IS 化け狐と呼ばれた男 リメイク   作:屑太郎

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インタビュー

よし、ついたついた。俺としてはあのオークション制度は残しておきたいものだからなぁ。

理性は欲を超えることはできはしない。そのような例は、あるのであれば理性が欲である場合に限る。

 

「ああ、緊張する。」

 

ここで痛い事いってみろ、すぐさま某匿名掲示板で拡散される。利用できるのであれば。痛いことを言うのも辞さないが。

 

「なにを言っているの?そんな豪胆の限りを尽くしているような…………そうね、この国で言うのであれば小賢しい化け狐かしら?私の視点では狸って言うほど図々しくは無いからね。」

 

うるさい、黙れ。狐は騙さなければただの狐。ちょっとした害獣に過ぎないし、そもそも狐が化かすのは空想上の世界だ。しかも、俺はそんな(相対的)に(見て)悪いことはしていない。

 

「そうかい。けどな。俺はあんまりインタビューとか、そうだな自分の意見はそこまで重要視しちゃ居ないんだ。」

 

「へえ、その心は?」

 

「俺より強い権力を持ったやつは一杯いる、それに自分の我で持って立ち向かおうとしてもただ潰されるだけだ、それなら必要じゃない。現実的に取り入る方がいいんだ。ま、端的に言えば、長いものには巻かれろだ。」

 

「フフフッ強かね。」

 

「そりゃどーも。」

 

ん、そろそろ時間だな。俺は遠くに見えたそれらしき人物が見えた。ちょっとセクシーなキャリアウーマンを考えれば俺が見えた人物の容姿に相当するだろう、その人物はこちらに真っ直ぐと向かってきた。

 

「どうも始めまして、インフィニット・ストライプスの副編集長、(まゆずみ) 渚子(なぎさこ)です。今日はよろしくお願いします。」

 

立ったまま名刺を差し出し、そういってきた。俺たちは二人とも立ち上がった。

 

「こちらこそ。セラフィーナ・カンタレッラです、よろしく。」

 

セラフィーナもどこから出してきた分からない名刺を差し出して交換した。驚いたのは日本式のビジネスマナーをちゃんと踏襲している所だ。恐らくISの出身国は日本であるのでそれの気分を害さないようにしているのだろう。

その理由としては、言い忘れていたが、篠ノ之束は世界に指名手配されている。これはISを形作るISコアを作れるのは篠ノ之束のみでありながら、一定数を作った後に失踪しているからであり、多額の懸賞金をかけられているのは言うまでもない。

だが、日本国としては全然感知していない事柄なのだが、日本国が拉致し幽閉しているとの噂もまことしやかに囁かれている。

各国としては、その可能性も捨てきれないので日本を牽制しながら顔色を伺っている形だ。その一種のことなのだろう。推論終わり。

 

とまあ、なんとも無駄なことを考えながら、俺も名刺を出した。俺の名刺は結構手の込んでいるものだ、しかも、もう忘れ去られた設定ではあるが、女性権利団体の特別応援者みたいな立ち居地と世界研究者クラブの第二構成員になっているからな。

第二構成員とは、まあ、実働部隊と指揮部隊みたいなのがいて、第二が実行部隊、第一が指揮部隊…………分かりやすくいうと第二が働きアリ、第一が女王アリのようなものだ。

 

「相澤康一です。今日はよろしくお願いします。」

 

「この子が…………………ご丁寧にどうも、どうぞお二人とも席にお座りください。」

 

俺は着席した。それよりどうしたんだ?

 

「では、まずは相澤さんから。男性操縦者ということで、ISを始めて動かした感想とかありますか?」

 

「そうですね、普通に装着して動いたって言うのが一番驚いています。ですから、どうしてもISを乗っている時の感覚がなれない部分もあります。」

 

「なるほど、セラフィーナさんはどうでしたか?」

 

「動かし過ぎて覚えてないわ。それに私のISは特殊だし。」

 

「それは、どのように?」

 

「守秘義務よ」

 

「失礼しました。それではセラフィーナさんにお伺いしたいのですが、試合時なにを考えて試合に臨んでいますか?」

 

「そうねぇ、私は楽しそうな相手の事を思うわね。ほら、隣の彼と戦って負けたのは知っているわよね?その時もそうだったわ。」

 

「ええ、一部ではただのデマではないか?と噂されているんですが真偽のほうはどうなのですか?」

 

「事実よ。またリベンジはしたいわね」

 

俺的にはお断りである。

 

「そうなんですか。相澤さん勝利の秘訣とかあるんですか?」

 

「僕の機体が最新の一枚葉だったってことですが?」

 

この場合の一枚葉は世界研究者クラブの作品と同じ意味を持つ。

 

「そうですか、それではお二人に聞きたいことがあるんですが。専用機を受け取った時どんな思いで受け取りましたか?」

 

「私はこれでもっと戦えると思ったわね。」

 

「僕はただ来たって感じでしたね、そもそもあまりISに興味を持っていなかったので、受け取った当時は特に特別な意味の無いものだと考えていました。」

 

「IS学園に入った今では、どう思いますか?」

 

「いえ、特にむしろ実技より前に座学のほうがやばいので。担任に何時もどやされながらひいひい言ってやってます(笑)」

 

ああ、俺の前にバベル(宿題)の塔が建築されてた時もあったなぁ。

 

「なるほど。次にセラフィーナさんに質問をさせていただきます。」

 

「どうぞ、といっても彼ほどは面白くも無いでしょうけど。」

 

「そんなことは無いですよ。セラフィーナさんの趣味は?」

 

「IS操作ね。仕事が趣味って奴かしら?朝起きてISして朝飯食って牛乳飲んでISして昼飯食って牛乳飲んでISして夜飯食って牛乳飲んでISしてシャワー浴びて寝るという毎日を送ってたら国家代表になってたわ。」

 

「お前はどこのルーデル閣下だよ。」

 

「「!?」」

 

「失礼。続けて。」

 

やべえ、俺の突っ込みスキルが暴走した。

 

「コホン。絶え間ない練習こそが国家代表の秘訣にもなりゆるという訳ですか。」

 

「そうね、そこまで考えたことはなかったわ。」

 

「では、相澤さんは?」

 

「僕ですか……………特にさしたるものは無いですかね。」

 

「そうですか、ではなにか気になっているものとかはありますか?」

 

「新製品のカメラ。」

 

「即答!?セラフィーナさんは?」

 

「新開発の装備。」

 

「こっちも即答!?し、質問を変えましょうか。今自分が居るところに対しての不満や不安とかありますか?」

 

「そうね、うっかりISスーツを忘れて国からのISスーツを借りたら少し胸がきつかったことね。」

 

「…………相澤さんは?」

 

「全てを諦めれば全て上手く行きます。」

 

「…………続けて相澤さんに聞きたいことがあるのですが。もう一人の男性操縦者、織斑一夏君についてどう思いますか?」

 

「ああ…………。一人目とはなかなかに上手く行っています、適度に遊びに行きますし良好な関係を保っていますね。操縦も日に日に上手くなっていくばかりで、いいライバルになっていると思います。」

 

「因みに模擬戦とかはするんですか?」

 

「あまりしませんね、基礎はしっかりしておかないと動くこともままなりませんので。」

 

「なるほど。セラフィーナさんはどうですか?」

 

「織斑千冬の弟ってだけね。何時か戦ってみたいと思うわ。」

 

「そうですか、では最後に今後の抱負を。」

 

「私は、もっと強い人に出会いたいわ。私自身が育てるのもいいかもね。」

 

「本当にISが好きなんですね。相澤さんは?」

 

「僕ですか……………ISに乗ってて思ったんですけど、もっと別の使い道も模索したいと思ってますね。本当に、ISはいろいろな可能性を秘めています、もともとの目的であった宇宙開発にも、他には…………そうですね、ビーム兵装や脳波の遠隔操作などを応用して、一人で町工場でも出来ますね鋼材とその他もろもろの資材があればの話しですが。」

 

「ふむ、あまり類を見ない答えですね。」

 

「まあ、それもしょうがないとは思いますけど。まあただのガキの戯言として受けてください。」

 

「そうですか、これでインタビューは終わりにします。撮影がありますので、待機室にて着替えてもらえれば幸いです。本日はありがとうございました。」

 

「「ありがとうございました。」」

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

「ふぃー疲れた。」

 

「そりゃ、あれだけ自分を偽っていたらそうなるでしょ。なによ僕って。」

 

「撮影に行きましょう。ま、ただのスーツでいいでしょう。」

 

「よくそんなにひょいひょい取れるわね。」

「後はヅラ被って、目を隠してっと」

 

「それ、何の意味があるんだ?」

 

「あ、一夏。似合ってるな。」

 

「え?これがあの?」

 

「ああ、一人目。」

 

「へえ。この子が。」

 

「って、康一。話が見えてこないんだが?」

 

「インタビューがあったろ?その時に一回聞かれた。」

 

「そうか。」

 

「それはそうと一夏、お前はなんでこの仕事を請け負おうと思ったんだ?」

 

「箒に言いくるめられて…………。まあ、ちゃんと報酬代わりにレストランの無料食事券貰ったし、箒と一緒に行こうと思ってるよ。」

 

「そうしとけ、レストランってどこ?」

 

「ほれ。」

 

そこには場所○○ビル 最上階 などと書かれていた。と言いますかこれって・・・。鈴也さんのところじゃん!?あの、俺が簪連れて行こうとした奴!

 

「マジか?一夏、これどういう店だか分かっている?」

 

「知っているのか?」

 

「セレブリィティな殿方、ご婦人御用達な店だ。カジュアルな格好じゃ跳ねられるぞ?」

 

うん、そういうことしてたし。

 

「うぇぁ!?…………本当に?」

 

「ああ、まあそれなりのスーツとかを着て身なりをしっかりとしていけば、跳ねられないはずだ。」

 

「そうか…………うちにスーツとか有ったか?」

 

「それ貰っていけばいいだろ。頭悪いな。」

 

「いいの?」

 

「いやいや?逆に考えるんだ。むしろ、これでいけなかったらどうするんだと。それただの貰い損だろうが、日付も今日までだろうし。一言声かけてくればいいさ。」

 

「う、そういわれてみればそうだな……………。」

 

ま、それで行った場合には、借りができるとかそういうことを考えなくばいけないのは、言うまでもないが。そんなことはこの男の頭の片隅にも乗ってはいないだろうが。

 

「それじゃ、俺は行ってくるよ。」

 

 

「気ィつけてけよ。……………さて、行きましょうかセラフィーナさん。」

 

「もう、アンタ何者だよ。」

 

「はて?何のことですかな?」

 

「もういいわ。その生き方は、あまり利口な生き方ではないわよ。」

 

「直す気も無いね。」

 

それじゃ、行くか。金の成る場所(撮影所)に。





初めてタイトルを回収した

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