「さて、データを整理しよう。」
このセリフを言ったのは俺こと相澤康一。なぜ、このタイミングでそれを発言し行おうと思ったのかは。
「なるほど、確かにこの暇であり、一夏は夏祭りで居ない、そしてその整理するデータの入手状況が逐一聞ける私が堂々とこの場に居れるこのタイミングが一番良いか」
と言う訳だ。はい、もう忘れているとも思うが微妙なチートことエネさんです。
「うるせえ。」
今現在、スマホにスピーカーを繋いで普通に会話できるようにしているし。ちゃんとマイクもつけてカモフラージュしている。もちろん、盗聴器の類もエネが無効化させてくれている。
「ああ、君同様にめんどくさかったがな。」
「なにそれ?おいしいの?」
「早速データを整理するか。」
無視それが最高のジャスティス。さて、パソコンをつけて何時ものように弾丸にUSBをブッ刺す。確かにここに入れているんだよな?
「ああ、間違いは無い」
「最近思考を読まなくなってきたな。」
もう、お忘れかと思うがエネは俺に寄生している。エネのとんでもない能力で脳内のことが分かるしそうさせている。
「まあ、思考を呼んでいなくとも信頼できる相手って訳さ。」
俺は手元にある無線式のマウスを動かしファイルを開いた。
「それはまあ良いや、というかデータは出たけどファイル名が全て英語じゃないか…………しらみつぶしに探してみるか」
「ああ、それに不必要だと思っていた情報が、後々必要になっていたとかよくある話さ。」
「まあな、じゃ上から開けていくぞ。」
一番上のファイルを開く。恐らく人物名であろう名前のファイルがそこに並べられてあった。
「私が受け取ったのは研究者のような人物だった。このファントムタスクとやらに技術提供しているらしい。」
「なるほど、VTシステムの構築事態はこっちの世界研究者クラブで作れるようなものとは言っていたな。」
一葉がそんなことを言っていた。そのファイルの中にあった情報はその研究者とやらが入手している人物の情報だった。内容は日本語だ。
「人物をリストアップしたんだろう、画像まで添付してご苦労なこった。」
パソコンを操作し、人物の顔名前を頭に入れておく。
「これは、人物の身分で分類してるな…………これは技術者か?」
「そのようだ、怪我をしていないのにも関らずごつくなる手つきが挙げられるな。」
しばらくスクロールしていくと興味深い人物が見えた。
「なんだ?この金髪ボインの姉さんは?結構セラフィーナと被っているな」
「それはアレだもうアレだ。触れてくれるな。」
「おk。えっと…………名前はスコール・ミューゼル。」
土砂降りってか。だけど女、IS操縦者、しかもかなり強い操縦者である可能性もあるし、実際に幹部レベルの人間らしい。
「ふむ、こちらでも探ってみるが、IS自体の応対も必要だからな得られる情報は少ないと考えていい。」
「いや、十分だ。情報を取る方法としてはお前を情報を取ってきたラボに二十四時間体制で張り付くという方法もない訳ではないが、危険だ、絶対にやるな俺の切り札が無くなると困る。」
それ以前にコイツを取られたくはない。それなら、どれだけリスクが少なからろうと、死地に行かせるものか。
「そうか、分かったよ。」
「…………幹部クラスか。だが、実際には実行部隊のたたき上げと言った所か。」
備考にそんなことが書いてあった。しかし、この情報を貰ってきた研究者というのも結構に多彩だな、ISのオペレーションシステムすら直すとは。まあ、世界研究者クラブの一員って話もあるからなぁ。
「なるほど、それで?この人とも戦うことになるかも知れないが、どうだ?勝算はあるのか?」
今の時点ではなんとも言えん。ま、それなりに何とかなるかな?
「次は、Mと言う人物か。」
「コードネームで呼ばれるってどれだけのマゾヒストなんだ!?」
「たぶん違うと思うぞ」
冷静な突っ込みありがとうございます。なぜだか長い黒髪に小柄な体、顔はISの付属品のバイザーに隠れて良く見えないが結構整った顔立ちをしている。と言うよりどこかで見たような気がしないでもない。
「使用ISがサイレント・ゼフィルス…………これは、イギリスの機体か。私も接触したことがある。」
「へえ、どんな奴なんだ?」
「結構癖があって絡みづらいが、鈍いやさしさと言うのか、良い奴だったよ。
機体の方だが基本的にはセシリア嬢のIS、ブルーティアーズの上位互換だ。それぞれのビット性能もさることながら搭載数と出力の上昇、それと特徴的なのはビットでシールドを張れるということか。」
なるほど、後は使う者の腕だなオルコット嬢のように明確な弱点が在ればいいのだが…………。
「次は、オータムと言うらしい」
「秋!次!」
「はぁ!?もっとグイグイ来いや!?」
確かにな。まあ、そこまでねえ…………顔と名前を覚えておこう。
「じゃあ、どんな機体を使うんだ?」
「アラクネと言うらしい。私は…………接触した時があったかなぁ?」
「無いのか?」
「まあ、結構固定されているメンバーが遊びに来ているな。たまに訓練機として使っているISの子守をしているが、その程度だ。あまり接触はしていない」
なるほど、ないものは無いと考えていいか。
「新たな情報が入り次第其方にも伝えるようにするさ。」
「よろしく頼む。それに、もうISを使う戦闘要員は居ないらしい。複数の組織も絡んで来るだろうから、この情報だけで攻勢に移るのは無謀と考えていいだろう。」
「そうだな、戦い方としてはそれに見合った方法があるんだろうな?」
そうエネが聞いてきた。
「あるにはある。だが、基本的にIS学園内でのたった一人の篭城戦となるだろう。いや、ここに来る目的は十中八九は一夏だ、だったらそれを俺に変えるって事もしないとな。」
「なぜだ?思考が飛びすぎてよく分からなかったが?」
「ああ、これだけの大規模な違法組織だ。一夏のISの出自や交友関係や全て洗いざらい調べられていると思っただけだ、それに俺がどれだけ変なものを持っていようと一夏の情報網や顔の幅には勝てないし、それに狙う理由なら一杯ある。」
「君が言うか君が。」
「いやいや?俺が言ったのは
「その前に君はその手伝ってくれというのを言わないだろうに…………。」
「まあ、そうだな。それよりいつファントムタスクとやらが介入して来るかだ。」
「いや、一つしかないだろう?」
「はぁ!?何言ってるんだお前?これからIS学園に居る2年ちょっとで幾らでも来るタイミングはあるだろ?」
「学園祭だよ。」
GA・KU・EN・SA・I!学園祭!
「ああ、なるほど。どうしたって警備が緩くなるか。だが、逆にチャンスだ。」
「ん?どうしてだい?」
「この場合相手の弱点が相手もプロだと言うことだ。」
「ふむ、何々?学園祭時には内装や人の流れが大きく変わる。それを利用するんだね?」
「思考読みやがったなこのこの野郎。まあ、端的にいえばそうだ、クラス単位で大体一ヶ月前から用意はするし企画はそれ以前だ。見込める集客率や持続的なもの学校主催のイベントなどをあわせると大体どの時間に現れるかと言うのはシュミレートはしやすくなるな。」
「なるほどな、その時は私も協力しよう私のIS処理能力を甘く見るなよ?」
「…………戦いは、もう始まっているのか。よし、今から動くか。」
「おお、なんというか少し成長した子供を見ているような気分だよ。」
「涙声になっているんじゃない!と言うか器用だな。」
「いや、君の演技のデータを真似してみただけだが?あの泣き落としは見事だったよ。」
「何のことかな?」
「白々しい。まあ、どこでやったのか忘れているのは仕方ないがな。」
どこで人を引っ掛けたかは忘れているな借りや貸しは絶対に忘れないんだが。
「そこで借りが出てきて私は一安心だよ。それじゃ、データ整理はこれぐらいにしておくか」
「ああ、そうしよう。俺もやることが増えたしな。」
ま、俺もこれで矢面に戦う準備が出来たか。はぁ、大丈夫かな。