせ邪魔にしかならないのだけど……




森さん>>>>>>>カエデ>>>スズ>>残りみたいな感じですかね……まだ決定じゃないから、頑張れ他のヒロイン……

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