IS 化け狐と呼ばれた男 リメイク   作:屑太郎

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兎の足音と尖兵

睡眠と言うのをご存知であろうか?むしろご存知でないやつはこの世にあんまり居ないのではなかろうか?まあ、睡眠とは体の休息や脳の休息、脳内では記憶の整理や、成長ホルモンが分泌されたりする。そのため、睡眠は特に重要なものとは教えられるのだが……………。

 

ドォォォォォォォォォォォン!!

 

そんなことを露ほども考えない爆音に似た何かが俺の鼓膜と、肌を揺さぶった。つか五月蝿い。てか、眩しい。

 

「むにゃむにゃ…………そんなに食べられないってグゥ。」

 

ギリギリさっきの爆音でまどろみの中に居たので、とりあえず俺の布団の片隅にある暖かい抱き枕を思いっきり引き寄せて抱きつき、俺は再び眠りに付いた。まだ俺は寝ぼけてるんだ、だから仕方ない…………zzz…。「おきろ馬鹿者。」

 

ん?

 

次の瞬間、天と地が逆になった。その副産物はフゲッ!?とムゲッ!?と言ったような曇ったような声と痛みだけだった。いやなものしか生成されてねえ。

 

「おやすみ、そんでおはよ「うになりませんよ!」」

 

どこぞの犬+オッサンの不思議キャラクターの名言を聞いた瞬間。俺は飛ぶようにその場から離れた。なにか、ザクッと言った小気味いい音が鳴ったけど気にしないことにしよう、全然聞いていませんよ?とりあえず、視界の端に写っ畳に刺さった出席簿のような物を黙殺して立ち上がった。

 

「っち。起きたか。」

 

その舌打ちはなんですか。と喉元まで出掛かってから強引に押さえ込んだ。あぶねえ、俺の隠されたツッコミスキルが発動してしまうところだった。

 

「ええ、おきましたよ担任殿。これ以上無いくらいの清々しい朝ですね。」

 

こういう場合、白々しいまでに持ち上げておくのがベストだ。

 

「ああ…………この国の平和ボケはここまで侵食しているのか…………。」

 

本気で言ったわけではないが…………大体大丈夫だろ、寝てるときには痛覚なさそうだし。つうか、そこまで考えなしに行動している訳じゃない、ちゃんと考えて行動している…………南下今、享楽主義的にって声が聞こえたんだが…………ふざけるんじゃない!当たり前だろ!。

 

「ええ、こんな所に来るとは思ってなかったですしねぇ。」

 

「はぁ、何か爆音があったらとりあえず起きろ。それでなくとも、起きろ今何時だと思っている?」

 

「あーくびいてー。」

 

「叩けば直るか?」

 

「死にますね。つーか、まだ六時程度じゃないですか。」

 

とりあえず買った、100円ショップの腕時計をちらと見た。早々狂うことはないだろう。

 

「それより、なんなんですか?近所の悪がきがドデカイ爆竹を鳴らしたようなあの音は?」

 

「はぁ…………ふっ、粗方。近所の悪がきがドデカイ爆竹を鳴らしたんじゃないか?」

 

いや、ニヤ付きながら言う言葉じゃないし、俺の言った言葉のまんまじゃねーか。大体近所の悪がき、すご過ぎね?確かIS学園(と言う名の国家機密(笑)のオンパレード)だからそこらへんのセキュリティはしっかりしているはずだが。まあ、いっか。

それより俺は面白いことになりそうだから、成り行きを見守っておきたいんだが。

 

「そうですか。めんどくさそうですね担任殿。」

 

「ああ、めんどくさい。」

 

「飯は何時からでしたっけ?」

 

「七時。」

 

「だとよ、食べるか?」

 

「誰に言っているんだ?」

 

そういわれて俺は担任殿の脚元、正確には担任殿のひっくり返した布団を指差した。そこには、細い腕を上げ、か細い声で。

 

「よっす。兄さんカーテン閉めてもらっていいですか?」

 

「はいよ。」

 

と言って、カーテンを閉めた。俺も眩しかったからな。そして、しばらく布団の中にうずくまる様にして、何が起きているのかと突っ込みたくなるほどに蠢き。そして俺にカーテンを閉めさせた主が姿を現した。

 

「おはようございます!!。いやー闇に隠れて生きてきましたから日の光はちょっと………。」

 

布団から出るなり、なぜかハイテンションの状態で俺に絡んできた。銀色の髪を振り回し貞子のようになっている。そういえば貞子って、ふたなりらしいな。

 

「どこの妖怪で人間な奴ですか。」

 

と言いつつ、カーテンを開ける。

 

「ギャー!!!!目が目がァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

「うるせえ、静かにしろ。」

 

「あっ、はい。それで、こちらの方は?」

 

と言って開いた口がふさがらない担任殿を指差した。あまり問題になりそうもないので普通に。

 

「俺の担任殿。」

 

「そうなん?あ、どうも。私、相澤康一の「書類上の」妹の相澤 一葉(かずは)です以後お見知りおきを。」

 

ん…………なるほど、技術職だから腕のいい操縦士には興味ないのか。いつの日かの織斑先生への黄色い声援を思い出した。

 

「ご丁寧にどうも、それで………………………………相澤さん」

 

「「何?」」

 

イライラが少し積もったような顔をした。それを確認したであろう一葉は。

 

「ごめんなさい。私のことは一葉でいいですよ?」

 

「一葉さんはなんでここに?」

 

その理由は簡単だ。

 

「兄に会いにきま

 

そこで俺の意識は少し飛ぶこととなる。理由は簡単担任殿が俺を殴った(もしかしたら蹴ったのかもしれないが)からであろう、つーか妹にやってくれませんかね。少し、鈍痛のする頭を抑えながら起き上がった。

 

「かー、痛え。」

 

「いつ見ても尋常ならざる耐久力ですねー。IS学園の教師の一撃を喰らってピンピンしているとは、もしかしてあっちの方もピンピンしているんじゃありませんか?」

 

「なるほど、確かに妹だ。」

 

「お前、分かってて言ってるだろ?もう、ばりさんだよ。」

 

と言うより、そこまで下ネタで特攻している奴だと思われているのだろうか?不愉快だハレ晴レフユカイだ。言って気が付いたがどっちだ?まあ良いや。それにしても……………。

 

「どうやってここに来たんだ?変な話ここに来るには結構大変だった気がするんだが。」

 

「いえ、ちょっと不法  」

 

あ、今度は蹴りだはっきり分かるんだね。それより俺は今カメラを持っていなかったことを後悔するべきだと思うんだ。

え?なぜって?それはね、浴衣で蹴っているから見えそうで見えないチラリズムとやはりお約束の黒い布のアクセントがいい味出しているんだな、チラって居るけどまだ完璧に見えたわけじゃない、ただその心憎い演出を醸し出しているこの瞬間をカメラに収められないことがただただ遺憾である。あ、もう少しで見えそうけど良いやカメラがないから、一銭の価値にもならねえ。

あぁ、なんでいつどこでもカメラマンになれる準備をしてこなかったのだろうか。足が俺の視界を塞ぐようにしてだんだんスローモーションで近づいてくる、体はがっちりと固定されたように動かないし、無論カメラを撮ることさえ出来ない。ああ、マジでこんな光景ヘタしたら億取れるぜ?そうだな、言うなればブラ○ト・○ットやシュワちゃん、人類最強スティー○ン・○ガールにブルー○・ウィル○の下着姿を撮ることと同義だ、パパラッチ的に考えて完全にそんなカメラマンは…………お手伝いさんならいけるな。だって、どこかのハリウッド俳優が車の掃除していただけで結構なお値段になっていたし。まあ、どうでもいいが。アレ?今思ったけどこれって転生能力の一旦?マジか…………これならないほうがいいじゃんよ~、何でわざわざ失敗をほじくり返すようなことしているのさこれ、ただ無念を噛み締める監獄にしかならないじゃん、っちしょうがない第二の人生を押し付けられたんだ、こんぐらいの苦労は…………ってね。あ。

 

「侵入してきただけですけど。」

 

時は正常に動き出し、俺は蹴りによって吹き飛ばされた。

 

「だから、何でよりによって俺なんですか。」

 

「私の生徒だからな。後、兄ならちゃんと妹を躾けて置け。」

 

躾って…………

「無理ですよ。ほら。」

 

「お、お兄様が私のところを躾…………フォー!!何がいいですか!?三角木馬?それとも鞭?縄?苦悩の梨程度なら私でも用意できますよ!」

 

何がほとばしったのかは知らんが、亀甲、とかピー音が必要なほどやばいやつを口走るんじゃねえ。良い子は検索しないで貰いたい…………。

 

「用意すんな。それと担任殿はまたなんで握り拳作らないでください。」

 

そして、一葉は爆弾を投げる。

「あと、さっきの不法侵入は冗談ですよ。ちゃーんと許可とって来ましたよ。どう?えらい?えらいでしょ?」

 

と言って、首にぶら下がっていた来客と書かれたカードを見せる。どうやらこれは本物のようで、担任殿の悔しそうな顔を確認した。

 

「俺、蹴られ損じゃねーか。ま、よくやったな。お前がドイツに居た頃よりは成長しているんじゃねーの?」

 

「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!?止めろ!その名を出すんじゃない!」

 

どうやら、トラウマになっているらしい。と言うより黒歴史が呼び起こされたのだ。コイツは中学二年生になる前にも関らず中二病を発症していた。俺も俺で乗りに乗らせて助長させていたから………・・・責任はあると思うんだが面白そうだからな放置することにしよう。

 

「悪い。」

 

「この兄、絶対そんなこと思ってねえ。」

 

ばれたか、それで何が起こる訳じゃないからいいけど。

 

「それじゃ一葉、俺はもう飯を食いに行くけどお前は?」

 

とりあえず、融通してもらえればいいだろう。じゃなければ台所貸してもらえばいいし。

 

「いえ、私は遠慮させていただきます。お姉さまを待たせてはいけないので!」

 

と言って脱兎のごとく逃げるようにしてこの部屋を出て行った。

 

「…………かなり、驚いたが。お前に姉なんて居たか?」

 

いや…………該当する人間が居ないのが逆に俺の背筋を凍らせる。あいつの性格からして、認めた奴以外お姉さまなどとはあまり呼ばないのだ。この学園にお眼鏡にかなった奴が居るのかそれとも…………。

 

 

「妹が百合の扉を開いた件について。」

 

 

 


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