「めんどくさいのオンパレードであった」「クラス代表決定戦!」
「めんどくさいのオンパレードであった」「学年別タッグトーナメント!」
「めんどくさいのオンパレードであった」「臨海学校!」
半年、というかIS学園一学期というめんどくさい期間の中にある
それら全てを消化し、後は、人間の適応能力で一ヶ月で慣れた学業を淡々とこなしていく期間そしてそれらが終わる暁には、夏休みという大いなる退屈と倦怠の海へとダイブを敢行するハメになるのだが、それは忘れよう。
つまり、俺こと相澤康一が言いたいことは一つ…………。日常っていいよね。
【収穫始めました】
潮風が吹き木々のざわめく。登ってくる太陽が空気を暖めるのを感じる。IS学園秘密の個人農場でのこと。
「夏は野菜が多く取れる、それ以外でも色々あるが夏野菜と呼ばれるものが沢山あるのだから、それらを育てないと意味がない。」
マイナーなものはどうやって調理すればいいんだか分からないしな。
「ふう、収穫終わり。」
植えてあった木をひっこ抜いたときに出来た副産物である椅子に腰掛ける。ISのパワーと科学力に感謝しながら疲れを癒すついでにと、収穫したばかりのトマトを生のまま齧る。
トマトの水分が体にしみるように、ほんの少し疲れた体を癒していく。
これだけで、少し生きていて良かったと思えるようになってきた。
っと、どうやら轡木さんが来たようだ、お茶でも出して待っていようか。
【一応の別れ。】
「俺なんか一夏と同じ部屋になる様です」
「あ、そうなん?」
物凄いさっぱりしている。ポン酢もびっくりなさっぱりさだ。とはいっても泣き喚いてもらっても困るけど。
「大体、貴方ここにあまりいないじゃない。手痛いのは貴方の料理が食べられなくなることね。」
「じゃあ、三人分か。」
「いやこれからは自炊しよう…………。」
ま、それでなくとも会えるし大丈夫か、一夏だったらそこまで知らん顔じゃない。
それに、何かこの部屋変えには何か意図が有るような気がする。ま、男性IS操縦者と言う肩書きだけだろうが。…………ま、臨海学校での写真を整理するのに女体を女の前で整理するって言うのは変態の所業だ、それなりの言い訳が出来たと思えばいいか。
「それじゃ。またね。」
「それじゃ。また。」
こうして一つの別れが起こる。少しの間一緒にいてくれた人に感謝し、そして面白かったなと思い出が去来する。
「簪…………たのしかったぜ。」
「こちらは退屈はしなかったよ。」
俺は、ちょくちょく戻ってくるであろう部屋に別れを告げるように、ゆっくりと扉を閉めた。
【一方その頃。】
生徒会役員室でのこと、そこでは連日、頭がおかしくなるのではないかと思うほどの大量の書類が送られてくる。それこそ某生徒会副会長が発したオノマトペのように、判子をペッタン、ペッタン、ペッタンコとただひたすらに押していくと言う作業なのだが。国を挙げてのものとなるとそうは行かない、ちゃんと目を通してその上で合否を決めていく。
「フォーーーーーーーーッ!!来た来た来たぁ!!!」
「……………またですか。」
毒をもった電波を受信したかの様に、急に奇声を上げながら、跳ねるように立ち上がった。
それを冷めた目で見ているのは、
「これで一安心だね。」
と一言言った途端、席に付きまた作業を開始し始めた。
「?」
だが、これまでとは別に行動を起こしたわけじゃなかった。ただそれに首をかしげ、また祖業に戻った。
これは上に書いている【一応の別れ。】の時のことである。
【ゲーム】
学生の娯楽は多岐に渡る。人とのおしゃべりだったり、SNS上でハッスルすることだったり、ただただ孤独に過ごすというのが娯楽というより楽という者もいる。
だが、一番多いのはやはりゲームなのではないだろうか?のめり込み具合は人それぞれだが、スマホやパソコンのフラッシュゲームほどならやったことがあるだろう。
それほどまでに今は、ゲームというのは強く根付いている。
そして、それはここIS学園でも変わらないようだが…………この男二人は勝手が違うようだ。
「「…………。」」
無言でテレビ画面を見つめている。よく見ると、二人の手には平べったいコントローラーが握られており、指はせわしなく動いている。時折画面がフラッシュし、二人の顔を照らす。何度目かのフラッシュの後…………
「…………っしゃ!!」
「ガッデム!!」
恐らく対戦形式のゲームで決着がついたのであろう、両者がそれぞれの反応を見せた。
「勝率は半々だな。」
「抜かせ、これで俺が勝ち越したぞ。ってか無言でリトライ押すのやめろや。」
両者ともまたゲームに戻る。
『テテテテテテテテン ボーン!』
『ボブン! ボーン!』
ここで、二人の状況を説明しておこう。一人はベットに腰掛けながらスタンダードにやっているが。もう一人は足を開けた体操座りのような体制でその中にすっぽりと、銀髪の少女(ここではラウラと呼ばれる少女だ)が座っている。その状況だけを見れば、どれだけ特異な空間に見えることであろう。
だが、ここにそれについて突っ込む者は居ない。
ベットに腰掛けテレビ画面を凝視しながら、少女に話しかける。
「ラウラさんよ、その状態何とかしね?もうそろそろ就寝時間だろ?」
「嫁が寝るまでは…………。」
といいつつも、目をこすりながら今にも眠りそうだ。
「だってよ一夏一緒に寝れば?」
「出来るかバカ。女の子だぞ、それにラウラは寝る時全裸だぞ。」
とんでもないことを一夏が投下しながら。
「羨ましいな、死ね。」
「アレ!?めっちゃ爆発してるじゃん!」
「フハハハハハハハハハハハハハハッ全国津々浦々のもてない漢たちの哀しみを知れ!」
「zzz……………。」
こうして青春の夜が更ける。
【ここでは一度も出ていない新聞部。】
俺こと相澤康一は部活に入っていない、ここIS学園では部活に入ることを強制させているにも関らずそれについてお咎めなしなのは、きっと男だからだろう。
女の花園ことIS学園では、ISというモノの特性上女しか居ないため、ヘンタイ趣味に走れば幾らでも素材はあるだろうとのことで、男は無いのだ。
だが、そのサンプルも二人だけのこと。俺はちょくちょくと顔を出している部活が複数ある、今回はその内一つを紹介しよう。
「ウィーッス。」
俺はとある一室、それは新聞部の部室に入った。
新聞部とは、その名の通り自身の足で学校中を駈けずり回り、得た情報で新聞を発行する部活だ。ジャーナリスト(笑)を目指しているものにとってはいい経験になることであろう。
「…………来たね、いやーどうしても臨海学校は行けないからね。ここで学年の隔たりが出てきたかと思ったよ。」
俺の目の前に居るのは、
部長は見たことはない、恐らく部長と言う名のスケープゴートでも作って私物化しているんだろう、抜かりはない。
「まあ、抜け出せば大丈夫っちゃ大丈夫だね。」
「後が怖いわ。それにそこまでリスクを犯してまで金は稼ぎたくはない。」
さて、なぜこの胡散臭いいわくの付いた部活に顔を出しているのかと言うと、金。マニーだ。実は、この新聞部、裏で写真をオークションしている、そこを俺が突き、ばらされたくなかったら俺の奴を出品しろと契約を持ちかけた。…………ま、売れる写真を撮るのは天下一品な物ですし。と言うかお手伝いさんの真似をしてよかった・・・。
「ホイ、これが写真データ。一応撮り漏らしがないかはチェックしといたけど、自分で確認してね。」
「了解しました~っと。あ、そういえば」
「なんですか?入部はしませんよ?」
「そうじゃない、一夏君と箒さんにも話はしたんだけど…………。」
「詳しく聞かせろ。」
場合によっては金になるかもしれないしな。
「うん、えっとね。実は私の姉がインフィニット・ストライプスって雑誌の副編集長になっているのは知っているよね?」
とりあえず、首肯しておいた。
因みにインフィニット・ストライプスとは、代表候補生やISに関る人物をピックアップしていくようなIS関連雑誌だ。その時に代表候補生やIS整備士などの写真を撮ったりインタビューを掲載することで売り上げを上げている。
「で、男性IS操縦者にもインタビューしたいって話が出てきて…………お願いできないかな?」
「日程を教えてください。それで決めます。」
「なんでっ…………ま、しょうがないか。首が飛ぶのはこっちだし。えっと、一夏君たちと一緒の日にまとめてやっちゃうらしい、夏休み中の8月15日に午前は一夏君たち、午後は君たちの撮影とインタビューが入っているわ。」
「君たちって俺以外の奴と一緒に撮るのか?」
「ええ、インフィニット・ストライプス以来のビックゲストよ。」
「うへぇ…………その依頼、受けよう。」
「おっ?何でまた。断るかと思って、金を用意しておいたのが無駄になったじゃないか。」
「何時ものお礼さ。」
とは言った物のそんな殊勝な考えを持っている訳がない。一夏の写真だったら売れるかなと思っただけだし、それにちゃんとした設備で写真を取れる状況は数える位しかいない。それであれば、俺も行くことにはメリットがあるだろう。
「パパラッチ業は買ってくれる人が居ないと成立しないからな。」
「なるほど、よし!話を通しておくよ。」
―――この会話が、後にあんな事件に発展するとは…………ここに居る誰もが思わなかった―――
「何言ってるの?」
「とりあえず、こうしておけば何か起こるかな~って。」
「おきないよ。」
◆ ◆ ◆
とまあ、このような日常を送っていた訳だが。それも今から破壊される。
「えー、明日から夏休みだが、ハメを外し過ぎないようにしろ。普段の生活から逸脱しないようにしろ。以上だ。」
そう、全くもってめんどくさい。ま、何にも予定はないから大丈夫だろう。
さてと、ゲームとかパソコンとか。色々とやってきますか!