…………逃げられたか。これはフラグが箒さんにだけ立っているってことか?それとも、全く別の言いたくない理由があるってことか?
まあ、いっか。特に思うところはないし、俺が動くことによって、少しでも俺にとって面白くなればいい。
それじゃ、お菓子でもお届けに参りますかね。
◆ ◆ ◆
「で?一夏?どうしたの?」
「完全に不貞寝だな。」
帰ってくるなり早々と布団を引き寝に入ったようだ。
「不貞寝って………………原因は。あ。」
「まあ、一つしかないだろうな。」
「俺か?」
「ああ、相澤君ってことに…………なんで、ここに居るの?」
と、デュノアの娘っこ不思議そうにこっちを見ていた。
「何でって、そりゃ。俺の寝る場所がここだからだよ。あ、お菓子と飲み物買って来たよ。」
とりあえず振舞え。これ、相澤家の家訓な。あ、いや、(書類上の)家族とあんまり合ってなかったわ、ひとまず荷物をまとめるか、おっと回収回収ッと。
「康一さんBaumkuchenありますか?」
「いや、こんな所でドイツ臭出さなくていいから。一応ある、口に合うかは分からないけど。ほい、バウムクーヘン。」
「ありがとうございます!」
とりあえず、小分けになったそれ渡した。はぁ~いいなぁ何か食べてる女子って。
「ラウラ、普通に食べてるんじゃないわよ。」
「ふぁあふぁあ、ふぃん。こへでも食べろ。」(まあまあ、鈴。これでも食べろ)
「箒!?アンタもなに食ってんの!」
といいつつ受け取るんだな。
「おい、つまみは無いのか?」
おい!?何酒飲んでんだ教師だろ…………面白そうっすね。「俺用にと買ってきたビーフジャーキーがありますが。」
「それでいい。」
「589¥です。」
「教師から金を巻き取ろうとするな。」
と言って、勝手にビーフジャーキーの袋を開封した。後で食べよう巨大カルパスもあるし…………これでかつる!!美少女が巨大な、そう巨大なカルパスを。ん?裾をちょいちょいと引いてくる手が・・・。どうしたんだ?ラウラが涙目になりながらこっちを見てるが。
「康一さん…………今お金もって来てないです・・・。」
「冗談ですからね!?ほら普通に食べていいから、ね?本当にごめんなさい!」
うおーう、そんなことを言われるとは……………。とりあえずデュノアの娘っことオルコット嬢の二人にもお菓子をやっておくか。
「ほい、二人とも。」
「これは…………スコーン?にしては緑がかってますけど。」
「こっちは、マカロン?にしては緑がかってるね。」
「抹茶味だと。すげーよな日本ってなんだって日本風にしちゃうんだもん。ピザにもろこし乗せたりな。」
キチ○イの域に達するよなアレは。
「まあ、わさび味でなければ食べますけど。」
「わさ…………大丈夫だよね?」
まあ、市販品だし大丈夫だ、と伝えておいた。
まあ、ね。ここでのんびり女の子との交流を深めるのもいいかも知れないが。それでは俺がつまらない。さて、一石を投じてやるとするか。
「さて俺は、一夏からお前達への評価みたいなものを聞いて来たんだが。」
その一言を発した一瞬だけ総員の目が煌いた。いや約一名自分の布団を少し揺らすぐらいだったが、すぐに無視を決め込んで音沙汰をなくした。
「フ、フン。別に気になってなんかないぞ。」
「そ、そうですわね…………少し、気にならないわけでもありませんわね・・・。」
「……………///。」
「僕は聞きたいかな?」
「康一さん肩をもみましょうか!?」
「………………………………………。」
上から箒さん、オルコット嬢、凰、デュノアの娘っこに、ラウラ。そして『何を余計なことを…………』といわんばかりに俺を睨み付ける担任殿だ。いいね、俺はこういうのを待ってたんだよ。あと、ラウラ、どこでゴマすりと言うのを覚えた?「そういうのは担任どの・・・いや、織斑先生にやってきなさい。」「分かりました!」無駄に綺麗な敬礼をしそのまま、担任殿に近づいて・・・。
「真に受けるのもいい加減にしろ。」ビシッ!「あう。」
「まあまあ、みんなそう焦りなさんなって。…………現物があるんだから。」
俺は隠し持っていたボイスレコーダーを再生した。
「『そうか、そんじゃこっちも負けじと
『何話すんだよ?』
『お前ぶっちゃけ誰が好き?』」
ピッ。
「とまあ、こんなブベッ!?」
その瞬間を写し取っていたとしたのならかなり綺麗な飛び蹴りとなっていたのだろう。怒りという怒りを全てその飛び蹴りに乗せて一夏が俺を蹴ったのだった。完全な不意打ちであるそれに驚いたように一夏にボイスレコーダーを放り投げた。すると、ラッキーとでも言いたげな顔でそれをキャッチした。
「康一…………俺にも我慢の限界って物があるからな?」
「沸点低過ぎね?あはは、ごめん奪われちゃった。一夏、最悪奪われたくなかったら織斑先生に渡すのも手だぞ?」
「…………千冬姉。お願いします。]
と、言ってボイスレコーダーを献上するように差し出した。いやはや、本当に信頼されているんですねぇ。と言っても、俺は…………。
「本当に…………ごめんね?みんな…………。」
「どうしたんですか?」
俺は少しボイスレコーダーをもう一つ取り出し。
pi!
「『で、お前らあいつのどこが良いんだ?』」
ぶーッ!?
そのとき起きた光景は実に簡単なものだった。
せんべいを噴き出すもの×2スコーンを噴き出すもの、マカロンを噴き出すもの、バウムクーヘンを噴き出すもの、そして酒を噴き出すものが、ほぼ同時に行われていた。
「「「「「「……………………………………………………………………………………。」」」」」」
六人のこいつは何をやってくれやがってるんだと言う視線がヤバイ。
お楽しみは最後に取っとかなくちゃ………………………………ねぇ?ダメだ、笑ってはダメだ意識しなくとも口角が上がってしまう・・・。とりあえず、オルコット嬢、デュノアの娘っこそして、ラウラは封じ込めることが出来る。後は…………。
「よし、相澤。そいつを渡せ。」
「いやです。」
箒さん、交渉ごとに弱くね?そんなんで渡してくれるのは、落し物を拾った警察ぐらいしか居ないよ。
「康一!早くそれを返しなさい!」
「コスプレしてくれたらいいよ?」
「ウッ!?…………。あるの?」
つゴスロリ
「サイズが合わないことには!…………合ってるし。」
二人目つぶした!そして…………担任殿は動かない。これで勝てる。
そう、いまここに居る全ての人間の弱みを握ったのだ、これほどすばらしいことはない…………なんっつて。けど壮観だね。
ピリリリィン!!
俺は今、脳内でかなりの確率でニュータ○プのような、もっと言えばフレクサトーンのような音が響いた。俺は胡坐をかいている状態から必死に横へ体をずらした。
「チッ!」
「お前か一夏。」
まあ、ですよねー。これは潰せるか…………現在弱みらしい弱みを持っていないからなぁ。とりあえずノリで押し切る
「なぜだ!なぜ貴様は俺の邪魔をする!?」
「道を外した奴を元に戻すのは当然のことだろうが!」
「いや、俺はただ、自身の欲求にしたがっているだけだ。人間が持っている性という奴だ、貴様は感じたことはないのか!あの、自己の内から湧き上がる『知りたい』と言う欲求が!!」
「いや、なにこれ?」「男子特有の高ぶった悪ノリ」
「グッ!?だが、それでも。間違っていることは間違っている!盗聴は犯罪ぞ」
「いや、違う。これは俺がここを出て行ったときに
「詭弁を!」
「ラウラ?これってどうなの?」「いまググって見たが、ボイスレコーダーでの過失録音は法に触れないらしい。さっきのが本当であればだが…………恐らくさっき荷物を整理していたときに再生されたのを見つけたんだろう。」「へぇ、康一君も色々考えているんだね。」「ああ、電子機器の削除はあまり信用ならないし、私は聞かれても困らないからな。教官・・・いや、織斑先生に渡したのは一夏のプライバシーを守るためと考えれば正解か。」「なるほど。」
「このわからず屋が!」
パシュウ。…………あ、思わずくせでISカゲアカシのストレージ(IS特有の不思議空間。量子にまで分解して入れるらしい。)に入れちゃったぞ?あれ?まずい!
グポーンそんな音が聞こえると同時に担任殿の目が光った気がした。そう、機動戦士オリムラの起動である。俺としては立ち上がるなと声を大にして叫びたいが、そうもいかない着々と俺の命を絞るようにして。
「クペッ!?」
今日俺は九時に寝ると言う偉業を果たした.