俺は今、つまらない俺の話を見ている・・・いや、見ることを強いられている。
虚空に浮んだモニターのようなものに、俺が居る。その俺は悲痛に自由に表情を動かし笑い、したため、怒る。間違ってもこの俺、相澤康一ではない。俺は、あんなように笑ったりは・・・。まあいい。それで、俺はこの世界での原点とでも言えようこの家に縛られている訳だが、ここには、世話になったな…………。
◆ ◆ ◆
これは、ある男の記憶の中で再生される一種の思い出話である。
【化粧。】
二歳ぐらいの赤ん坊が一人、そして化粧台に対面している女性が一人。この部屋の中に存在している。なぜだろうか赤ん坊は女性をじっと見つめている。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
沈黙、その空間の状態を表すのにほかのものはいらないくらいの沈黙だった。すると女性が気まずくなったかのように。
「なんです?そんなにじろじろ見て。」
そういった、だが。実際は二歳ぐらいの子供は喋らないはずなのだが・・・。
「いや・・・なにをやっているんだ?」
普通に喋っている。
「何って・・・化粧ですよ?」
「なるほど、けしょう、というのかそれは。」
「…………知らなかったんですか?」
赤ん坊は首を縦に振った。
「ああ・・・ひとにたいして、けしょうをとおしてじこけんじするのか。」
「そういう言い方も出来ますね。」
「そんで、おてつだいさん。いつもどこにいっているんだい?」
「友達のところです。」
「へえ・・・。」
「・・・なんか、帰って来なければいいなぁって顔していますけど。普通に帰りますからね?」
「あ、ばれた?」
「・・・二年ぐらい居ればそれなりに。それでは、死なないようにしてください。」
「ああ、しぬきはない。」
「では、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
赤ん坊は行動を開始する。行動と共に独り言を呟く。
「まいかい、けしょうしているのはともだちにあうためか・・・いや、そうとはかんがえられん、そもそも、けしょうがひつようするときは、それにげんていするわけじゃないだろう、TV的にかんがえて・・・ふむ、こういうときに、げんていてきなせかいしかみれないというのもかんがえものだな・・・
まあ、ほんでよんだしもんだいはでてこないだろう。せっかくのじかんだ、ゆうこうかつようしなければ・・・。とりあえず、けしょうのことをべんきょうするか…………。
たしかここに、おてつだいさんがしまっていた、ざっしがあるはずだ…………………。
そんざいしているざっしが・・・ひよこ・・・クラブだと・・・・・・・かろうじて、いっさつあったが・・・だいじょうぶか?こんなにきあい、はいっていたのに。おれだぞ?・・・そこでくずれおちてもおかしくはないなぁ、お手伝いさんたいへんだったろうに、それにしても、いっさつのじょうほうではんだんするのはきけんだが・・・しかたないか。」
数分後
「ううん?このじょうほうからそうごうするに『けしょう』というのは、じぶんをよくみせるための、どうぐということか。まあ、たしかにみなりがきたないだけで、みせからはじかれたりしたな・・・。まったく、こんな、かちかんなんていみないのに。・・・だけど、おとこはでてきてないということは、これはしゅりゅうはじょせいということで、いいんだろうな……………………。
ぎゃくせつてきにかんがえて、かんぺきに『じょせい』という、『きごう』をつけていったらじょせいにみえるんじゃないか?」
数時間後。お手伝いさんが帰ってきた・・・そこには。
「誰ですか?」
「
「止めてください。寒気がします。」
「ああ、分かった。」
「はぁ、行動力と実践力はどこから湧き上がるのですか・・・。」
「あ、それはそうと、けしょうはどうやっておとすんだ?」
「分からないでやっていたんですか!?」
◆ ◆ ◆
ああ、あの時は怒られたなぁ。まぁそれも、今となっては良い思い出だが。
「しかし、これ。どうするんだ?動けないし俺の視点で物語が・・・エネだったら、こんな回りくどいことを・・・出来ないのか、しないのか・・・。」
「まあ、考えても仕方ないな・・・ん?これは・・・学年別個人・・・いや、タッグ?」
そこには、先ほどまで思い出に浸っていたのでそれ以前は分からないが、俺の視点で物事が進んでおり、銀髪の少女に紙を押し付けるように差し出している。そこから、早送りで時間が進み、今大会のように、来賓、その他に準じる人たちが見ているのが違いだろう。個人と書いてあったのに変更と言うことは・・・襲撃に備えてのツーマンセルの訓練を兼ねてと言ったところか。
そこでの俺が・・・。
「………………………………………俺だけど俺じゃないか。…………止めてくれ、ここも地獄かよ…………。」