IS 化け狐と呼ばれた男 リメイク   作:屑太郎

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離 独 心

少年は成長し、青年となった。

青年を中心に周りを囲って居る仲間と共に酒を酌み交わしている。そうとは気づかない創られた笑顔で・・・。彼は時に饒舌に喋り、時に黙する所で黙し、時に人を制した。

 

そう彼の意識とは無関係に・・・喋っていた。

 

 

青年を囲んで飲み交わしていた会は終わり、彼は閑散とした路地を通る・・・。

 

 

「チクショウ・・・。」

 

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これは、彼が作られた記憶の話。

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・・・卒業。俺は今小学校の卒業式を迎えている。

 

キングクリムゾンしすぎとか言わないで。語るのが辛くなってるから。

この六年間は辛かった、得に一年生のとき・・・あいつらは人じゃねえ、動物だ。

 

まあ、そんなところに居たおかげで、リターンも得られたんだからいいけどね。とある事件によって俺の口座に毎月二十万ぐらい入ってくるし。中学校生活ではかなり裕福な暮らしが出来るだろう。親も金与えれば文句は言わないと思ってるし親からは一ヶ月に五万払ってくれている。

 

つまり、金銭面では俺最強。

 

まあ、それなりの対価は払ったつもりだから・・・違法ではないよ!。

 

しかし・・・いろいろなことがあったなぁ・・・海渡ったりとか、体質とか(転生特典らしい)先生がどっか行ったりだとか、海渡ったりとか・・・あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!

 

 

思い出したくねえ!!。あったのは人との出会いと、面倒ごとだけだ!!そんなんだったら絶対に!絶対に!!

 

「平和だ!俺は平和に暮らすんだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!。」

 

あれ?・・・なにこれ・・・口に出してたパターン?みんなポカーンってしてるし。・・・。

 

「あっ・・・どうぞ皆様、御気になさらず。」

 

((((((((((逆に気になるわ!!!。))))))))))

 

 

なんか心の叫びのようなものが聞こえてきたような気がしたが・・・。なんでもないか・・・。

 

 

 

 

 

たるかった卒業式も終わり別れを惜しんで泣いている人たちを尻目に家路に帰ることにした・・・先生たちの見送りとかあるらしいけどめんどくさいしな。

 

さて、俺は家に帰って潤沢な資金で買ったゲームでもしましょうかね・・・。

 

と、そんな堕落思考を頭にへばり付かせながら、妙に高揚した気分で某音楽プレイヤーの付属品のような白いイヤホンをつけながらこの学校を去ろうとしたとき・・・。

 

「おい、こらそこの問題児。まだやることがあるだろ。」

 

「おいなんだ、腐れババア。司書の仕事はどうした。」

 

俺は白いイヤホンを片耳につけたところに、後ろから声を掛けられた。六年間で御馴染みとなった返しをしたところから司書さんと判断した。・・・しかし何なんだ?司書は学校の生徒に深入りしないと言う不文律が・・・いや、小学校をラノベと漫画(最近入荷もう見れないけどな。)まみれにした人間に不文律と言う言葉が通じるわけない。

と、理由を推測しながら、六年間(非常に不本意だが)世話になった人物に対面し対話した。

 

「そんなもん、どうでもいい・・・あの事件でお前を相手にする先生が居なくなったからな、私ぐらい見送りしなきゃな。」

 

「オツトメゴクローサマデシタ。」

 

心底どうでもいいような声で返事する。

 

「・・・はぁ。」

 

司書さんは呆れたように深いため息をつきながら俺に近づき・・・。

 

バシン!!。

 

デコピンをした。俺は何を言いたいのだか分からず怪訝な顔で司書さんを見た。

 

「何するんですか?」

 

「私言ったよな?そういう態度は敵しか作らんから辞めろって。」

 

「・・・努力はしている。」

意図的にやったのに何を言ってるんだ・・・。

 

「あぁもう!元気でな!!。」

 

「それじゃあ、また。」

 

司書さんは苛立ちながら俺を送った。その顔はどこか悲しそうで・・・。なんかえもいわれぬ気持ちになった。

 

 

ズキン!!

 

 

 

そして再び家路に着き・・・。

 

あぁ・・・。嘘をついた・・・。意図的なのに努力?バカじゃねーの?俺。やめる事だって出来るよ。むしろ逆の立ち位置に立つことだって出来るよ。めんどくさいけど。

 

しかし、この六年を生きて・・・本当に辛かった。回りの人間や、面倒ごとに巻き込まれる俺や・・・周りの普通の人間への羨望。

 

人によって多々あるが、みんな愛情なんてものをさも当然のように受け取っている・・・。

それを見て・・・俺は、汚い感情が湧き出てしまった・・・たぶん嫉妬だろうな。

 

 

前世では俺は愛情なんてものは言葉や文章だけのものだと思っていた。前の世界・・・いや俺の周りにある世界だけかもしれないが・・・暴力、憎悪なんてものは当たり前な世界ビジネスだけで人間関係が取り持たされていた。

 

・・・だがこの世界に来たとき本物・・・といっては語弊があるかもしれないが、愛情を・・・俺が知らないそれを受けていると・・・本能的に察知した、してしまった。

 

そこからだ俺の中に汚い感情が生まれたのは。

 

「・・・愛情?・・・何だ?それ?。」

 

呟いた、口からいきなり出てしまったことに驚き、とっさに口元に手を当てた。

 

ああぁ、なんて俺らしくもない・・・もっと外道に、もっと狡猾に・・・。

 

   心を堕落させていくんだ

 

取りとめもないことを考えながら歩いたら家に着いていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま。」

 

お手伝いさんが帰ってこない。どうやら、別れの時期だし・・・ね?もしかしたら・・・。

 

と、そんな取り留めのないことを考えながら冷蔵庫にあるお茶を取りに行く。

それからテレビ、ネット、新聞と時間潰しを極めた俺の行動で三時間後・・・ここで、俺は帰りの遅さから、直感的に別れを感じていた。

 

ガチャッ

 

どうやらお手伝いさんが帰ってきたらしい・・・。俺は出迎えた・・・うん、依頼主に何か言われたね。そういう顔をしている。

 

「康一様。」

「康一でいいって言ってるでしょ?」

 

いつもは『康一でいいっつってんだろ?』と粗暴な言葉だが、物腰柔らかい口調にした。

 

そしたら、何かを察したらしくお手伝いさんは言った。

 

「私は今日限りで家政婦の任を解かれました。」

 

・・・やっぱりな。まあ十二年程度の付き合いだ人生にはよくあるさ・・・高々二十ぐらい

しか生きていない人間が何を言ってるかと、この状況を正確に把握している人から見たら・・・思うだろうなぁ。

 

「そうかい、お疲れさん。」

 

と俺はことば道理に言った。

 

「・・・色々、ありましたね。」

 

実際にあったので「はい」と返しておいた。

 

「私はあなたが生まれてからそばに居ましたが・・・もうこれで終わりですね・・・ふっふっ。何でしょう?言いたいことが色々あったはずなのに・・・喋れなくなってしまいます。」

 

「そうか。」

 

俺は何にも言えない・・・ビジネス的な関係だと割り切っている・・・からだ。

そしてお手伝いさんは・・・真剣なまなざしで、一言一言を噛み締めるように言った。

 

「けど、これだけは言わせて貰います・・・あのときのように、死なないでください、元気で、平和に過ごしてください。・・・それでは。」

 

「じゃあね~。」

 

俺は至極軽めに返答をし・・・お手伝いさんが扉を閉めた。

 

「・・・はぁ、やっと終わったか。」

 

俺にとっての枷になっていたお手伝いさんが居なくなった。これで何もかも自由に居られる・・・。

 

 

ズキン!!

 

 

それから俺は・・・自由だ、と自分に言い聞かせるように自室に向かった・・・。

 

、何かを振り切るように頭を思考で塗りつぶし、目を塞ぐように情報を入れて・・・。

 

 

 

 

そして、胸の中で鳴った音を振り払うように心を塞いだ・・・。

 

 

 

 

 


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