そんで、まあ、先の出来事から俺に、敵意の視線をみんなが皆飛ばしながら篠ノ之博士がフッティングとフォーマットをするためにぞろぞろと皆が付いていったのだ。
(因みに、一夏は俺にお前は何をやらかしたと、箒さんは気持ち悪いと、凰はまたコスプレかよと、オルコット嬢は下衆なことをしたのでしょうか?と、デュノアの娘っこは風呂でも覗いたのだろうかと、ラウラは素直になんでしょうかと聞いて来て適当にあしらった。そして担任殿は卒業式まで覚えて置けよと…………それに到ってはもうどうしようもないが。それぞれ俺に非好意的な視線を向けていた。)
俺と一葉だけはその場に残った。まあ、別に強制的に見ろってわけじゃないし、通常のことを超スピードでやっているだけのことなんだろう。得るものは何もない。しかし……………。
「お兄さん。折り入って頼みたいことがあるのですが…………。」
一葉、こいつは別だ。同じ技術職でもあるし、見て得るものは沢山あるのだろうが…………。
「なんだ?お前も行かなかったのか?」
「いえ、やっていることは普通の技術ですし、手伝うと言っても邪魔にしかなりませんので。」
と、少し自嘲気味に呟いた。むしろ、世界の天才と呼ばれる研究者を束ねているカリスマとそれに恥じ・・・ないし鼻に掛けてもいいぐらいの技術力をもっているのに、それはないんじゃないでせう?
「っと。話をそらされてしまう所でした、再びですがお兄さん折り入って頼みがあるのです。」
なんだろうか?思い当たる節が…………。
「なんだ?言ってみろ。」
「戦え…………。戦ってください!お願いします!」
「はぁ!?…………どういうことだ?」
何を突拍子のないことを・・・。俺は結構戦っている…………けど。あ!当たり前じゃん!うわ、電脳空間で戦ってたし、確か、あの初めてエネと誰かと戦ったときはもはやエネが一切の記録を消去していたんじゃなかったか?…………公式記録での勝利は一切ない。そして、前にも言ったと思うが、一夏と俺の専用機はデータ取りの意味合いが強い。つまり…………。
「怠惰が仇となった訳か…………。」
「理解が早くて助かるよ。こちらもISの開発権を得るために必死なんだし、世界中にネットワークがあるってことは、裏を返せば世界中に商売敵が居るってことなんだ、だから、ISコアを1個丸々個人に渡しておいて、何をやっているーってな感じで風当たりが強いんだよ。」
はぁ、コイツもコイツで苦労しているんだな。と思いつつ俺は…………。
「しょうがない、俺も重い腰でも上げときますか。」
「お兄さん!ありがとうございます!!」
ぐへぇ。俺の腹にドスッと言ったように頭突きをかますように抱きついてきた。すごく痛い。とりあえず二年前から成長はなしと。
「はぁ、けど戦えと言った反面、
まあ、男性IS操縦者だしって言うのを差し引いてもそれは、技術者としては手痛いことなんだろう。『前にも言ったが、私が無理やり使わしているだけだからな…………ISとのリンクが有るわけがない。』と言うことは、これから俺はカゲアカシで多くの人の目の有る中で、それで居て勝たねばならない、初心者は言うに及ばない、最低でも代表候補生、それか国家代表を倒す。早い話が売名行為だ。
「君の公式記録は1戦1敗ってなだけ、これでサンプルを取ること自体無理があるからねぇ。しかも相手は代表候補生、字面だけ見れば君は代表候補生になすすべなくやられた、って判断してもいいほどだ、どんな内容だろうとね。」
一葉の言うとおりだ。俺はそこまで試合をやってるわけじゃないし、大体俺は今現在のISを、戦闘用に作られたISまでを好いている訳じゃない。そんなもの作るくらいだだったら農作業用のISでも作ってくれよ、面白そうだし日本全国津々浦々の農家の皆様方にはめっさ感謝されるしネットで話題になるだろ。
「そうだろうな、ISによる女尊男卑の時代だからそう取られるのも分からなくはない。さっきのも見てみろ、篠ノ之博士のあの言葉を真に受けやがって。」
「それ言いたいだけじゃないの?」
「じゃ、アレは真実か?」
むしろ、俺が分かってないのに真実だ虚偽だと分かる訳ないが。最初に好意的な視線を向けていない原因となったものだ。
「アレって…………まあ、お兄ちゃんに『ピー』出来るような根性を持っていないヘタレだと言うことは妹の私が一番知っていますが。」
「ヘタレ言うな。ただちょっと手が伸びないんだよ。」
「それがヘタレって言うんですよ。」
コイツも理由は知っているはずだが…………。
「はぁ、仕方がないお兄ちゃんですね。あ、それよりカゲアカシの整備ってちゃんとしてますか?」
そういえば、そんなこと言っていたな。と思っていると。はしゃぎながら俺のほうを向いて。
「その顔を見る限りやっていませんね、それじゃやっちゃいましょうか。早くカゲアカシを展開してください!」
整備中…………。
「いやー、使ってませんね…………異常なまでに。」
整備し終わった一葉は、そう評していた。まあ、その通りなんだけど。
「いや、使ってるには使ってはいるのですが…………正常に使ってないでしょ?これ?」
「いやいや?正常に使ってるよ。」
と、反論した所。ヤレヤレと言った風に首を振った。
「消耗具合が激しい所と、そうじゃない所が激しいんですよ。これを見ると…………手足の消耗は激しいですが兵装はそうでもありません、絶対に使わないレベルにまでです。」
なるほど、そう言われて見ればそうだな。まあ、手足の操作ぐらいにしか使ってないし、無理やり一夏と戦う時には殴る蹴るしか使ってない、見立ては間違ってはいない。
「後、大型バックパック『灯火』ですが…………確かに追随している『ペトゥル』を開けば防御用の盾にもなりますけど、その使用頻度が半端じゃないんですよ!バックパックはあくまでバックパックなんです!!たとえるならキャリーバックで敵をブッ叩いてるようなものですよ!」
なかなかにシュールだな。まあ、バックパックで叩いたりしていたな。
「大体、バックパックとも言え、中身はただの兵装用エネルギーなんですから叩いた瞬間暴発ってことも考えられるんですからね!…………まあ、そうならない用には作りましたが。」
ありがたいね。全く。
「それに!!何で手に土があるんですか砂だったらまだしも、完全に粘土質な土なんですけどこれ!どう使ったらこうなるんですか!?」
ああ、農作業だわ。
「とにかく!今後はちゃんと使うように!」
「はいはい、分かりましたよ全く。」
「本当ですね!?」
顔を真っ赤にしながら、そういった。本当に心配してくれているのか俺の専用機を心配しているのかは分からない。だが俺にとって、俺の知り合いがしっかり生きていることを確認できればそれで良い。
「はぁ、その様子だとしっかり整備していないようですし、整備しましょうか。」
「頼む。」
そうして俺はこの平穏な時間を甘受しようと思っていたのだが…………。
「相澤君!専用機を持っている人は旅館に集合ってさっき織斑先生が言っていました!」
山田先生が走りながら俺たちの居る方に走って来た、その顔は緊張感と危機感がないまぜになったような表情を出していて、その表情は俺の中の警鐘を鳴らすのに十分だった。
「分かりました、すぐに行きます。」
十分にめんどくさい、この話の総評としてこれをあげるとしよう。