その銃身の上に立ち。
カチャ、カチャカチャッ!カチャ。
「久々に…………腕が鳴る。」
非常に長い銃身を持った…………ボルトアクション式の狙撃銃だろうか?その銃を分解しながらそう呟いた。
「支給されてきた玉はこれに専用デバイス………か、どれだけのベストショットを撃てるかがポイントになるな。」
と言って分解の手を止めて三つの弾丸とサングラスを手にパソコンに向かい、弾丸にUSBをぶっさした。
「保存容量は…………1TBか。廉価版とすれば十分な量だが・・・だがこれに関しては趣味の部類だ協力は望めないか。」
と言って分解作業に戻る。その顔つきは真剣そのものであり何者にも邪魔されない雰囲気を帯びていた。
「ショットポイントは割り出しているからな…………後は警戒と中継地の隠匿。」
分解作業が終わったのか、椅子に座りながら光るパソコンのモニターを虚ろな目で見ながらコーヒーを啜る。
「それに…………努力。」
分解し終わったパーツに綺麗な布を当て、そのまま滑らし整備していく。このような手合いの精密機器を埃などの異物ですぐに価値や品格が壊れてしまう、そんな美術品のように扱う。そうしてパーツに指紋一つ残さずに整備を終え、それらを組み立てて分解前と同じ銃身の長い銃が出来上がる。サングラスをかけながら、ボルトを引き弾丸を装填する。そして構えてゆっくりと引き金を引き絞る。そうして。
「相澤康一を…………殺す。」
ガチャリと、ドアがその存在を示すように開いた。
「いや、なにやってるの?」
「あ、簪?居たんだ?」
盗み聞きしていたのか、全てを把握したような口ぶりで簪が寮室に入りながらそう聞いて来た。
「いたよ、「久々に…………腕が鳴る。」の所から居たよ。そして自分を殺すってどういうこと?意味不明すぎて噴き出すところだった。」
「いや。明日臨海学校じゃん?」
「誰を狙撃するんだよ。」
「これ。」
俺は簪に銃口を向けて構え引き金を絞る。サングラスに被写体、露出補正やフォーカス機能などの情報が映し出されるのを確認した。
「カメラなんだよ。」
簪は卒倒しそうに頭を抱えた。因みにこれ世界研究者クラブの作品だ、ISの装備として連携できるし、言うに及ばず、うら若き女性たちの肢体をこれに収めることが出来る。
「なんという・・・おろかな物を持っている・・・。」
「とまあ、これでばっちりだな動作確認をしてなかったし、近くに良い被写体が居たからな準備は、・・・ばっちりだ。」
俺は…………結構楽しみだな・・・。
伏線回収が辛くなりそう。
どうでもよさげな所にも張ってあるからな…………。