「う・・・うぅん・・・っは!?」
・・・なんか、いやな夢を見たような気がする。・・・ってか朝日が出てない。眠かったし、一夏のクラス長就任パーテーすっぽかした罰が当たったか。
つか、今何時?・・・そうねだいた・・・やめとこ。・・・四時か。
・・・日課・・・やるか。
俺は恐らく視界が悪い中での戦闘訓練用に作られた(のではないかと思っている)森へ、眠気を残した体を引きずりながら、しかし、流れるような動作でもって携帯をポケットに突っ込ませながら、移動した
道中、四月の下旬の日が昇っていない外の空気は肌に刺すように冷たく、半分寝ているような意識を否応なく覚醒させられた・・・パジャマで出てきているのも覚醒させた一因としてあるのだろうか?。
とりあえず俺は日課をやるために、携帯を取り出し撮ってあった動画を再生する。
それは、前に対戦したオルコット嬢の動画だ。
さて、ここで問題。手っ取り早く強くなるには?
答え。強い奴の真似をする。
そう、俺の日課とは模倣。言ってしまえばタレントの物真似と変わりはない。
ただ、これだけは。他の追随を許さないと言っても・・・あ、ヤバイ悲しくなってきた・・・泣いてないぞ!泣いてなんかいないからな!。・・・だが、俺にはこれしかない。と自分自身に言い聞かせながら頭にあるオルコット嬢と自分の姿を重ね、吸収し昇華させる。
一通り終わった後、俺は息絶え絶えになりながら。
「・・・形はこれで整ったか・・・だが実践で使うにはまだまだ・・・だな。」
評価を下した。
実はこれ、体にかなり負荷が掛かる。体の芯から模倣し考え方まで変えて動きをトレースし問題点を他の動きと混ぜ合わせて消去していく。そんな作業は自分の普段使わない筋肉を酷使したりする、分かりやすく言えばバスケット選手が、格闘技をやったらすごく疲れるとかそんな感じだろう。
だが、今のスポーツ科学同様に成功したときのリターンは大きい、上の格闘技をやったバスケット選手は、強くなる。これは普段使わない筋肉を使ったため、全体のパフォーマンスが上がった・・・という理屈らしい。
「・・・終わるか。」
そういって、俺は今まで日課をやっていた場所から踵を返してそこで止まった。
「・・・覗き見は感心しませんよ?千冬ちゃグベラァ!?」
出席簿で頬の辺りを殴られ一瞬タコの様な口になり、少し体勢を崩した。
「先生をちゃん付け、名前で呼ぶな。」
「すみませんでした・・・それで?何で見ていたんですか?」
俺は、覗き見されたことに腹を立てたかのように、少し声色を下げる。
「ほう、理由がないと見てはいけないものだったのか?」
「いいえ、ですが理由がないと見ないものでもあります。」
誰が人の練習をぼーっと見るものか・・・。
「理由か・・・私は一年の寮長だ。早くに寮を出る生徒は珍しいものでな、問題行動を起こすかも知れんのでと後をつけてきた。」
「・・・そうですか。」
OK、ダウトだ。だが、そこまで重度のものを隠している訳じゃないと判断する。
「しかしお前は、面白い戦い方をするな。」
「・・・どこがです?」
「篠ノ之流の理念から外れず、しかも、それを自分用にアレンジしている」
「篠ノ之・・・箒さんの苗字ですが・・・何か関係はあるのでしょうか?」
とりあえず知らない振りをしておいた。
「とぼけなくてもいい、お前が篠ノ之流の剣術道場に行っていたことは調べはついている。」
「おやおや、プライバシーはどこに行ったんでしょうかねぇ。」
「元からない。」
「そうですか・・・。私はこれで失礼します。今度は先に声を掛けてくれると嬉しいです。」
とりあえず、帰ることにした。
これ以上会話を続けていると、めんどくさいことになりそうなので退散した。
逃げろ!!
・・・ふぅ、抜いてないよ。
いやあ、疲れたシャワーでも入ってくるか。
(・・・どうなる?)
誰か何か言ったか?・・・まあ良いや、とりあえずスマホをポーイ。
・・・入ろ。
ガラ
相澤 康一←腐った目
↓ ↓
不自然な湯気という名の完璧かつ絶対的なセキュリティ
↓ ↓
同居人←性犯罪者を見る目
あれ?人生積んだ?と、学園新聞の見出しに実はI・Kは変態だった!?的な新聞の見出しが脳裏に浮び、俺は・・・はぁ、と一回大きな大きなため息をついて一言。
「思いついたように、と○ぶる展開してんじゃねえよクソが・・・分かってないな神様。」
冷めた目で虚空を見ながら速やかに、かつ音を立てず踵を返し扉を締めた。
はぁ、ここのシャワー使えないな。俺は、これからの生活が少し苦しい物になるのを覚悟し刹那のうちに服を着替え。教室に避難する事にした。
一方そのころ。
IS学園にある一室にて。そこにはデスクが三つほどあり、多くの書類が積み上げられている。そのような絶対的に作業に不向きな環境の中、二人の女性が紙と判子をせわしなく動かしながら事務仕事をしていた。
ふと、どこかで見たような水色の髪と赤みががった目を持つ女性が、自身の作業しているデスクの引き出しから数枚の写真を取り出す。それはなんと、相澤康一の同居人更識簪の写真だ、どれも盗撮であり一枚たりともカメラ目線ではない。そんないわくのついた写真を数秒間見つめて、口元を綻ばせた。そうして、また机に写真を戻して仕事を再開しようと再び判子を持った。
すると、顔がだんだんと険しくなり。ふと思い立ったかのように同じ引き出しを開ける。そして出したのは寮の部屋割りに関する書類。そのある部分に目を通したその時。
「…………くぁwせdrftgyふじこlp;!!!」
奇声を上げ奇行を行いその副次的効果でデスク上にあった書類が全部吹き飛んだ。
「ああ!?どうしたんですかお嬢様!!?事務仕事のし過ぎで頭がおかしくなったんですか!?」
もう一人の眼鏡をかけた女性が、その奇行にに驚いた。
「やべぇ・・・やべぇよ。簪ちゃんに近づいた野獣が居やがるよぉ。処す?処しちゃう?おねーさん処しちゃうよアハハハハ。」
狂ったように笑っている。狂ったように笑っている。
「止めてください!っていうかどうしたんですか?」
「クソォ・・・くそが!なんで男と引き合わせちまったんだ!私としたことが!」
「はぁ!?ん?…これは…。」
都合よく、先ほどまで水色の髪の女性が見ていた書類を大きい紙ふぶきの中手に取った。そこには。
寮室1050登録生徒。
相澤 康一
更識 簪
その一点が目に入った。
「くそぉ、寝不足でなければ・・・。」
「いえ・・・そこまで、心配することでもないのでは?」
この発言には、おかしいことがあったらすぐに報告に行くのでは?と言う意味が含まれているのである。その意味を完璧に把握したうえで。
「簪ちゃんの無念が私に届いたのさぁ。この更識 楯無の胸に!!」
と言って自らの胸を指差した。もう一方の女性は・・・
だめだ、三日も寝てないと正常な判断を下せなくなるのか・・・。
「少し眠りましょう。」
ビシッ!と首筋に手刀を叩き込み気絶させ、流れるようにカーペットに寝かせてタオルケットのようなものを被せる。そうして、少しやりきったような顔をして。
「…………私も、もう少ししたら寝ますか。」
と言いながら再び作業に戻った。
IS学園生徒会室でのことである。