少年が立っている
それだけを文字にしたら違和感は覚えないだが。
少年が廃工場で血を滴らせたナイフを持って足元に転がった男を見下ろしながら立っている。
少年はどこか悲しそうな顔で足元の人間を見て・・・口を開いた。
「死ぬな・・・。殺す覚悟も、逮捕される覚悟も持ち合わせていないんだ。」
といいながら足元に転がっている男を手当てし始めた。
手つきは鮮やかの一言で、かなり手馴れているようだった。
「 」
男が息も絶え絶えに何かを呟く。そして少年がそれを聞く時間と比例して手当ての手が乱暴なそれになっている。
「知るか、俺はただの亡霊だ・・・あんたがそうさせたんだ。」
________________________________________
____________________________
____________
これは、もう消したい記憶の話。
_____________
____________________________
________________________________________
お手伝いさんの案内に従った結果板の間に通され座っていたら
そんなこんなして、篠ノ之道場の先生がやってきました~。
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」
いや・・・なにこの空間・・・モノローグだけでも明るく勤めようとしたけど無理だよこれ、目の前に居るおっさんは目を瞑ったまま微動だにしないし、お手伝いさんからはなんか殺気がもれ出てるし、俺は硬直するしかないし!。
つーか、なにあれ?俺の後ろからチラチラと見てるやつが居るな・・・なにやってるんだよ、見てるんじゃねーよ!この空気を打破してくれよ!!
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」」
知覚した視線の主を入れて四人の沈黙が流れる。
そして、ここの先生みたいなおっさん(以下先生で統一する)が口を開いた。
「久しぶりだね・・・大高師範。」
「ご無沙汰しておりました、師匠。」
・・・まあ、予想どうりだよね・・・隠してた理由は・・・大穴で可愛くなかったから。
「くっくっくっ・・・しかし剣が可愛くないから辞めたって時には呆然としたね。」
「当たってた!!?」
「・・・その話は掘り返さないでください。」
(ジタバタとしながら笑いをこらえているところ。)
そうやって、四者四様の反応を見せ俺の心配を遠くにぶっ飛ばしたところで、和やかな空気がほんの少し流れた。
恐らく旧知の仲であろうお手伝いさんの力が大きいであろう。
「積もる話はあるけど・・・入門希望者?」
「はい。」
「そうです。」
同時に返事をした。
「私としては助かるよ、だって入門希望者がだんだん減って・・・というか皆無になってしまってね知り合いに入門希望者が居ないか聞いてみたんだが・・・みんな逃げてしまってね・・・」
といいながら先生は目頭を押さえながら顔を背けた。
(そりゃそうだ、あんな鬱屈としたところ誰も行きたくねーよ。めっちゃカラス鳴いてたし)
と、俺はその原因の考察に勤しんでいた。
「そうですか、不思議ですね・・・。」
「そうだろう?」
(突っ込み待ちか・・・乗るべきか・・・乗らざるべきか・・・。)
天然か故意か分からないまま、先生とお手伝いさんが雑談に花開かせている。そして話の流れは聞いていなかったが俺に話をふられた。
「そういえば、名前を聞いてなかったね?名前は。」
「相澤康一です。分かっているとは思いますが剣を学びにここに来ました。」
真実そのままを伝え言葉と共に固まって無かった決心を固め、真っ直ぐ先生を見た。
先生は頬を弛緩させ。
「私は篠ノ之柳韻だ。ここの道場の管理運営をしている。・・・それで。」
そこで言葉を切った。
「不躾かもしれないが、君は何のために剣を学ぼうと思ったのか教えてくれないか?」
「・・・自分のため・・・自分の命を守るためにそれを学ぼうと思いました。」
俺の過去を思い出してしまった・・・。
「そ、それはどういう・・・。」
おっと、ちょっと目つきが悪くなってしまったか?んじゃあ。
「いんや?このご時勢に護身術でも身につけておかないとねぇ。何事にも手を抜かないってのが僕のモットーでしてねそれなら錬度の高いものをって言うしだいでございます。」
俺は勤めて軽い口調にそれでも気分を損ねない丁寧語を使った。
「君五歳だよね?」
「しかし最近の五歳児ならばタレを守りながら遁走したり、ロボットの父親まで出来ますよ?。」
みんな見に来てね。
っとそれは置いといて・・・逆に警戒をあげてしまったか?
「・・・くっくっく、なかなか不思議な五歳児じゃないか。娘にも見習ってもらいたいよ。」
「お褒めに預かり光栄です。・・・それと、僕を見習うのは止めた方がいいですよ。」
「「・・・はっはっはっはっは。」」
何か裏に悪魔でも潜んでいそうな二つの笑い声が響いた。そしていきなり先生が笑うのを止め何かを射抜こうとしているかのようにこちらを見た。
「じゃあ、君には剣道じゃなくて剣術を教えることにする。死にたくないんだろう?」
と先生は皮肉を込めながら口角を吊り上げた。
「ええ、死にたくありませんね。」
「じゃあ、早速はじめようか・・・大高君、持ってきているんだろう?」
「ええ、ここに。」
そういって取り出したのはボストンバック、デフォルトになっている無言でボストンバックを逆さにしてジッパーをあけた。
ドサァ
大量の木製武器・・・木刀、小刀(木)、ヌンチャク、三節棍、鎌(木)からトンファーまでありとあらゆる作者が考え付く限りの武器がボストンバックの容量を超えて出てきた。
扇子なんてどこで使うんだ?
俺はお手伝いさんに耳打ちをした。
「・・・あのギャグパートなの作者が書けるとは思えんけどシリアスパートなの?」
「カオスパートです。」
「聞いたことねーよ、何だよそのパート作者なにやってんだよ、たぶんこれアップダウンについて来れなくてはくよ?読者?吐いて気持ち悪くなって発狂してモニターをぶっ壊し、インターネット依存症から抜け出して、いいリア充生活を送ることになるよ?・・・あれ?幸せじゃん。」
「風が吹いたら桶屋が儲かるじゃないんですから・・・それとセルフ突っ込みは止めて下さい。というかこの回は最初から最後までクラ・・・ギャグです。」
「・・・そういうことにしておく。」
閑話休題
「というわけで、この中から好きなのを選んでくれ。」
・・・ふむ、あれか?選んだ武器によって教える武器が違うとか?そういえばどっかの国でそんな習慣があったな。
けどこの一戦は負けられない・・・いや、死ねない。・・・まあ、全力で行こう。
思考を切り替え勝つための作戦を最高速で考える・・・扇子気になる!!
その思考で作戦が完成した。
「決めました。」
俺は左手に扇子、右手に俺の身長ほどの木刀を持った。因みに今の身長は五歳児の平均106.7 センチほど。まあ意図的にそうしたのだが・・・。
「「・・・一刀一扇。」」
何かを俺以外の二人が呟いた。・・・まあ、かなり変な戦法だとは思うけど。
「君は・・・本当にご・・・いや、なんでもない手合わせでも始めようか。」
「お願いします。」
俺と先生が立ち獲物を構える。俺は扇子を持った左手を前にした半身になり左手は先生の正眼にし、右手は脱力させ剣先を床に置いて構える因みに全部順手だ、先生は真正面に対峙し腰を少し落とし左手に木刀を鞘を待つように逆手でもっている。
戦いのなんとも言えない静寂が場に流れる。
「では・・・。」
お手伝いさんの声がゆっくりとその静寂を切り裂いていく・・・静寂の切り傷が最高潮に達したとき・・・。
「初め!!。」
戦いの火蓋は切って落とされた。
っ!?
始まったと同時に先生が加速し俺の目と鼻の先にまで移動し、左手の剣をボクシングのスマッシュの軌道を描いて跳ね上げた。
「・・・零拍子。」
頭の片隅でお手伝いさんがそう呟いたのを確認し、不必要な情報と判断。そんな思考で戸惑いを排除しその対処を一瞬で思考する。
思考した結果、俺も体の小ささを生かし懐に潜り込みながら扇子で剣の軌道を跳ね上げ半回転し木刀で打ち付けるがそれを手首の返しで受け止められ俺はその場から離脱した。
そこから防戦一方の試合展開になってしまうので割愛させていただく。
ここで話は大いに変わるが俺は体力が無い、絶対的に無いだから短期決着を望んだんだが・・・そうも行かないみたいだな。五歳児の身体能力何ざ高が知れてる・・・筋肉つけすぎると背が伸びにくくなるようだし、目立ちたくないからそれなりの運動能力に抑えている。これの意味するところは木刀が十分に振れない事と幼い内の過酷な練習によってー、などそんなことを望むわけにも行かないことである。
つまり・・・作戦の舞台は整ったあとは・・・。
虚を作り出すだけだ
今、俺と先生の距離は人二人半、それを俺と先生が同時に詰め初める。
そして俺が先生の体の軸から向かって左にずれるように間合いに入ったとき、両者の手が瞬いた先生は居合い切り・・・とは言ってもギリギリ俺が認識できるほどの速さで左から右に切り上げ、俺は開いた状態の扇子を左目に視界をさえぎるように投げた。
切り上げを剣で滑らせながら避け、ある一点を突いた。
「我流、朧太刀零式。」
試合は終了した。
俺は息を調えながら意識を平和に移し変え、思考を戦闘モードから平和的なそれにする。
もう何も考えたくない・・・あ、違ったこれだらける思考モードだった。
「な・・・何が起こったのですか?師匠が動揺したところなんて見たところありませんよ!?」
「ああ、私も知りたいねぇ、まさか剣が消えるとは・・・答え合わせはないのかい?」
・・・えぇ俺あんまり話したくないのに・・・次はきかなそうだから、話すか。
「あの技は・・・視覚の盲点を突いたものです。」
「「盲点?」」
「人間の目には必ず見えない点のことです、よくあるじゃないですか二つの点があって片目塞いで片方だけ見て顔を近づけたり、引いたりして二つの一点が消える奴。」
「「・・・。」」
「アレを意図的に創りそれを突くのが朧太刀零式です。」
「・・・普通じゃないね君は。」
「普通なことをしていたら勝てない、
・・・ああ、それにしても気持ち悪い動き回ったし。
あれ?そういえば視線の主ががががががががががががが・・・。
「ん?ああ、すまないがちょっと眠っててくれ。」
俺はそのあと数回の手あわせをし今後のことなどを話し合ってその道場を後にした。
技は某推理漫画から抜粋