IS 化け狐と呼ばれた男 リメイク   作:屑太郎

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正の正 邪の邪

サクサクサクサクサクサクサクサク。

 

「ポテチ美味くね?」

 

「お兄さん私にも下さいな。」

 

「…………コンソメ。」

 

「おk。」

 

さて、ポテチ食って狙撃銃のスコープを覗きながら周囲(一夏と箒さんである)を見回している俺こと相澤康一は、ISの戦闘(ばれるとまずいよ。)を見ている以上だ。

 

「っち、人目を憚らずイチャイチャしとけよクソが。」

 

「お兄さん、滅茶苦茶なこと言ってますね。」

 

いや、イチャイチャしているのがあいつらの仕事だろ?『そんな訳ない。』だろうけど、そうかと思うくらいに不特定多数の人々にイチャイチャしているぜ。それはそうと芋系のお菓子は外れが少ないと思うんだ。

 

「いやさ、ほら見てみろ、あの頬が緩みきったようなあの顔を。完全に恋した乙女の顔だろうが、けッ早く一夏に抱きつけってんだ。」

 

「普通逆だと思うんだけど。独り身ですよね?」

 

いや、本当に俺はイチャラブを見たい。あの、紆余曲折を経て結ばれて子供が出来、静かに暮らすハッピーエンド的なのでご飯は三杯は行けるね!逆説的に考えてふかふかさんは俺の一番のヒットだったな。

 

「まあな。…………特に俺には思うところは無いし。最後に良かったねと言うぐらいだ、他意はない。」

 

その答えに、そう。と一言だけ呟いて終わった。とりあえずポッキーを口に入れポキッと言った擬音語を鳴らせた。

 

「どの口が言うんだか。お、そろそろ始まりそうですよ。」

 

俺の狙撃銃に繋いだモニターを見て嬉しそうにしながらそう言った。…………便利過ぎるだろこれ。

 

「いやはや、軍用ISというのはあまり見たことありませんでな、どの様な物か…………楽しみでたまりませんなぁ。」

 

なんだかんだ言って、一葉も口調が変わるほど楽しんでいるようだし、良かったか。と思いながら俺は少し倍率を上げる。音声はあの秘密基地っぽいところから(一葉が)傍受しているから、会話は聞こえないと言うわけじゃない。

 

「ま…………戦闘前にイチャイチャできるような精神の持ち主じゃないからなぁ。」

 

「むしろ普通の女子高生が持ってたらおかしいですよ。…………似たようなのうちの所にも居るけどアレは普通じゃないしあのサノバび」

 

お前が普通じゃない。そしてお前の不手際はモノローグで消してやる。

 

「っと、始まった。」

 

スコープ越しに見えるのは、異常な加速をしている赤の機体(通常のISより三倍速いよ。)とその背に乗っている白の機体。つまり、この状況下では箒さんと一夏この二人となる。…………なるほど一夏の機体は火力バカとか言っていたからなそれを最大限生かすための作戦なのだろう。

 

「それじゃ、相手の方のIS様々は…………。」

 

 

 

 

 

 

と、ここで二つ俺は思い違いをしていた。

 

 

一つが、思ったよりこの世界の技術が進歩していたこと。と言うより、ISを作り、それに対応するような機体を自分で作った凡人が居るのだから当然と言えば当然なのだが。だからなんだと言う話だが。例えば、今水平線を間近で見られるスコープを持っている狙撃銃があるのに、亜音速の機体が捕らえられない訳が無い…………とは言い過ぎだが、色くらい(・・・・)はしっかりと見えるはずだ。

もう一つの思い違いが…………シルバリオ・ゴスペル。和名 ()の福音。これは普通に異名のようなものだと思っていた。

 

さあ、ここから導き出される一つの推論は…………。

 

「お兄さん…………。アレって…………もしかして。」

「ああ、ふざけやがって…………。俺も調べたが…………。アレは…………。」

 

 

「「VTシステム。」」

 

 

俺が見た機体は、墨をぶちまけたかのような黒塗りで、堕天使の如く黒い翼を広げていた。俺が見たラウラと同じだ。つくづく俺はISを脅かされる状況になるまで危機を感じてなかったのだ。

 

「おい、一葉。」

 

「…………なんですか?最悪ここが火の海になることぐらいは分かってますが?」

 

「分かっているんならいい。…………これは、かなりまずいぞ。」

 

「ええ、腐っても軍ですからね、よくその警備を突破してあんなものを入れたものです。…………一応説明するとですね、VTシステム …………いや、あの状態はバルキリートランスプラントシステムですね。それは、既存のVTシステムより変質IAの向上や性質が変わり、システム上で一見それとは見えないのですが、蓋を開けたらと言った感じです。」

 

なるほど、と言うよりコイツ実はIS学園の情報ぱくったな。確か、公開されてない情報だったはずだが?…………なんでもありだったもんな。俺の持っている狙撃銃でどこからでも覗けるし。

 

「このVTシステムのすごいところは、素人でも元手さえあれば乗っ取ることは簡単なことです。その癖、高性能と来たもの…………はっきり、言いましょう世界研究者クラブの構成員かもしれません。」

 

「!?」

 

その言葉に、俺は。憤りではなく喜びが来た。

 

「…………そうか、お前に責任があるという訳じゃない。気にするな。」

 

「分かりました、私のほうでも探りを入れていきます。そもそも、私が面と向き合った人しかクラブの実行部には入れていないんで…………。」

 

あまり、疑いたくないと言うことか。まあいい、まずは目の前の利害を何とかしよう。

 

「分かった、まあ、こうは言ったがまだ作戦が失敗した訳じゃない…………が。」

 

「箒さん…………。」

 

ああ、心配はそこだ。

今現在でこの速さでずっと行くとしたら後一分弱。少しずつ距離が縮むごとに、心臓の鼓動が上がる、危険を訴える。そして、白が赤から離れた。白式が構えた実体剣が割れ中から光刃が伸びる。紅椿はその場から離脱するように加速し白式の攻撃を補助するように銀の福音だった物の移動方向を塞ぐ。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」

 

声を張り上げながら思いっきり振る。それを福音は難なく一夏の上方に避け黒翼からビームが放たれた。それを光刃で防ぎ、箒さんがフォローするように持っている刀を振るいビームを出した。ってかビーム好きだな。

 

「ビーム好き過ぎね?刀から出す必要ないとおもわれ」

 

「いや、結構考えられていますね。」

 

「どういうことだ?」

 

と言いながらそばにあるポテチを食べた。

 

「スペックデータを見ましたが、彼一夏さんの機体 白式は基本性能は高いですが燃費が最悪ですし、それにワンオフアビリティ零落白夜の使用によりさらに加速していますが、対価として圧倒的な攻撃力を持っています。」

 

ふむふむ、あの零落白夜って凄かったんだな…………まともに食らわしているの見たことねえ。あ、箒さんが結構な善戦している。このチョコ○イってなぜか美味いよな、雑なのに。

 

「ですが、箒さんの機体 紅椿は基本性能が白式より上を行っているのにも関らず、兵装は雨月(あまづき)突きに合わせてビームを出す刀、空裂(からわれ)斬撃に合わせて帯状のビームを出す刀、あと、強いて挙げるのであれば周りにある自動動作補助ドローンと言ったしょっぱい物しかありません。正直、世界研究者クラブでも作れるレベルです。」

 

へえ、お一夏が切りかかってる…………。避けられますよねー、行け行け。喉が渇いたお茶買って来たっけ、あった。

 

「…………まあ、それには3カ国の国家予算並みの金額が必要ですが。」

 

ブーッ!!?。

 

「おい、それ出来無いと同義じゃねえか!…………笑わせるなよ。」

 

ローコストで開発できるのも一種の才能なのだろう。

 

「すみません。それで、結論を言うとですね。隠し玉…………ま、ワンオフアビリティにたぶん体力回復…………シールドエネルギーの増幅が考えられます。いやぁワンオフアビリティの固定化に加えて、そんな物作られちゃ私達の面目も丸潰れですね。」

 

そう言った一葉の目は、失念と言うより希望を湛えながら目を輝かせていた。自分より頭のいい奴への挑戦みたいなものがあるのだろう、Mかお前は。ん?一夏がなんかビームを防いでッ!?アレは…………密漁船?バカか!あいつは、そんなもの切り捨てればいいのに!

 

「お兄さん…………これ、本格的に逃げる準備をしておいた方がいいんじゃないですか?」

 

一夏は閉鎖されているはずの密漁船を守るために作戦行動を見放した。そういえば一夏が前に言っていた。『俺は千冬姉に守られてばかりだ。』と、親が居ないそれに親代わりとなっていた姉に劣等感そして…………。

 

「……………守る。それが暴走しているのか、それでも敵味方関係なく守れるのがヒーローって奴なんだろうが、一夏はどうなんだろうね。」

 

「何を言っているんですか?」

 

「いや、なんでもない。ただの捻くれた独り言さ。」

 

んったく、一夏は周りの女の子とイチャイチャしていれば良いだけなのに畜生。そして、思ったとおり一夏は箒さんを庇って撃墜された。そして、エネが俺の頭に入ってくる感覚がする。

 

『全く、喧嘩を売られた物だ。出張(・・)してきたが康一、アレはお察しの通りVTシステムだ。』

 

だろうな。残った箒さんは、一夏を助けようとするがそれを銀の福音に阻まれている。

 

『最初は、紅椿のお披露目のための博士の自演自作だと思っていたんだが。むしろそっちの方が君にとっての都合が良かったんだが。』

 

なるほど、篠ノ之束が銀の福音にリミッターを掛け、その間に作戦を練るという訳か。

 

『ああ、そうだ。だが、これはどこの馬の骨とも分からないVTシステムだ、私達の制御・認知下には置いてない。確か、博士はこの事については怒りはしたが、手を付けていなかったな。』

 

そうか、前に一夏がラウラの時に怒ったのと同じようなことか。

 

『ま、この状況で出来ることは……………。』

 

分かっている。

 

 

「一葉。俺うんこ行って来る。」

 

「報告しなくていいですから、と言うか良くこの状況でそんなことが。」

 

一葉の言葉の途中で俺は部屋のふすまを閉めた。

 

 

「分かっている……………。俺が…………。」

 

そうだな、今回は…………。

 

 

「蒸着!!」

 

 

『わざとなんだか…………。康一君、使わせて貰うよ。』


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