IS 化け狐と呼ばれた男 リメイク   作:屑太郎

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自分で蒔いた種

まあ、やはり金の力は偉大だ。基本的に俺が作る適当な料理しか口に入れていないもので、久しぶりに口に入れた他人が作った料理は、舌鼓を打つのに申し分ないほどの美味さだった。美味い素材を使えばうまくなるのは当然なのだ。と言っても俺がこの食材を扱うとなると売った方が高いので扱えないが。

 

そして朝食を食べ終わり、少々の休憩時間を挟んだ。その間少し暇だったので俺は確か配られていたこの、臨海学校のしおりを手探りで大荷物の中から取り出した。九時半から海岸にISスーツを着て集合か…………。俺は、改造ISスーツがあるからな。一夏見たいに水着同然のスーツを着なくて済むんだよな。そして依頼により誠意を込めて一夏と笠森さんの改造スーツを作っている。結構金掛かるけど大丈夫かな?材料費しか取ってないけど。

 

「そういえば、こっちの整理もまだだったな。」

 

と言って俺は眼鏡ケースに目を通す。そこには何千枚と言うか俺にも把握しきれないほどの膨大な写真データがある、これの選別もしなきゃいけないし一夏の写真も提出と分類をしなければならない。何の分類かと問われればアイ○ス的に考えてキュート、クール、パッションみたいに分けるのだよ。とりあえず、眼鏡ケースを戻したこの時間で出来るかと言われれば難しい。

 

「あれ?康一?どうしたんだそんなところで?」

 

ふすまを開けられ、一夏が入ってきた。たぶん、暇だったんだろう。

 

「ん?時間まで暇つぶし。」

 

「え?確か専用機持ちは別に集合とか言ってたぞ?」

 

…………マジですか?俺何も聞かされてないんだがそれは、あ、影薄くて気が付かずに食事中にそんなこと言ったとかかな?

 

「マジでか、ちょっと着替えてそっちにいくわ。」

 

「おう、ちょっと離れた崖で待ってるらしいから。」

 

「あいよ。」

 

 

 

移動中…・・・…・・・

 

 

 

そして。

「ひでえっすね山田先生。」

 

「……………。」

 

まあ、どうでもいいんだが。つか俺が悪い。その前に、すでに集まっていた専用機持ちの視線が…………いや、プラスアルファ箒さんの存在の視線が俺に突き刺さる。こういうのは慣れてないからあまりやりたくなかったんだがな。

 

「ま、それはそうと。担任殿。俺たちだけを呼び出して何の用ですか。」

 

恐らく、俺以外には話したんだろうが。

 

「今から話「どうもー。」」

 

えらく綺麗な美人がひょっこりと現れた、その足元に黒子の格好をした綺麗な銀髪の俺の書類上の妹、相澤一葉も居る。先生、何やってんすか。となっているのは俺だけで、他の人は偉人を目の前に固まっているだけだった。

ま、男尊女卑を言い換えるなら歴史を作った人物だし、そのくらいは当たり前か。

 

「誰ですか?」

 

「篠ノ之束です。」

 

とりあえず人物の確認と写真に。一枚いいですか?と問いかけ了承を得た。

 

「はい、チーズ。」

 

俺は懐からデジタルカメラを取り出してピースサインしている篠ノ之束を撮った。とりあえず、転売しても良いかを聞き、それもまた了承を得た。…………もしかしたらこれ、一生遊んで暮らしていけるんじゃないか?

 

「ありがとうございましブベッ!?」

 

久しぶりに出席簿か……………。結構痛いな。そう思いつつ俺はカメラだけは守るように再び懐に入れた。

 

「あ、そちらの皆さんにも自己紹介を…………。()篠ノ之(・・・)箒の姉(・・・)()()()()です。」

 

「「「誰だ(ですか)お前(貴方は)!!!?」」」

 

と、三人(正確には、一夏、担任殿、箒さんの三人だ)が言った。そうだろうな、俺が植え付けられた記憶じゃこんな顔していないな…………。

 

「あら、いやですね。姉の顔も忘れてしまったのですか?」

 

「性格が全く違う!豚箱にでも入れられたのですか!?」

 

確かにそのくらいの性格改変だとは思うが…………。と言うか豚箱は言い過ぎじゃないか?

 

「まあまあ、そんなこといわないで。ちーちゃん、私はせっかちなんだから早く本題に!ハーリーハーリー!!」

 

「っち。分かった、説明を。」

 

そういわれるまで呆けたままだった担任殿が、続きを促した。いまだに一夏と箒さんは口を開けたままだ。

 

「アイアイサー!と言うわけで箒ちゃんの専用機を持ってきちゃいましたー。」

 

あらまぁ、いつの間に作ったんでしょうね。『天才…………だからな。』なるほど。

 

「へい!カモーン!!」

 

 

ドーン

 

 

束ちゃんは爆発がお好き!ッて言う状態になりかねないな、むしろそこまでやる必要も無い気がするのは俺だけだろうか?土煙が舞い上がり、少し目を細めないと目にゴミが入る程度の状態になる。その土煙を晴れたと思いや俺は見た、四角い鈍色に輝いた箱を。

 

「これが…………。」

 

と箒さんが息を飲みそして、誰にも聞こえぬように「私の力」と呟いているのが見えた。そんなに期待(・・)しないほうがいいのになぁ。ISの機体だけに、なーんちゃってテヘ。

 

『いま、ウザイもしくはその他もろもろの負の感情を抱いた方々、問題ない正常だ。』

 

おっと、なぜかエネとのリンクが繋がったような気がする…………。

 

「それじゃ、お待ちかねの…………オープン!」

 

会話の流れからして、中は専用機か。それにしても力をなぜ欲するのか…………無い方が、楽なのに。

 

プシューと言ったコミカルな音と共に箱は開かれた。

しかし、そこには何もなく…………いや、あるにはあるのだが。

 

「…………ガンプラ?」

 

そう、すこし小さいと言うより、ギリギリ手のひらのサイズのガンプラが置いてあるだけだった。そして、それに篠ノ之束は近づき…………。と言うよりこの時点で。

 

「これが!第四世代ISである!白と並び立つもの!そして箒ちゃんだけの専用機!紅椿(あかつばき)だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

「ふざけるなァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

箒さんが見事、としか言いようの無い踵落しを、ISを作った稀代の天才の頭に躊躇なく喰らわせる。思いのほかクリーンヒットだったらしく頭を抑えている。少し涙目になりながらこういった。

 

「頭が…………頭が割れる…………。」

 

「良かったな、これからは右脳と左脳別々に考えられるぞ。」

 

なんか、どっかの別の世界線では担任殿が言ってそうな言葉を箒さんが発した。

 

「最も、こんなくだらない事を考える頭なら消去してしまえばいいのだが。」

 

よし、行け行け。もっとやれ。俺のS心が疼く。

 

「うぅ…………悪いとは思ってるけど箒ちゃんでも、それは目に余るな。」

 

「どういうことだ?」

 

「志村後ろ。」

 

でしょうね、あ、一葉が居たのはこういうことか。まずは、デカイ箱の落下で視線を誘導。さらにガンプラでダメ押しそこで一葉だ、音もなく黒子のようにISを置いた。

 

「……………この箱要らなかったんじゃないか?」

 

と言うより、この様な手口前に見たことあるというか俺の手口だ。まずは囮、その次に水面下で事を成す。むしろ俺のというより、手品における常套手段だが。

 

「まあ、そうだけど。」

 

と言うことは、これは専用機持ちたちへの見せつけ、わざと公開することで第四世代と言う力を見せ、そのほかに事を成そうとしている?…………俺の天才イメージとはかけ離れているな。むしろもっとぶっ飛んだ発想をするのかと思ったのに。そう思った時、周りから小さな悲鳴のようなものが聞こえた。

 

「…………これが。」

 

「そう、規格外にしてオーバースペック、白と並び立ち、そして…………女王の障壁(・・・・・) 紅椿。」

 

なぜか、その発言者篠ノ之束は落ち込んでいるような不思議な表情をしていた。なぜだか、それを見たとき、俺は首から下にかけて管虫が走るような、それで居てなぜか闘争本能を刺激するような奇妙な感覚を覚えた。

 

「それじゃ、ちゃッちゃとフッティングとフォーマットを済ませちゃおう!」

 

因みにISの世代は今現在、第三世代がギリギリ作れるレベルであり第四世代は机上の空論レベルの話であるっていうのが定説(・・)だ。

 

 

「あ、そうだ。箒ちゃん、ちーちゃんもいっくんも…………。さっきなんで私がこんなになったか。って聞いたよね?それはね、そこに居る相澤 康一の所為(・・ ・・・・・)だから。」

 

「「「「え?」」」」

 

今度は俺も合わせて、そう言っていた。

 

「いやぁ…………い・ろ・い・ろ・と教えてもらっちゃたんだぁ~。」

 

きゃーとでも言いたげに頬に手を添えて体を震わせる。間違いないこれは…………。

 

俺は、さっき今後もと思ったのだが…………今やるべきは、この誤解の入り混じった視線をどうにかしないといけないみたいだ。

 

 

はぁ……………。

 


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